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サイネックス Research Memo(6):『わが街事典』は『テレパル50』とのベストミックスで高収益性を実現

注目トピックス 日本株
■事業部門別詳細と中長期の考え方

1. 出版事業
(1) 出版事業の全体像
出版事業はサイネックス<2376>の創業事業である地域別電話帳『テレパル50』と、地域行政情報誌『わが街事典』の紙媒体商品を取り扱っている。現状の商品構成としては、『テレパル50』と『わが街事典』がおおよそ半々とみられる。ただし、『わが街事典』事業の中には、総合的な地域行政情報誌である『わが街事典』に加え、派生商品と言える“子育て”や“防災”などの各テーマ別・ジャンル別便利帳も含まれており、近年はテーマ別・ジャンル別便利帳の発行も急速に伸びてきている状況だ。

(2) 『わが街事典』事業
a) 事業モデル
現在の中核商品である『わが街事典』(出版物の名称としては「○○市便利帳」等となることも多い)は自治体ごとに制作され、製本された上で当該自治体の全世帯に無料配布される地域行政情報誌だ。内容は当該自治体についての歴史や文化などの知識やレジャー・イベント情報などから、最も重要な行政情報(各種制度や手続き・窓口の案内など)や防災情報、医療機関情報、交通機関の情報などが網羅されたものとなっている。2006年に大阪府和泉市の市民便利帳を発行したのが第1号案件だ。

『わが街事典』の発行事業は、同社と当該自治体の官民協働事業であり、発行は同社と自治体の共同発行という体裁となる。自治体にとっては資金負担がないゼロ予算事業であり、行政情報の提供などで協力する。一方、同社は『わが街事典』の広告スペースを各種事業者に販売し、その広告収入が同社の収入となる。同社の業務は、『わが街事典』の企画・制作・広告枠の販売及び各戸への配本ということになる。当該地域の事業者を広告主とすることで、自治体、住民、事業者の3者を“三方よし”の関係でつなぐことになる。同社は “三方よし”実現を徹底的に追求し、地方再生のプラットフォームの役割を果たしている。

b) 事業の成長性と収益性
同社はこれまで全国720超の自治体と『わが街事典』の共同発行を行ってきた(2017年6月末時点)。日本の市町村(東京23区を含む)数は1,741(市区部814、町村927、2016年10月現在)で、理論上はこのすべての自治体が協働事業の対象となるが、小規模な町村は広告主となる事業者数も限定されるため、市区部と一定規模の人口を有する町村を合わせた900〜1,000自治体が現実的な共同事業の対象自治体数と弊社では推測している。

『わが街事典』事業の競合相手は、全国ベースで展開している事業者は存在していない。地域・エリアごとには類似事業を行っている事業者は存在しているが、事業モデルが同社とは少し異なるケースも多く、同社自身は直接の競合とは認識しないケースも多いもようだ。また、同社自身が全国に50超の営業拠点を展開して地域密着型営業に努めているため、地元企業との競合においても、“地元性”の観点で不利になるケースはないもようだ。

以上のような状況を総合的に判断して、弊社では、全国1,741自治体のうち、半数の850〜900自治体は、『わが街事典』の共同発行者として取り込めるものとみている。前述のように、既に720超の自治体が『わが街事典』を発行済みであるため、事業としての成長性が限定的と考える向きがあるかもしれないが、そうではない。情報は日々更新される性質を有するため、再版需要が存在する。過去の事例から、平均すると2〜3年に1度の割合で再版する傾向にある。

2017年3月期は183自治体が発行し、年間発行自治体数としては過去最高を更新した。内訳を見ると、新規発行自治体数が72と前期比17減少したのに対して、再版自治体数が111と同29増加している点が注目される。720の自治体が3年ごとに再版すると仮定すれば、1年当たりでは240となり、これだけでも足元の年間発行自治体数を上回る。すべての自治体が再版を行うわけではなく、サイクルもバラバラであるため、計算どおりにはいかないが、再版需要だけで同社の事業はまだ成長余地があることは容易にイメージできるだろう。

