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神戸物産 Research Memo(4):業務スーパー事業は既存店向け出荷額の伸長と新規出店効果で大幅増収増益に(1)

注目トピックス 日本株
■神戸物産<3038>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比21.2%増の320,110百万円、営業利益は同25.7%増の26,455百万円となり、過去最高を大幅に更新した。新規出店効果に加え直轄エリア※の既存店向け商品出荷額伸び率が前期比15.9%増と大きく伸長したこと、PB商品の販売好調によりグループ製造会社の収益も軒並み伸長したことが要因だ。

※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。


既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移を見ると、2020年10月期第1四半期(2019年11月-2020年1月)は、テレビ番組への露出効果や消費税増税に伴う消費者の低価格志向の強まりを背景に、前年同月比10%台前半で推移していたが、2020年3月に入ってコロナ禍を契機に内食需要が高まったことを受け、客数の増加並びに客単価の上昇もあって伸び率が加速し、4月には前年同月比31.0%増と驚異的な伸びを記録した。7月以降は9%前後の伸びとやや沈静化しているものの、期初計画の前提が2〜3%増であったことからすれば好調に推移していることに変わりはない。食品スーパー業界全体でもほぼ同様の動きとなっているが(4月の業界全体の既存店売上高は前年同月比12.4%増)、同社の伸び率は業界平均を上回って推移しており、引き続き業界内での強さも裏付けられた格好となっている。

こうした業績の躍進を支えている要因の一つとして、PB商品の好調が挙げられる。PB商品の売上構成比は前期の30.68%から31.65%と1ポイント弱上昇し、前期比伸び率としては約25%増だったと試算される。全般的に販売が好調であったが、なかでも賞味期限が長く手軽に調理できるレトルト食品のほか食パンなどが伸長した。また、スイーツ商品なども好調だった。2020年4月に岡山県の洋菓子メーカーである(株)サラニから譲受した洋菓子製造工場(現、(株)オースターフーズ 瀬戸内工場)で製造している「お手軽スポンジシート」も、自宅でケーキを手軽に作れるアイテムとして早速、ヒット商品となっている。

輸入商品ではパスタ類やオートミールのほか、夏場は野菜市況が高騰したこともあり冷凍野菜の販売が好調だった。また、中国の協力工場で新たに開発した調味料「姜葱醤(ジャンツォンジャン)」も好調だった。同商品は日本人スタッフが中国出張時に現地レストランで出会った味を再現すべく、現地メーカーと共同で開発した商品で様々な料理とマッチする調味料として好評を博している。一方、ブラジルからの鶏肉商品については低調だった。主要購買層である飲食店の経営環境が厳しかったことによる。

グループ会社の収益も増収効果によっていずれも伸びており、利益率の上昇に寄与した。特に、冷凍麺やチルド食品を製造する秦食品(株)、養鶏・鶏肉加工の(株)グリーンポートリーや(株)朝びき若鶏などの増収効果が大きかった。また、清酒メーカーの菊川(株)の業績も、酒類を取り扱う店舗が首都圏だけでなく関西圏でも増えたことにより伸長した。

なお、業務スーパーの出店状況については、新規出店で52店舗、リロケーションなどによる退店で18店舗となり、前期末比34店舗増の879店舗となった。地域別の前期末比増減を見ると、関東直轄エリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で9店舗増、関西直轄エリア(淡路島除く)で1店舗増、九州直轄エリア(鹿児島県除く)で16店舗増、その他地方エリアで8店舗増となっている。特に、九州直轄エリアは長らく店舗のなかった長崎県や熊本県、佐賀県にも出店するなど2019年10月期以降、出店ペースが加速しており、FCオーナーの出店意欲がもっとも旺盛な地域となっている。

(2) 神戸クック事業
神戸クック事業の売上高は前期比6.0%減の2,054百万円、営業利益は同24.2%減の94百万円と減収減益に転じた。主力事業である日本最大級の大型バイキングチェーンである「神戸クック・ワールドビュッフェ」が、コロナ禍により2020年3月中旬から一定期間、営業時間の短縮や臨時休業を強いられたことが影響した。出店状況についても、新規出店が3店舗あった一方で退店が8店舗となり、期末店舗数は前期末比5店舗減の17店舗となり、事業開始以降で初めて減少に転じた。

一方、中食業態である「馳走菜」については、業務スーパー店舗内に併設する格好で出店を進めたこともあり、好調に推移した。新規出店数は15店舗となり、期末店舗数で前期末比15店舗増加の25店舗となった。1店舗当たりの平均売上高は5〜6千万円/年程度と見られ、同事業セグメント内における構成比も急速に上昇している。

(3) クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業の売上高は前期比48.2%減の15,772百万円、営業利益は同40.3%減の379百万円となった。前述したように2020年10月期第3四半期から連結対象から外れたことが要因だ。

(4) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前期比2.6%増の2,401百万円、営業利益は同15.8%減の304百万円となった。2020年10月期は新規発電所の稼働がなく、発電量は太陽光発電所が16ヶ所で約22.0MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW、合計で約28.2MWとなっている。売上高は2019年3月に稼働開始した和歌山、北海道の太陽光発電所(合計約4.0MW)がフルに貢献したこと等による発電量の増加が増収要因となった。

一方、営業利益が減益となったのは、2020年10月期第3四半期にバイオマス発電の燃料となる間伐材が一時的に供給不足となり、調達コストが上昇したこと、また、稼働率の引き下げが減益の要因となった。道内で別会社の大型バイオマス発電所が新規稼働するにあたって、間伐材を大量調達したことが供給不足の原因となったが、現在は需給バランスも正常化しており、調達コスト並びに稼働率も元の水準に戻っている。同社では、調達リスクを解消するため、新規取引の開拓により、今後は同様の理由で収益が悪化する状況は発生しないと見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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