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東都水 Research Memo(6):改革の効果で取扱数量が増加した

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期の業績動向
東都水産<8038>の2019年3月期第2四半期の業績は、売上高が55,621百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益388百万円(同28.4%減)、経常利益589百万円(同0.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益433百万円(同2.9%増)となった。水産物卸売市場では、魚価は回復傾向にあるものの、消費者の食料品への低価格・節約志向、安全・安心な商品に対するニーズ、海外での需要増加による仕入価格高止まり、水産資源の減少や漁獲量の減少、市場外流通との競合などにより、取扱数量は長期低落傾向にある。しかし同社においては、売上総利益率は低下したものの、2017年のトップマネジメント交代を契機に進めた改革の効果により、取扱数量が増加に転じている。加えて、売上規模を維持しながら経費の削減も進めている。

(1) 水産物卸売事業
売上高は52,295百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は241百万円(同158.2%増)となった。近年の水産卸売市場業界には珍しく、取扱数量が増加したことで売上高が拡大した。大物部のマグロや鮮魚部が好調で、市場外の取り組みも増えている模様である。2017年に設置した海外事業部も動き出し、小さいサイズの冷凍魚を中東やアフリカ向けに輸出を開始した。費用に関しては、能力人事を導入して人件費効率を上げ、与信を厳格化して貸し倒れの発生を抑制した。

(2) 冷蔵倉庫及びその関連事業
売上高は3,013百万円(前年同期比28.7%減)、営業利益は24百万円(同92.2%減)となった。売上高は2ケタ減収となったが、漁業規制などによるAERO TRADINGの減収や東水フーズの解散の影響が大きかった。大幅営業減益は、売上減(不採算だった東水フーズの解散は増益要因)に加え、埼玉県魚市場の物流センター建設に伴う減価償却費の増加が要因のため、今後の改善が期待できる。

(3) 不動産賃貸事業
売上高は312百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は123百万円(同1.7%増)となった。減収は東水フーズの解散により賃貸物件を一部譲渡したことが要因で、営業増益は売上総利益率の向上などによる。


豊洲移転費用などが2019年3月期の減益要因
2. 2019年3月期の業績見通し
2019年3月期業績見通しについて同社は、売上高115,000百万円(前期比1.9%減)、営業利益800百万円(同43.1%減)、経常利益1,100百万円(同25.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益800百万円(同18.3%減)を見込んでいる。水産物卸売市場の業界が引き続き厳しい事業環境にあることを前提にしているが、魚価に底打ち感があることから水産物卸売事業は微増収を見込んでいる。しかし、東水フーズの解散や好採算AERO TRADING CO.,LTD.の漁獲減などから、売上高、売上総利益率ともに苦戦を見込んでいる。さらに、埼玉県魚市場物流センター建設による償却増や、築地市場から豊洲移転に伴う販売諸経費、家賃、一時費用などのコストプッシュも営業減益予想の要因となった。

同社は2019年3月期通期業績見通しについて、営業利益で100百万円、経常利益で300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で200百万円上方修正した。豊洲市場への移転に伴う費用が当初見込みより少なくなったこと、在外子会社において無形固定資産売却益の計上と為替差益の増加が見込まれることが要因である。第2四半期の取扱数量の増加という流れから、もう少し強い業績予想でもよさそうだが、豊洲市場への移転は非常に大きなイベントであるため、収益状況を見通しづらくなっているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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