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カイオム Research Memo(3):2Qはほぼ計画通りの進捗

注目トピックス 日本株

■業績動向

(1)2014年12月期の第2四半期累計決算の概要

2014年11月14日付で発表された2014年12月期の第2四半期累計(2014年4月-9月期)の連結業績は、売上高が158百万円、営業損失が581百万円、経常損失が582百万円、四半期純損失が557百万円となった。対前四半期比では売上高がほぼ横ばいとなり、研究開発費が増加した分、営業損失が拡大した格好となっており、ほぼ計画どおりの進捗となった。

事業セグメント別の動向は以下のとおり。

○創薬アライアンス事業

2014年12月期第2四半期(2014年4月-9月期)の売上高は72百万円(前四半期70百万円)、セグメント利益は45百万円(同42百万円)となった。前年同期比では中外製薬<4519>グループ向けの売上高が減少したものの、研究開発稼働は順調に進んでおり、計画通りの進捗となっている。また、子会社のリブテックにおいては、がん治療用抗体「LIV-2008」※の共同研究先であるヤクルト本社と、リブテック主導による開発抗体の製造及び前臨床試験の一部を実施している。なお、「LIV-2008」に関しては10月に、開発進捗によるマイルストーンを達成したことが発表されており、2014年10月-12月期においてマイルストーン収入が売上に計上される見込みとなっている(金額は軽微で非開示)。開発の進捗とは、主要ながん種において動物試験により、一定数値以上の薬効が認められたことを指しているものと思われる。

※LIV-2008・・・乳がん、肺がん、すい臓がん、大腸がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現する特定の抗原に結合し、がん細胞の増殖を阻害するヒト化モノクローナル抗体。

○リード抗体ライセンスアウト事業

リード抗体ライセンスアウト事業での売上高実績はまだなく、現在は複数の開発パイプラインの研究が進んでいる段階となっている。このうち、カイオム・バイオサイエンス<4583>初のリード抗体候補である抗セマフォリン3A抗体に関しては、横浜市立大学・五嶋研究室と共同研究を進めている。炎症性疾患モデル(敗血症・DICモデル)とがん領域を適用領域として、疾患モデル動物での薬効試験を継続中となっている。また、技術提携先のBiotecnol社とのがん領域における治療用抗体の研究開発プロジェクトに関しても、2014年12月期第2四半期(2014年4月-9月期)には抗体作製から機能検証の段階に1段階進んだ格好となっている。

その他、2014年12月期第2四半期に入って新たに名古屋市立大学・植村研究室、横浜市立大学・竹居研究室とそれぞれ新規抗体作製のための共同研究が開始されている。名古屋市立大の植村研究室は眼科領域の研究室であり、抗セマフォリン3A抗体の受容体となるニューロピリンが血管新生※を抑制する働きを持つことから、加齢黄班変性や糖尿病網膜症などを適用領域とした研究を進めていくものとみられる。一方、横浜市立大の竹居研究室は中枢神経系領域を専門とする研究室であり、同領域での共同研究が進む見通しで、いずれも今後の開発パイプラインとして期待される。

※血管新生・・・既存の血管から何らかの原因により分岐して新たな血管が形成されること。

○基盤技術ライセンス事業

2014年12月期第2四半期(2014年4月-9月期)の売上高は7百万円、セグメント利益も7百万円と前四半期と同水準で推移した。オリジナルADLib(R)システムの技術導出先である富士レビオの欧州子会社が、ビタミンD測定用の抗体を含む診断キット(くる病患者の診断用等として使用)の販売を2013年12月より開始しており、売上高に応じたロイヤルティ収入やADLib(R)システムの年間使用料等を計上している。このほか、技術ライセンスに興味を持つ国内外企業との間で技術評価試験の実施、及び技術ライセンススキームの交渉などを行っている。

○研究開発の状況
完全ヒトADLib(R)システムに関しては実用化レベルの段階まできているが、製薬企業への導出にむけた完成度を高めていくため、多様化レベルの向上とライブラリの拡充を進めている段階にある。また、完全ヒトADLib(R)システムに関しては、2014年3月に実用化レベルでの抗体作製技術を確立したことを発表して以降、国内外のメガファーマを含む複数の製薬企業からの問い合わせがあり、9月以降も海外での講演実施とともに関心を寄せる企業は増えていると言う。今後は数社と試験的契約を結び、2016年度の技術導出(基盤技術ライセンス売上)につなげていきたい考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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