世界初、シリコーン硬化用鉄触媒の空気耐性を向上させるカプセル化技術を開発しました
[26/05/13]
提供元:PRTIMES
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レアメタル依存度の低減とともに、鉄触媒による量産化の道を拓く
NEDOの「官民による若手研究者発掘支援事業」(以下、若サポ)の一環として、北里大学の神谷昌宏講師らの研究グループと富士高分子工業株式会社は、シリコーン硬化用鉄触媒をシリコーンレジンによりカプセル化することで、空気耐性を劇的に向上させる技術(カプセル化鉄触媒)を開発しました。
さらに、開発したカプセル化鉄触媒をシリコーンTIM(Thermal Interface Material)製造に適用する技術検証を実施し、白金触媒で使用されている従来の製造設備および生産環境下で量産可能であることを実証しました。開発したTIMは、富士高分子工業よりサンプル提供を開始します。
硬化適性と長期保管安定性を同時に満たす鉄触媒の開発は世界で初めてとなり、鉄触媒によるシリコーン製造の普及促進が期待できます。これにより、レアメタルへの依存度を低減し、持続的かつ安定的なシリコーン製品の産業基盤構築に貢献することを目指します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-b1098cc4fca516d93f51f2f474b5670e-2934x605.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 カプセル化鉄触媒で製造したシリコーンTIM
1.背景
レアメタルである白金を触媒とした硬化シリコーン材料の製造法は、剥離(はくり)コーティング剤やシリコーンゴム製品に用いられ、工業用途から医療材料、調理器具などの生活関連用品まで幅広く利用されています。特に、近年では電気自動車のバッテリーや中央演算装置(CPU)の放熱用材料分野でシリコーン系TIMが利用されており、製品の低コスト化とさらなる高機能化の要求に応えるため、安価かつ豊富な資源である鉄などを触媒として利活用する研究開発が活発になっています。こうした産業要請に応えるため、NEDOは2014年度から2021年度までの事業※1で有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術の開発を進め、その一環として、シリコーン硬化用鉄触媒の技術開発に取り組んできました。 2026年1月には、開発した鉄触媒を「世界初のシリコーン硬化に適した触媒」として東京化成工業株式会社から販売開始※2しています。この鉄触媒は、白金触媒では製造困難なヘテロ原子※3を含む部材の製造にも適用可能であるため、より高機能な新素材開発への利用も期待されます。一方で、上記の鉄触媒は実環境と量産スケールに適した長期保管安定性に課題を残しており、鉄触媒によるシリコーン製品普及の壁となっていました。
このような背景の下、北里大学は2022年度よりNEDO若サポ※4マッチングサポートフェーズに参加し、2024年度からは共同研究フェーズにおいて富士高分子工業と連携し実環境下での実証実験を進め、実用化に適したシリコーン材料製造技術の開発に取り組んでいます。
2.今回の成果
(1)カプセル化鉄触媒の開発
2026年1月から販売しているシリコーン硬化用鉄触媒は、短時間の計量や硬化検証に利用できるものの、30分以上空気に暴露すると分解して触媒性能(シリコーンの製造能力)を失います(図2左)。これに対し、今回、シリコーンレジンによりカプセル化することで、空気耐性を劇的(1万倍以上)に向上させる技術(カプセル化鉄触媒)の開発に成功しました。また、開発したカプセル化鉄触媒が空気中、室温で1年以上分解せず高い触媒性能を維持することを実証しました。これにより、実環境下での大量製造に必須の長期保管安定性を持つ鉄触媒を世界で初めて開発※5しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-adadeb6e52dd210fb05a73fac5b79eb3-3245x1512.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 長期空気暴露時の変化:鉄触媒(左)およびカプセル化した鉄触媒(右)
(2)シリコーンTIM製造における量産適性の実証
開発したカプセル化鉄触媒を利用し、従来の白金触媒と同様の設備および環境下において、TIM製造における量産適性の検証を行い、白金を使用した場合と同等の性能を有するTIMが得られました。この検証を通じて、白金触媒から鉄触媒への切り替えに伴う新たな設備投資が不要であることを確認しました。また、カプセル化鉄触媒の普及および実用化が進むことで、関連産業のレアメタルへの依存度および製造コストの低減が見込まれます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-be8e50f8cfda31fe785e41230e9d3a99-1795x618.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3 シリコーンTIM製造における量産適性が実証された工程
