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キットアライブ Research Memo(5):売上高は微増となるも採用難と単価向上の遅れで減益

注目トピックス 日本株
*18:45JST キットアライブ Research Memo(5):売上高は微増となるも採用難と単価向上の遅れで減益
■業績動向

1. 2024年12月期の業績概要
キットアライブ<5039>の2024年12月期の業績は、売上高が前期比2.3%増の835百万円、営業利益が同29.8%減の138百万円、経常利益が同24.2%減の153百万円、当期純利益が同28.8%減の104百万円となった。売上高は微増となったものの、採用不足により対応可能な案件数が制限され、単価向上の遅れも影響した結果、利益面で大幅な減益となった。営業利益率も低下し、成長戦略の見直しが求められる。一方で、市場のクラウド需要は引き続き堅調であり、2025年12月期に向けて採用強化や価格戦略の見直しを進めることで業績の回復を図る。

(1) 売上総利益の推移
同社の売上総利益は、2021年12月期から2023年12月期にかけて成長を続けていたが、2024年12月期は371百万円となり、前期比7.4%減少した。売上総利益率も前期の49.2%をピークに、2024年12月期には44.5%へと低下している。これは、エンジニア採用不足による案件対応数の制限や、単価向上の遅れが影響した可能性がある。今後、同社は採用強化や価格戦略の見直しを進めることで利益率の回復を図る。

(2) 売上高・経常損益の推移
同社の売上高は、2019年12月期から年々増加を続け、2024年12月期には835百万円に達した。特に2021年12月期以降の成長が顕著で、クラウド需要の拡大が追い風となったと考えられる。一方で、経常利益は2023年12月期の202百万円をピークに、2024年12月期には153百万円へと減少した。売上成長を維持する一方で、採用不足による案件対応力の制限や単価向上の遅れが影響し、利益率が低下したと推測される。今後、採用強化と収益性向上が課題となる。

2. 財務状況
(1) 貸借対照表と経営指標
同社の2024年12月期末の資産合計は前期末比160百万円増の1,004百万円と、拡大が継続している。流動資産は売掛金及び契約資産の増加、現金及び預金の増加などによって140百万円増加した。固定資産についても、有形固定資産及び投資その他の資産の増加により20百万円増加した。一方で、負債合計は同55百万円増の186百万円となった。固定負債の計上がないため、未払費用や前受金、未払法人税等の流動負債の増加によるものとなっている。結果として負債比率が上昇したものの、引き続き財務の安定性は維持されている。

純資産合計は前期末比105百万円増の818百万円となり、自己資本比率は81.4%で同3.1ポイント低下したものの高水準を維持している。しかしながら、収益性の指標であるROEは13.7%(前期比9.3ポイント低下)、ROAは16.6%(同9.1ポイント低下)となった。売上高が同2.3%増加したものの、営業利益や経常利益が2ケタ減となった影響が大きく、売上高営業利益率も16.6%(同7.5ポイント低下)となった。採用不足による案件対応力の制限や、単価向上の遅れが収益性に影響を与えたことがうかがえる。財務基盤は引き続き堅実であるものの、利益率を回復するべく収益性向上に向けた施策が求められる。

(2) キャッシュ・フロー計算書
同社の2024年12月期におけるキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが116百万円となった。これは税引前当期純利益の減少が主因であり、収益性の低下がキャッシュ創出力にも影響を与えた可能性がある。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは17百万円の支出となり、投資支出は抑制傾向にある。財務活動によるキャッシュ・フローは資金調達や配当などの動きがなく計上なしであった。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比99百万円増の773百万円となり、資金繰りには一定の余裕がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)



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