セプテーニHD Research Memo(7):ゲームは開発リスク抑制で収益拡大、マンガは版権事業化を模索
[14/06/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■メディアコンテンツ事業の概況
(2)各論
(a)モバイルゲーム事業
現在、同事業を担当しているのはアクセルマークのみである。アクセルマークは歴史的にディー・エヌ・エー<2432>が運営する「Mobage(モバゲー)」向けにブラウザゲームを供給してきた。しかし、現在の流れはブラウザゲーム(Webアプリ)からネイティブアプリへと需要がシフトしつつあるタイミングにある。こうした状況にあってアクセルマークは、既存のヒットタイトルのマルチプラットフォーム展開や、ネイティブアプリを中心に新規ゲーム開発への人材の積極投入などの対応を行っている。
マルチプラットフォーム展開の例は、Mobageでヒットしていた「天空のレギオン」が挙げられる。2014年9月期の第1四半期からはミクシィ<2121>が運営する「mixi」にも提供を開始したが、第2四半期にはさらに他のプラットフォームにも拡大された。既存タイトルのマルチプラットフォーム展開は新規タイトルのリリースほどの派手さはないものの、当たり外れのリスクが抑制されるうえに利益面での効果が大きいため、チャンスがあれば他のタイトルでも行っていく方針としている。
モバイルゲーム市場におけるネイティブアプリへの流れは、アクセルマークのようなゲーム企業にとっては一長一短がある。これまでのブラウザゲームに比べて、ネイティブアプリ化することで顧客層及び販路が拡大し、事業の成長ポテンシャルが高まるのは間違いない。しかしそれは同時に、競争環境の激化と開発コストの増大にもつながっている。つまり、当たれば大きな利益を生むが、外れれば収益を圧迫するハイリスク・ハイリターン型の事業になりがちである。アクセルマークではこうした状況を踏まえ、2013年の後半以降、他社との協業案件を増やして開発リスクを分散するなどしてミドルリスク・ミドルリターン型の事業モデルに転換した。これにより、ヒット作に依存しなくても安定的に利益を出せる企業体質になってきた。これからも手堅く利益を確保しながら、新たなゲームの開発にも積極的に取り組むことで、着実な収益拡大を図っていく方針である。
(b)マンガコンテンツ事業
MC事業部門でセプテーニ・ホールディングス<4293>が新規事業として最も注力しているのがマンガコンテンツ事業だ。この事業は、子会社のコミックスマートが手掛けている。事業モデルは、自社でマンガ家を発掘・育成し、彼らのマンガコンテンツを無料配信し、まずは人気作、ヒット作を作る。その後、それらヒット作に関していわゆる版権ビジネスで回収するという流れである。現状のステージは、マンガ家の発掘・育成と同時並行で、マンガコンテンツを無料配信中という状況である。すなわち、いわゆる先行投資の最中であり、売上はほとんど立っていない。
同社は、マンガコンテンツの将来性に大きな期待を持っており、1年以上前からステルスで(極秘に)新人漫画家の発掘・育成を進めてきた。その後、連載型マンガ配信サービス「GANMA!」をリリース(2013年12月にAndroid版、2014年1月にiOS版)して事業が本格的にスタートしたという状況だ。
マンガコンテンツ事業の競合状況は、同社のほかに、ディー・エヌ・エー<2432>とNHN PlayArt社の2社が同様のサービスを提供している。ディー・エヌ・エーは2013年12月に「マンガボックス」というマンガ配信アプリをリリースした。「GANMA!」が新人作家の描き下ろし作品を配信しているのに対し、「マンガボックス」は有名作家の新作や旧作なども配信している。NHN PlayArtは2013年10月に「comico(コミコ)」ブランドの配信アプリをリリースした。内容的には同社の事業モデルに近く、新人作家の作品を主体に配信している。いずれも無料のスマホアプリという構成になっているところは共通だ。口コミなどを見る限りは、無料ということもあっておおむね好評のようだ。期せずして3社がほぼ同じタイミングでサービスを開始したことも、読者層の拡大に貢献しているようだ。
マンガコンテンツ事業の収益モデルの中核は、前述したように「ヒット作品を生み出し、版権ビジネスに発展させる」というものだ。そのため、優秀な作家を地道に発掘・育成して作品のクオリティを向上させることに最も注力しており、最近では読者のコメント等を通じてその手応えを感じているようだ。読者層の拡大については、基本的には口コミに基づいた草の根的な人気化を目指すとしている。ただ、いわゆる宣伝・広告活動を一切否定するわけではなく、状況に応じて大規模プロモーションを実施していく方針のようだ。
いずれにしてもマンガコンテンツ事業はまだ先行投資段階にあるとともに、本格サービスの開始から半年が経過したに過ぎないため、収益貢献を見通すにはデータ・材料が不足していることは否めない。もうしばらく状況を見守る必要があると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2)各論