3.今後の予定
NEDO、北里大学、富士高分子工業は、今回開発したカプセル化鉄触媒の社会実装を目指します。その第一弾として、富士高分子工業は今回開発したTIMのサンプル提供を開始します。北里大学と富士高分子工業は引き続き連携し、カプセル化鉄触媒を利用した実証実験およびカプセル化鉄触媒の製品化を進めることで、シリコーン産業のレアメタル依存度を低減し、持続的かつ安定的な産業基盤の構築に貢献します。
【注釈】
※1 2014年度から2021年度までの事業
事業名:有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発
事業期間:2014年度〜2021年度
事業概要:有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発[k柿1.1] https://www.nedo.go.jp/activities/EV_00295.html
※2 東京化成工業株式会社から販売開始
2026年1月21日より、世界初のシリコーンの硬化用鉄触媒として東京化成工業(製品コード:B6618)として販売を開始しています。白金触媒では製造困難なヘテロ原子を含むシリコーンの硬化にも適用できることを実証しました。今回開発したカプセル化はこの鉄触媒の長期保管安定性を向上させる技術であり、カプセル化鉄触媒は以前の鉄触媒と同等の触媒性能と長期保管安定性を兼ね備える新規触媒材料です。
<参照>世界初、レアメタルに依存しないシリコーン硬化用の鉄触媒の開発・製品化に成功しました[k柿2.1]
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101903.html
※3 ヘテロ原子
窒素や硫黄、リンなどの炭素と水素以外の原子のことです。これらは材料に新しい機能を付与するために重要ですが、従来の白金触媒ではうまく硬化させることができませんでした。本技術により、これらの成分を含んだ高機能なシリコーンを作ることが可能になります。
※4 若サポ
事業名:官民による若手研究者発掘支援事業((若サポ))
事業期間:2022年度〜2026年度
事業概要:官民による若手研究者発掘支援事業((若サポ)[k柿3.1]) https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100166.html
※5 長期保管安定性を持つ鉄触媒を世界で初めて開発
NEDO調べによります。
NEDOの「官民による若手研究者発掘支援事業」(以下、若サポ)の一環として、北里大学の神谷昌宏講師らの研究グループと富士高分子工業株式会社は、シリコーン硬化用鉄触媒をシリコーンレジンによりカプセル化することで、空気耐性を劇的に向上させる技術(カプセル化鉄触媒)を開発しました。
さらに、開発したカプセル化鉄触媒をシリコーンTIM(Thermal Interface Material)製造に適用する技術検証を実施し、白金触媒で使用されている従来の製造設備および生産環境下で量産可能であることを実証しました。開発したTIMは、富士高分子工業よりサンプル提供を開始します。
硬化適性と長期保管安定性を同時に満たす鉄触媒の開発は世界で初めてとなり、鉄触媒によるシリコーン製造の普及促進が期待できます。これにより、レアメタルへの依存度を低減し、持続的かつ安定的なシリコーン製品の産業基盤構築に貢献することを目指します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-b1098cc4fca516d93f51f2f474b5670e-2934x605.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 カプセル化鉄触媒で製造したシリコーンTIM
1.背景
レアメタルである白金を触媒とした硬化シリコーン材料の製造法は、剥離(はくり)コーティング剤やシリコーンゴム製品に用いられ、工業用途から医療材料、調理器具などの生活関連用品まで幅広く利用されています。特に、近年では電気自動車のバッテリーや中央演算装置(CPU)の放熱用材料分野でシリコーン系TIMが利用されており、製品の低コスト化とさらなる高機能化の要求に応えるため、安価かつ豊富な資源である鉄などを触媒として利活用する研究開発が活発になっています。こうした産業要請に応えるため、NEDOは2014年度から2021年度までの事業※1で有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術の開発を進め、その一環として、シリコーン硬化用鉄触媒の技術開発に取り組んできました。 2026年1月には、開発した鉄触媒を「世界初のシリコーン硬化に適した触媒」として東京化成工業株式会社から販売開始※2しています。この鉄触媒は、白金触媒では製造困難なヘテロ原子※3を含む部材の製造にも適用可能であるため、より高機能な新素材開発への利用も期待されます。一方で、上記の鉄触媒は実環境と量産スケールに適した長期保管安定性に課題を残しており、鉄触媒によるシリコーン製品普及の壁となっていました。