成長性を考える上でのもう1つのポイントは、テーマ別・ジャンル別の便利帳だ。前述のように、これら『わが街事典』からの派生商品の発行数は近年、急速に伸びている。テーマが限定されているため、物理的な編集・制作の時間も短く、生産効率は高いと弊社では想定している。一方で、広告主を獲得する上では、包括的な『わが街事典』と比べて対象が限定されることも考えられる。ただしこの点は、後述するようにITとの融合化の中で、広告獲得における改善余地はまだまだ大きいと考えており、懸念するには当たらないと考えている。

c) 事業の収益性
『わが街事典』事業の収益性は、個別案件の中には低いケースもあるものの、事業全体として見た場合には、同社の全社平均を上回る利益率を確保できているのは疑いない。事業セグメント別営業利益構成比において、出版事業セグメントが88.5%(2017年3月期実績ベース)を占めている点が明確にそれを物語っている。

同社は三重県松阪市に一貫製作工場を擁しており、そこでCTP(computer to plate、コンピューターでの原稿作成から直で印刷原版を作ること。工期短縮、経費節減に寄与)やUV印刷機(紫外線を活用した速乾システムを採用した印刷機。リードタイム短縮に貢献)などの最新機器を用いて出版物を製作している。1工場体制ということで災害リスクなどはあるものの、全国の印刷物を1ヶ所で集中的に生産する体制が、出版事業の高い収益性に大きく貢献していると弊社ではみている。

収益性の今後の方向性について、弊社ではまだ向上の余地はあると考えている。それは、営業部員の習熟度の向上によるものだ。『わが街事典』は『テレパル50』と比較して2つのハンディキャップがある。1つは自治体との共同作業であるため、制作・出版のスケジュールが自治体側の要求などで強い制約を受けることだ。もう1つは2007年開始ということで、歴史が浅いことだ。このうち、歴史が浅い点については、再版自治体の増加と、同社の営業担当者自身の習熟度向上により、様々な点で改善が顕著になってきている。具体的には広告主の獲得のスピード向上や、編集・制作期間の短縮化などで、1版当たりの生産効率が上昇している。この点は今後もまだ改善余地が期待できると弊社では期待している。

(3) 『テレパル50』事業
a) 事業モデル
『テレパル50』は一般家庭に無料配布する50音別電話帳であり、事業モデルは『わが街事典』と同じだ。すなわち、広告枠を販売した広告料収入が同社の収入となる。『わが街事典』との違いは、地方自治体のような協働事業者がおらず、同社の独自企画で事業が進められるという点だ。同社は、広告主でもある地元商工会との連携を図りながら、地域に密着した中小事業者向けに広告を販売することで、地域社会に不可欠な存在となることを目指した商品づくりを行っている。

商品性の面では、1)全通信キャリアの電話番号情報掲載、2)地域情報の拡充、3)利便性向上、などに注力している。類似品にはNTT(日本電信電話<9432>)のタウンページがあるが、紙面づくりや情報の内容、コンセプトが大きく異なり、利用者の視点からは、競合よりもむしろ相互補完関係にあると言えると弊社では見ている。

b) 事業の成長性と収益性
スマートフォンを含む携帯電話の世帯普及率が約95%という現状を踏まえると、『テレパル50』は今後も存在できるかという視点がまず必要だと言える。この点について、弊社ではまったく懸念していない。そもそも『テレパル50』が存在するために必要なものは、広告主である事業者側からのニーズだと弊社では考えている。この点については、特に地方において電話帳経由の集客事例がまだまだ多いと想定され、『テレパル50』の存在意義は当分続くと弊社では考えている。

しかし同時に、同社が『テレパル50』で積極的に成長を追求しているわけではないと、弊社ではみている。上述のような事業環境を考えれば、アグレッシブな成長シナリオを描くのは難しい。同社は年間に1,200地区を対象に約1,000万部の発行を基準としてこの事業を行っており、この水準が今後も継続していくという姿を弊社では想定している。

『テレパル50』事業の最大の価値は、この事業が完全に同社の単独事業であるため、出版・発行のスケジュールが同社の都合で決定できるということだ。さらに言えば、より小さい単位で発行することや60年以上に及ぶ長い歴史の中でデータベースや制作・発行のノウハウやプロセス等が確立している点も大きい。要は、機敏に動けるということだ。同社はこの2つの特長を生かして、繁閑の差が大きい『わが街事典』事業が造る“谷”を『テレパル50』で埋めている。これこそが 『テレパル50』の最も大きな価値だと弊社では考えている。前述のように、同社は松阪市の工場で出版事業のすべての製品を製作している。工場稼働率を常に一定以上に維持できる点が出版事業の高い利益率に貢献していると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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