(a)モバイルゲーム事業
現在、同事業を担当しているのはアクセルマークのみである。アクセルマークは歴史的にディー・エヌ・エー<2432>が運営する「Mobage(モバゲー)」向けにブラウザゲームを供給してきた。しかし、現在の流れはブラウザゲーム(Webアプリ)からネイティブアプリへと需要がシフトしつつあるタイミングにある。こうした状況にあってアクセルマークは、既存のヒットタイトルのマルチプラットフォーム展開や、ネイティブアプリを中心に新規ゲーム開発への人材の積極投入などの対応を行っている。
マルチプラットフォーム展開の例は、Mobageでヒットしていた「天空のレギオン」が挙げられる。2014年9月期の第1四半期からはミクシィ<2121>が運営する「mixi」にも提供を開始したが、第2四半期にはさらに他のプラットフォームにも拡大された。既存タイトルのマルチプラットフォーム展開は新規タイトルのリリースほどの派手さはないものの、当たり外れのリスクが抑制されるうえに利益面での効果が大きいため、チャンスがあれば他のタイトルでも行っていく方針としている。
モバイルゲーム市場におけるネイティブアプリへの流れは、アクセルマークのようなゲーム企業にとっては一長一短がある。これまでのブラウザゲームに比べて、ネイティブアプリ化することで顧客層及び販路が拡大し、事業の成長ポテンシャルが高まるのは間違いない。しかしそれは同時に、競争環境の激化と開発コストの増大にもつながっている。つまり、当たれば大きな利益を生むが、外れれば収益を圧迫するハイリスク・ハイリターン型の事業になりがちである。アクセルマークではこうした状況を踏まえ、2013年の後半以降、他社との協業案件を増やして開発リスクを分散するなどしてミドルリスク・ミドルリターン型の事業モデルに転換した。これにより、ヒット作に依存しなくても安定的に利益を出せる企業体質になってきた。これからも手堅く利益を確保しながら、新たなゲームの開発にも積極的に取り組むことで、着実な収益拡大を図っていく方針である。
(b)マンガコンテンツ事業
MC事業部門でセプテーニ・ホールディングス<4293>が新規事業として最も注力しているのがマンガコンテンツ事業だ。この事業は、子会社のコミックスマートが手掛けている。事業モデルは、自社でマンガ家を発掘・育成し、彼らのマンガコンテンツを無料配信し、まずは人気作、ヒット作を作る。その後、それらヒット作に関していわゆる版権ビジネスで回収するという流れである。現状のステージは、マンガ家の発掘・育成と同時並行で、マンガコンテンツを無料配信中という状況である。すなわち、いわゆる先行投資の最中であり、売上はほとんど立っていない。
同社は、マンガコンテンツの将来性に大きな期待を持っており、1年以上前からステルスで(極秘に)新人漫画家の発掘・育成を進めてきた。その後、連載型マンガ配信サービス「GANMA!」をリリース(2013年12月にAndroid版、2014年1月にiOS版)して事業が本格的にスタートしたという状況だ。
マンガコンテンツ事業の競合状況は、同社のほかに、ディー・エヌ・エー<2432>とNHN PlayArt社の2社が同様のサービスを提供している。ディー・エヌ・エーは2013年12月に「マンガボックス」というマンガ配信アプリをリリースした。「GANMA!」が新人作家の描き下ろし作品を配信しているのに対し、「マンガボックス」は有名作家の新作や旧作なども配信している。NHN PlayArtは2013年10月に「comico(コミコ)」ブランドの配信アプリをリリースした。内容的には同社の事業モデルに近く、新人作家の作品を主体に配信している。いずれも無料のスマホアプリという構成になっているところは共通だ。口コミなどを見る限りは、無料ということもあっておおむね好評のようだ。期せずして3社がほぼ同じタイミングでサービスを開始したことも、読者層の拡大に貢献しているようだ。
マンガコンテンツ事業の収益モデルの中核は、前述したように「ヒット作品を生み出し、版権ビジネスに発展させる」というものだ。そのため、優秀な作家を地道に発掘・育成して作品のクオリティを向上させることに最も注力しており、最近では読者のコメント等を通じてその手応えを感じているようだ。読者層の拡大については、基本的には口コミに基づいた草の根的な人気化を目指すとしている。ただ、いわゆる宣伝・広告活動を一切否定するわけではなく、状況に応じて大規模プロモーションを実施していく方針のようだ。
いずれにしてもマンガコンテンツ事業はまだ先行投資段階にあるとともに、本格サービスの開始から半年が経過したに過ぎないため、収益貢献を見通すにはデータ・材料が不足していることは否めない。もうしばらく状況を見守る必要があると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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