このような背景の下、北里大学は2022年度よりNEDO若サポ※4マッチングサポートフェーズに参加し、2024年度からは共同研究フェーズにおいて富士高分子工業と連携し実環境下での実証実験を進め、実用化に適したシリコーン材料製造技術の開発に取り組んでいます。
2.今回の成果
(1)カプセル化鉄触媒の開発
2026年1月から販売しているシリコーン硬化用鉄触媒は、短時間の計量や硬化検証に利用できるものの、30分以上空気に暴露すると分解して触媒性能(シリコーンの製造能力)を失います(図2左)。これに対し、今回、シリコーンレジンによりカプセル化することで、空気耐性を劇的(1万倍以上)に向上させる技術(カプセル化鉄触媒)の開発に成功しました。また、開発したカプセル化鉄触媒が空気中、室温で1年以上分解せず高い触媒性能を維持することを実証しました。これにより、実環境下での大量製造に必須の長期保管安定性を持つ鉄触媒を世界で初めて開発※5しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-adadeb6e52dd210fb05a73fac5b79eb3-3245x1512.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 長期空気暴露時の変化:鉄触媒(左)およびカプセル化した鉄触媒(右)
(2)シリコーンTIM製造における量産適性の実証
開発したカプセル化鉄触媒を利用し、従来の白金触媒と同様の設備および環境下において、TIM製造における量産適性の検証を行い、白金を使用した場合と同等の性能を有するTIMが得られました。この検証を通じて、白金触媒から鉄触媒への切り替えに伴う新たな設備投資が不要であることを確認しました。また、カプセル化鉄触媒の普及および実用化が進むことで、関連産業のレアメタルへの依存度および製造コストの低減が見込まれます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/265/135644-265-be8e50f8cfda31fe785e41230e9d3a99-1795x618.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3 シリコーンTIM製造における量産適性が実証された工程
3.今後の予定
NEDO、北里大学、富士高分子工業は、今回開発したカプセル化鉄触媒の社会実装を目指します。その第一弾として、富士高分子工業は今回開発したTIMのサンプル提供を開始します。北里大学と富士高分子工業は引き続き連携し、カプセル化鉄触媒を利用した実証実験およびカプセル化鉄触媒の製品化を進めることで、シリコーン産業のレアメタル依存度を低減し、持続的かつ安定的な産業基盤の構築に貢献します。
【注釈】
※1 2014年度から2021年度までの事業
事業名:有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発
事業期間:2014年度〜2021年度
事業概要:有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発[k柿1.1] https://www.nedo.go.jp/activities/EV_00295.html
※2 東京化成工業株式会社から販売開始
2026年1月21日より、世界初のシリコーンの硬化用鉄触媒として東京化成工業(製品コード:B6618)として販売を開始しています。白金触媒では製造困難なヘテロ原子を含むシリコーンの硬化にも適用できることを実証しました。今回開発したカプセル化はこの鉄触媒の長期保管安定性を向上させる技術であり、カプセル化鉄触媒は以前の鉄触媒と同等の触媒性能と長期保管安定性を兼ね備える新規触媒材料です。
<参照>世界初、レアメタルに依存しないシリコーン硬化用の鉄触媒の開発・製品化に成功しました[k柿2.1]
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101903.html
※3 ヘテロ原子
窒素や硫黄、リンなどの炭素と水素以外の原子のことです。これらは材料に新しい機能を付与するために重要ですが、従来の白金触媒ではうまく硬化させることができませんでした。本技術により、これらの成分を含んだ高機能なシリコーンを作ることが可能になります。
※4 若サポ
事業名:官民による若手研究者発掘支援事業((若サポ))
事業期間:2022年度〜2026年度
事業概要:官民による若手研究者発掘支援事業((若サポ)[k柿3.1]) https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100166.html
※5 長期保管安定性を持つ鉄触媒を世界で初めて開発
NEDO調べによります。










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