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アドクリ Research Memo(3):保険代理店事業をけん引役に、2018年9月期業績は2ケタ増収増益に

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年9月期の業績概要
アドバンスクリエイト<8798>の2018年9月期の連結業績は、売上高で前期比16.4%増の9,468百万円、営業利益で同12.0%増の1,168百万円、経常利益で同10.9%増の1,135百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.8%増の785百万円となった。売上高は3期連続増収、利益は2期連続の増益となり、売上高は11期振り、当期純利益は2期連続で過去最高を更新した。保険選びサイト「保険市場」のユーザビリティ向上だけでなく、SNSやチャットボット等を活用した効果的なWebプロモーション施策を実施し、資料請求・アポイント数の増加に取組んだことで、主力の保険代理店事業の売上高が前期比14.7%増、営業利益が同13.2%増と好調に推移したことが主因だ。

売上原価はWebプロモーションコストの増加を主因として前期比33.0%増加し、売上原価率は前期比3.5ポイント上昇した。また、販管費及び一般管理費はコールセンター部門の人員体制強化や直営店の営業人員増等により人件費が前期比22.5%増の2,462百万円※となったものの、その他経費の抑制により全体では同10.8%の増加にとどめ、販管費率は同3.0ポイント低下した。売上高営業利益率は原価率上昇により、同0.5ポイント低下の12.3%となっている。

※人件費=報酬給与(派遣スタッフ含む)+賞与引当金繰入額+退職給付費用。うち、派遣コストは前期比27%増となった。


会社計画比で見ると、売上高はメディア事業の伸長により2.6%上回ったものの、営業利益は再保険事業が減益となったことやプロモーションコストの増加等により、8.0%下回った。

2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比14.7%増の8,347百万円、営業利益は同13.2%増の843百万円と2期連続で2ケタ増収増益となった。売上高は2007年9月期以来、11期振りに過去最高を更新したことになる。前期後半よりLINE<3938>やFaceBook等のSNSを使ったWebプロモーションやチャットボットの活用など新たなマーケティング手法に業界に先駆けて取組んだことで「保険市場」への集客力が高まり、また、「保険市場」のユーザビリティ改善にも取組んだことで、資料請求・問い合わせ件数が前期比2ケタ増と伸長、売上増につながった。また、新たな取組みとして2017年6月より開始したAMEX(アメリカン・エキスプレス)との協業により、AMEXカード会員をターゲットとした共同募集を開始したこと、2017年9月よりAmazon.co.jpの「クレジットカード&保険」紹介ページにおいて、「保険市場」が取扱う保険商品の情報掲載を開始したことも契約件数の増加に寄与した。

Webプロモーションコストの増加によって営業利益率は前期の10.2%から10.1%と若干低下したものの、増収効果によって2期連続の2ケタ増益を達成した。2016年9月期は改正保険業法の施行(2016年5月)に対応するため、社内及び協業店のコンプライアンス体制や顧客情報管理体制のチェックを厳格に実施し、関連費用の増加もあって減益となったものの、2017年9月期以降は再び成長軌道に転じている。なお、2017年9月期はマイナス金利導入の影響で一部の貯蓄性商品の販売が停止となり、販売手数料率引下げの動きも見られたが、2018年9月期は商品構成、販売手数料率とも大きな変化はなかった。

申込ANP(新契約年換算保険料)※については、前期比15.1%増の8,480百万円となった。チャネル別で見ると、対面販売が前期比12.5%増、協業店が同31.0%増といずれも2期連続で増加したほか、通信販売が同13.4%増と8期ぶりに増加に転じた。通信販売が増加した要因は、ネット生保ANPが効果的なWebプロモーションを実施したことにより前期比52.3%増と大幅に増加したことに加えて、当期は台風や豪雨、地震など自然災害が多発したことで、損害保険商品に対するニーズが増加したことも要因となっている。

※ANP(Annualized New business Premium):新規契約分の年換算保険料。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。


対面販売の生産性(営業スタッフ1人当たりANP)についても、前期比4.3%増と引き続き高い生産性を維持している。金融リテラシーの高いアッパーミドル層からのアポイント数が増加しており、直営店における営業スタッフも約110名と前期比で10名程度増員した。一方、協業店ANPについては、同社からの顧客送客数が増加したことにより、チャネル別で最も高い伸びを示したが、同社の期待値よりは若干下回ったようだ。なお、2018年9月期末の保有契約件数は、前期末比3.9%増の519千件と順調に増加している。

(2) メディア事業
メディア事業の売上高は前期比27.7%増の832百万円、営業利益は同32.9%増の217百万円となった。保険選びサイト「保険市場」の広告収入が着実に増加していることに加えて、同社の高いプロモーションノウハウを評価した保険会社から、SEO対策等の広告運用の引き合いが増加したことが要因となっている。

(3) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比5.9%増の724百万円、営業利益は同20.3%減の105百万円となった。再保険の契約額の積み上げにより売上高は増加したものの、保険支払損害率が上昇したことにより減益となった。ただ、これは2017年9月期の支払損害率が通常よりも低く、2018年9月期はそれが正常な水準に戻ったとの認識だ。実際、営業利益率は前期の19.4%から14.6%に低下したが、同事業に関しては15%前後の水準が適正水準と従来から見ており、この見方に沿った動きとなっている。なお、2018年9月期の支払損害率の上昇は、がん保険の支払額が正常化したことが要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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