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ピーバン Research Memo(6):顧客基盤の拡大で既存事業年率2ケタ成長目指し、M&Aで成長加速していく戦略

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
(1) EMS事業の育成によるシナジー創出
ピーバンドットコム<3559>は今後の成長戦略として、2020年3月期より本格的に営業活動を開始したEMS事業の育成によりプリント基板製造サービス事業とのシナジーを創出することで、試作品及び産業用電子機器向け少量生産リピート市場におけるシェア拡大を推進していく戦略となっている。EMS事業については、製品の企画段階からの要件定義や設計から入り込む必要があり、経験のある専門人材を採用した。

実績事例としては、工場や施設内の電気使用量を監視するためのIoTセンサモジュールの受注に成功している。今後、高速無線通信サービスとなる5G/ローカル5Gの普及によってIoT関連機器やウェアラブルデバイスなど新たな電子機器の開発需要が活発化することが見込まれる。一方、国内でEMSを展開している企業は多いが大量生産を前提としたサービスが主流で、試作品や小ロット品のEMSを行う企業はほとんどないため同社が参入して顧客を開拓できる余地はあると見られる。顧客ターゲットとしては、大企業からベンチャー企業まで幅広くあるなかで、同社は特に大企業の顧客開拓を進めていきたい考えだ。大企業では開発部署も多く、そのなかで横展開していくことで1社当たり売上高の拡大が期待できるためだ。

なお、同社によると国内のプリント基板生産額は2020年3月期で約6,500億円、このうち同社の主な対象領域となる試作品及び産業用電子機器向け少量生産リピート市場については約1,500億円となっている。市場シェアで見ると1%強、プリント基板生産額全体で見ると0.3%のシェアにしか過ぎずシェア拡大による成長余地は大きく、今後EMS事業も含めて顧客開拓を進めていくことができれば、年率2ケタ台の成長は十分可能と言える。なお顧客獲得施策の一つとして技術セミナーを定期的に開催しているが、コロナ禍を契機にオンラインセミナーも開催するようになり、オンラインでの営業活動も積極的に進めていく方針となっている。

(2) 次世代基板製造サービスの拡充
もう一つの成長戦略として、基板製造サービスのラインアップ拡充による売上拡大が挙げられる。同社の基板製造サービスは両面板や4層リジッド基板が大半を占めているが、2019年7月からメタル放熱基板(LED照明や自動車電装向け等)、同年9月から高多層リジッド基板(5G基地局やレーダーなど高速通信装置向け等)のサービスを開始したのに続き、2021年1月からは多層フレキシブル基板(IoT関連機器やウェアラブルデバイス向け等)のサービスもラインアップに加え顧客の多様な開発ニーズに応えていく。特に、5Gの普及によって遠隔医療・無人配送・警備ドローンなどの需要活発化、ウェアラブルデバイスや各種IoT関連製品の開発などが今後活発化していくことが予想され、同社においても事業拡大の好機となる。顧客側から見れば資材コストの低減とECで注文から調達まで一括して行えるメリットを享受できることになる。こうしたサービスラインアップの拡充が、今後の受注拡大と新規顧客の増加につながるものと期待される。

(3) 社内体制
社内体制については2021年3月期において、GUGENプラットフォームのサービス拡大及び事業の中核となるシステムインフラの整備体制強化のためシステムエンジニアやEMS専門職を採用した。従業員数は前期末比3名増の27名となる見込みで、人材採用については今の陣容で大方体制が整ったとの認識だ。同社では今後も少人数経営によって収益最大化を目指していく方針となる。

なお、中核となる「P板.com」のプラットフォームについては、「認知度向上」「育成」「購入」「ファン化」とそれぞれのプロセスごとに施策を講じて顧客基盤を拡大していく戦略となっている。「認知度向上」については、インターネットの検索エンジンで上位表示されるようSEO対策を実施しているほか、リスティング広告や業界専門誌への継続的な出稿や展示会への出展などオンラインとオフラインの両面からアプローチし、同社サービスへの会員登録の増加につなげている。

また「育成」の取り組みとしては、会員登録したリード顧客(見込み顧客)に対して「P板.com」を有効活用するための無料セミナーや技術講習会などを実施している。リード顧客の希望に応じて訪問型のサービス導入セミナーなども実施し、会員の利用拡大を促進している。「購入」に関しては、オーダーメイド型商品であるプリント基板についてWebサイト上で初心者でも簡単に仕様の選択ができるような視覚的な表示を行い、また瞬時に見積回答される「1-Click見積システム」を構築している。見積から注文・納品までをインターネットで完結しており、今後も更なる利便性向上に取り組んでいく方針となっている。「ファン化」については、技術セミナーの無料開催やWebサイトでのプリント基板製作に役立つテクニカルガイドラインを公開するなど、ものづくりのノウハウを可能な限りオープンにすることで顧客との接点を拡大しファン化を図っており、既存顧客のリピート購入促進につなげている。

(4) M&A戦略について
M&A戦略についても今後の成長戦略の一つとして位置付けている。対象としては、GUGENプラットフォームのなかで実現していないサービスやものづくり系のECプラットフォームを運営し、顧客基盤が重なる分野などを同社では想定している。なおM&Aを行う際に資金調達が必要となる場合があるが、その際には金融機関からの借入で賄っていく方針となっている。

同社では中長期の成長戦略として、既存のプリント基板製造・設計・実装サービス事業やEMS事業などのオーガニック成長で年率2ケタ成長を目指し、これに他社とのアライアンスやM&A等によって事業領域を拡大することで成長を加速していく戦略となっている。現在は、2021年3月期発表を予定している中長期の経営計画を策定中で、その内容が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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