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アドバンクリエ Research Memo(7):13年ぶりにエクイティ・ファイナンスを実施、財務の健全性は確保

注目トピックス 日本株
■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向

3. 財務状況と経営指標
2020年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,144百万円増加の10,312百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が1,953百万円増加し、未収入金が664百万円減少した。現預金の増加については自己株式処分やエクイティ・ファイナンス、社債による資金調達に加えて、メガバンクによる債権流動化の引き受けの増枠も一因となっており、今後は滞留債権がなくなり資金効率も向上する。また、固定資産では投資その他の資産が425百万円増加した。

負債合計は前期末比1,126百万円増加の4,702百万円となった。コロナ禍による不測の事態に備えるため社債を1,000百万円発行したことにより、有利子負債(リース債務含む)が1,031百万円増加した。また、純資産合計は前期末比1,018百万円増加の5,610百万円となった。配当金の支払い537百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円の計上と、自己株式処分や新株予約権の行使によって753百万円を調達したことが増加要因となった。

自己株式の処分については、2020年3月に取引先であるネオファースト生命保険(株)に227.5千株(1株当たり1,858円)を売却している。2019年9月期における連結売上高の約6%をネオファースト生命保険向けで占めており、今回の自己株式処分によって取引関係をさらに深化させ、収益性向上を図ることが目的となっている。また、併せて第3者割当による行使価額修正条項付き新株予約権も発行(行使期間は2023年3月6日まで)しており、行使が着実に進んでいる。2020年10月末時点で未行使分は23.3万株相当となっている。

同社では13年ぶりのエクイティ・ファイナンスとなり、自己株式処分も含めた調達予定額1,164百万円については、今後3年間におけるASP事業のシステム開発投資(700百万円)、保険代理店事業におけるコンサルティングプラザのリニューアル投資(272百万円)、再保険子会社の資本増強(192百万円)などに充当していく予定となっている。投資資金的には手元資金などでも十分賄える水準ではあったが、東京証券取引所の市場区分見直しに向けて、株式の流動性を高める狙いもあったと考えられる。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の56.2%から54.4%と若干低下し、有利子負債比率は同11.9%から28.1%に上昇した。コロナ禍による不測の事態に備えて社債を発行したため、有利子負債が増加したことが要因だが、ネットキャッシュは10億円以上の水準となっており、財務の健全性は確保されていると判断される。一方、収益性についてはROA、ROE、経常利益率ともに前期比で低下しているが、引き続き10%以上となっており、安定して高い収益性を維持できている点は注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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