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ワコム Research Memo(7):中期経営計画を推進。戦略面をはじめ数値目標達成も視野

注目トピックス 日本株
■成長戦略

1. 中期経営計画
ワコム<6727>は2018年4月に井出信孝氏が代表取締役社長兼CEOに就任したのを機に、同年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter 2」(2019年3月期〜2022年3月期)を公表し、3年目を迎えている。ペン入力デバイス市場の本格拡大やそれに伴う競争激化に加え、同社が優位性を発揮してきたプロユースにおいても、デジタル技術(IoTやVR/MR、AI等)や通信環境(モバイル、クラウド、5G等)の進展等に伴ってユーザーニーズやワークフローに大きな進化が見られるようになってきた。同社はそのような環境変化に対応するため、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」として原点に立ち返り、ペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りながら、顧客志向の技術革新を通じて持続的な成長を目指す方向性を示している。具体的には、1)テクノロジー・リーダーシップの推進、2)アイランド&オーシャンによる緊密な連携、3)大胆な選択と集中、の3つの全社戦略に取り組み、2022年3月期の売上高100,000百万円、営業利益10,000百万円(営業利益率10%)、親会社株主に帰属する当期純利益6,948百万円、ROE 15〜20%、自己資本比率約60%を目指す内容となっている。米国の対中輸入関税引上げや世界的なコロナ禍の拡大など、想定外の外部要因による影響を受けているものの、計数目標の進捗をはじめ、戦略面でも着実な進展を見せており、今後の方向性に大きな修正点はない。次の「Chapter 3」に向けて市場環境の変化をいかにプラスに生かし、どのようにポテンシャルを高めていくのか、長期的視野での道筋を示していくことが重要となるだろう。

2. 成長戦略とその進捗
(1) テクノロジー・リーダーシップの推進
パートナー企業とのアライアンス(協業)や技術革新への積極的な投資により、常に体験を進化させることで市場をリードしていく戦略である。特に、顧客志向(ユーザーファースト)に立った技術革新を重要な戦略テーマとしているが、例えば、複数・遠隔地のクリエイターとの共同作業や2Dと3Dを自由に行き交う新たなクリエーション体験など、新たなニーズやワークフローの進化に対応していくためにはソフトウェアとの連携は不可欠となっており、開発段階からユーザーとの連携を進めるなど新たなアプローチにも取り組んでいる。これまでもVR(仮想現実)やMR(複合現実)などの次世代技術やデジタル文具、ディスプレイ、5Gといった先端技術領域を中心にパートナー企業とのアライアンスを進めてきた。2021年3月期に入ってからも、三菱鉛筆<7976>とコラボしたデジタル鉛筆「Hi-uni DIGITAL for Wacom」の発売(2020年8月)や、(株)増進会ホールディングス(Z会グループ)との教育分野における「手書き×デジタル」の利用へ向けた包括的な業務提携契約の締結(2020年10月)などで成果を残すことができた。

(2) アイランド&オーシャンによる緊密な連携
アイランド(島事業=ブランド事業)とオーシャン(海事業=テクノロジー事業)の連携により、それぞれの特性を組み合わせて成長を加速する方向性である。すなわち、「ブランド製品事業」においては、既述のとおり、顧客志向に立った新たな体験を提供するための技術革新に取り組むとともに、「テクノロジーソリューション事業」においては、独自技術のデファクトスタンダード化を推進することで、ユーザーの裾野を拡げながら規模拡大を優位に進めていく戦略と言える。OSの壁を越えてデジタルペン技術(EMR方式、アクティブES方式)のデファクトスタンダード化を推進した結果、メーカー各社からは高い評価を得ており、次世代向けのプロジェクト数も順調に伸びている。

(3) 大胆な選択と集中
市場変化に対応した製品ポートフォリオへの組み替えを進めるとともに、販管費の最適化により収益性の向上にも取り組んでいく方針である。2019年1月に販売を開始した「ディスプレイ製品」のエントリーモデルを軌道に乗せ、プロと一般ユーザーの中間にあるユーザー層(フリーランスやデザインを学ぶ学生など)を取り込むことに成功しつつある。さらに足元では、コロナ禍を追い風としてオンライン教育向けの需要が急増しており、新たな需要の獲得に向けても成果が現われ始めた。また、販管費の最適化については、持続的な成長に向けて研究開発費は高い水準を維持する一方、それ以外の費用については可能な限り効率化を図っており、メリハリのある資金配分を行っている。

3. 今後の方向性(Chapter 3に向けて)
デジタル技術や通信環境の進化は加速しており、それに伴って、デジタルペン・インクのポテンシャルにも大きな可能性が拡がっている。同社では、教育のデジタル変革(AIを活用した個別最適化教育等)、新しい働き方(リモート・オンラインコラボ)、コンテンツ需要拡大(アプリとデバイスの拡大)、クリエイティブワークフローの進化(3D化、クラウド化)、新しいPen体験(フォルダブル※、大画面、スマートホーム等といったデジタルペンで描きつける対象の拡がり)などを見据えた活動を進めていく。また、「道具」提供から「描く/書く体験」提供へと提供価値を再定義するとともに、ハードとサービスを組み合わせたビジネスにも取り組んでいく方針である。同社は将来に向けて以下の2つの戦略軸を掲げている。

※折りたたみ可能なスマートフォンのこと。


(1) ブランドビジネス戦略
「ディスプレイ製品」を中心として、初心者でもクリエイティブユーザー志向の強いユーザーからプロまでをカバーしていく製品ポートフォリオに組み替えていく。また、新しいクリエーション体験としてXR空間描画※
の開発を推進するほか、コミュニティの開拓やサポート強化を通じて、サブスクリプション(サービス課金型)の新しいビジネスモデルにも挑戦していく。また、サイン認証ソリューションの法人向け市場開拓にも取り組む。

※XR(X Reality)のXとは「未知数」を示すもの。すなわち、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などの総称を言う。


(2) テクノロジービジネス戦略
デジタル化の進む教育市場での新規開拓をパートナーとの協業を通じて強化する。特に、部品とサービスの組み合わせによるビジネスモデルの開発を進めるとともに、フォルダブルや大型デジタルホワイトボード、デジタルノート等、付加価値型案件の獲得にも取り組む。また、「ワコム標準ペンコミュニティー」の構築などを通じて、デファクトスタンダードの技術ポジションを強化していく。

弊社アナリストは、新たな需要の拡大や足元業績の伸びを勘案すれば、中期経営計画の数値目標の達成は十分に可能であると見ている。むしろ注目すべきは、中長期目線による市場変化の方向性とそのスピード、同社戦略の進捗にある。特にポイントとなるのは、同社自らの技術革新やパートナー戦略を通じて市場の変化をいかにリードしていくのか、テクノロジー・リーダシップ・カンパニーとしての主体的な取り組みにあると見ている。その一端については、毎年秋に東京都内で開催するオープンイベント「コネクテッド・インク」※において示される、各パートナーとの最新のデモンストレーションや講演を通じて窺い知ることができるだろう。デジタル化の流れは同社にとって明らかに追い風となっており、次の成長フェーズに向けて将来を見据えた活動の成果に注目したい。

※今年は2020年11月18日に開催。第5回となる今回は、アート、テクノロジー、文房具、教育などの異業種・異文化パートナーたちと、「デジタルインク」をキーワードに「創造的なカオス」を共創し、そこから何が生まれるかを問いかけた内容となっている(コロナ禍に対応してオンラインと新宿会場のハイブリッド方式で、24時間、グローバルに拠点間をリレーしながら情報発信する形式で開催)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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