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アリックスパートナーズ、世界のEVバッテリー業界レポートを発表

東京, 2025年11月14日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズ(本社:米国ニューヨーク、日本:東京都千代田区、代表:植地卓郎)は、電気自動車(EV)バッテリーのサプライヤーに関する最新動向をまとめたレポートを発表しました。今年に入り不確実性が一段と高まる中、世界の EV バッテリー業界は、過剰な生産能力と財務的圧力にさらされるという二重の課題に直面している現状が浮き彫りになりました。EV 市場は、中国メーカーの新エネルギー車(NEV)が世界的に急速な成長を遂げていることや、米国でトランプ政権によって停止されていた税額控除が段階的に終了する前の駆け込み需要を背景に、第 3 四半期の販売台数は過去最高を記録しました。その一方で、欧州では ドイツやフランスでの EV 購入補助金の削減などの政策変更により、足元の状況は一段と悪化しています。そのため、電動モビリティ分野ですでに事業を展開する、または参入を計画中のバッテリーメーカーや自動車メーカーは、ますます大きな圧力にさらされています。現在、関連業界の経営陣は混乱した環境に直面しています。EV をより魅力的で手頃にできる、バッテリー、軽量素材、その他の車両技術を急速に拡大・浸透させる目的で、研究開発(R&D)、製品開発やその他関連分野に数十億ドル規模の投資が行われてきました。一方で、米国や欧州の消費者の関心は、当初予測を依然として下回っており、アリックスパートナーズの調査も含めてこれらの市場における BEVと PHEV を含む EV の最新販売予測は、引き続き下方修正傾向にあります。2023 年には、米国の BEV 販売台数が 2030 年までに市場の 36%に達するとの予測も、今年初めにはわずか 18%への修正を余儀なくされ、欧州の予測も同様です。その一方で、中国の BEV 販売予測は上方修正しているものの、同市場の NEV メーカーは、シェア拡大と成長をめぐり数百もの自動車メーカーが競い合うという特有の課題に直面しています。(図 1 参照)。さらに、動きの激しい米国の関税政策動向や、最近の鉄鋼・アルミ価格の大幅な変動など広範囲にわたり不確実性が重なることで、バッテリーメーカーと自動車メーカーの双方が、安定した事業運営と長期的な投資判断のバランスを取るのが困難となっています。一方で、需要が減速する中、EV バッテリー・セルの供給は想定以上のペースで拡大しています。アリックスパートナーズの分析(図 2)によると、世界のバッテリー・セルの生産能力は 2024 年時点で需要の約 4 倍に達しています。この比率は今後低下する見込みですが、2030 年代末でも需要の 2.9 倍に留まると予測しています。北米と欧州については、中国に比べて過剰供給の度合いが相対的に小さいものの、需給の不均衡は世界的にも不確実性を高め、バッテリーメーカーや自動車メーカー、その他の自動車サプライヤーは、「いつ、どこで、どれだけの追加の生産能力を構築すべきか」という戦略的なジレンマに陥っています。北米では、市場の集中が課題をさらに複雑化しています。4〜5 社の大手バッテリーメーカーが各地域の稼働中の生産能力の大半を占有しており、世界全体では供給過多であるにもかかわらず、地域によっては需給のずれが生じています。こうした構造的な圧力の中で、一部の企業はすでに発表したバッテリー工場計画の延期や中止に踏み切っており、市場の不確実性を反映する動きとなっています。この構造的な不均衡に加え、財務的な逆風も強まっています。大手バッテリーサプライヤーの多くは中国に本社を置き、政府の補助金を受けながら、急速な EV 普及を見越して多額の投資を行ってきました。こうした投資は規模拡大には不可欠ですが、世界で販売台数の伸張が追いつかなければ、短期的には大きな財務負担になるとみています。主なバッテリーメーカーを対象にした当社の Altman Z スコア分析(財務の安定性を示す重要指標)によると、2022〜2024 年のスコアは 1 社を例外とし、一貫して低下しています。多くの企業は破綻リスクを示す閾値を上回っているものの、この下落傾向は、需給の不均衡により財務面での負荷が確実に高まっていることを示しています。さらに、EV バッテリーメーカーが直面している世界的な「過剰生産能力」と「財務的圧力」という二重の課題は、収益性を損なうだけでなく、自動車業界の EV の将来を左右する投資判断をも複雑にしています。こうした不確実性の中で成功するには、バッテリーサプライヤーは、自動車メーカーや自動車部品メーカーと密接に連携し、レジリエンスと規律を重視する必要があります。戦略的な施策:効率の最大化: 大量かつ高品質な生産を実現すべく、工場の稼働率、歩留まり、生産スループットを改善する。過剰生産能力への対応: 遊休資産の再利用や売却で資本を解放し、新規能力導入のタイミングを慎重に見極める。イノベーションへの再投資: 生産の簡素化、コスト削減、技術的差別化を目指したターゲット型の R&D への投資を行う。ニッチ市場の開拓: 特に新規参入企業は、専門性を確立することで、大手競合他社の持つ規模の優位性との差別化を図る。乗用車の EV 化に注目が集りがちであるが、船舶、パワースポーツ、建設機械・オフロード車、都市型エアモビリティなどの関連分野でも、新たな電動化や早期協業の機会が生まれている。バッテリーサプライヤーと自動車メーカーの双方にとって、今後の道のりは当初の想定よりも厳しいものとなっています。サプライヤー側には、構造的な過剰生産と高まる財務負担に対応するため、より厳格なオペレーション管理と的を絞ったイノベーションが求められます。その一方、自動車メーカーには、EV 需要の鈍化や政策環境の変化を踏まえ、より戦略的なサプライヤーとの戦略的な連携、柔軟な調達体制、そして長期的な競争力をもたらすバッテリー技術への慎重な投資判断が必要です。アリックスパートナーズのディレクターである清水弘之 は次のように述べています。「バリューチェーン全体において、果断に行動し、運営の効率化や資本管理の徹底、そして現状の市場環境に即した戦略への適応を迅速かつ断固として進める企業が、現状の不確実性を乗り越え、EV 移行の次の段階を主導できるポジションを確立するとみています。一方、過剰生産と財務的圧力が新たな常態となる業界において、厳しい決断を先送りする企業は取り残されるリスクが高まっています。」アリックスパートナーズについて1981 年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界 27 都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は 2005 年。日本語ウェブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/


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