【プレスリリース】重症マラリア治療に大きな進展−20万人の命を救うために新たな治療法の導入を
[11/04/19]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2011年4月19日
国境なき医師団(MSF)日本
4月25日は世界マラリアデー:
重症マラリア治療に大きな進展−20万人の命を救うために新たな治療法の導入を
世界保健機関(WHO)は4月18日、重症の小児マラリア症例にアーテスネート注射薬を用いた治療法を推奨するとし、マラリアの治療ガイドラインの変更を発表した。国境なき医師団(MSF)はこれを受けて、重症マラリアに罹患した小児患者への優れた治療効果が実証されたこのアーテスネート注射薬を使用した治療法を、マラリアが蔓延するアフリカ各国で早期に導入するよう訴える。MSFは本日発表した報告書において、アフリカ各国が重症マラリアの注射治療薬をキニーネからアーテスネートに切り替えることで、年間20万人近くの命を救うことが出来ると報告している。MSFはまた、WHOや資金拠出機関に対して、アフリカ各国が早急に新しい治療への切り替えを実施できるよう、資金面における支援も行うよう呼びかけている。
重症マラリアの治療の第一選択薬であるキニーネを用いた治療は、4時間にわたる点滴静脈注射を1日3回行うことが必要なため、患者と医療従事者の双方にとって負担がかかる。一方でアーテスネートは、わずか4分間の静脈注射あるいは筋肉注射で済む。
2010年にアフリカ9ヵ国で実施された臨床調査の結果では、重症マラリアの治療にアーテスネートの注射薬を用いた場合、子ども41人につき1人が命を取り留め、キニーネを使用した場合よりも死亡率が4分の1近くに減少することが明らかになっている。同時に、キニーネを用いた治療を受けた子どもは、そうでない子どもに比べて死亡する確率が4倍高い結果であった事も判明している。
MSFのウガンダにおける医療コーディネーター、ヴェロニク・ドゥ・クラークは話す。
「重症のマラリアにかかった子どもたちがMSFの診療所にやってくる時には、多くの場合既にけいれんや嘔吐、ショック状態などに陥っています。過去数十年の間、キニーネは重症マラリアの治療に用いられてきましたが、これは使用が難しく、かつ危険な薬剤です。キニーネよりも安全でより効果的に重症マラリアの治療が出来るアーテスネート注射薬の効果が明らかになった今、キニーネの使用は止めるべきです」
MSFは付属の疫学研究組織「エピセンター」を通じて、アフリカのウガンダを拠点にこのマラリアの臨床調査に参加した。その後、マラリアの治療プロトコルを変更し、マラリア治療の実施国で現地保健当局と協力し、今後数ヵ月の間でアーテスネートの注射薬を用いた治療法の導入を展開していく予定である。
この臨床試験の結果が示すアーテスネート注射薬による治療法の優位性は明白であるが、これだけでは新しい治療薬の導入には不十分であることを、MSFはこれまでのマラリア治療の経験から認識している。WHOはアーテスネート注射薬を推奨する新しい治療ガイドラインを発表したが、実際に各国が新しい治療法への切り替えを実行に移すための具体計画が必要である。アフリカの各国政府は治療プロトコルを早急に変えるべきであり、資金拠出機関はそれに付随する費用面での支援を表明すべきである。アーテスネートの注射薬はキニーネと比べて3倍高いコストであるため、世界的に切り替えを実施するための費用は年間で3100万ドル(約25億6959万円)の費用がかかるが、研究者が述べる通り20万人近くの命を救うための費用としては実に少ない額である。
MSFのマラリア治療を統括するマルタン・ドゥ・スメ医師は語る。
「MSFはWHOが2001年に合併症を併発していないマラリア症例への推奨治療法を変更した際に、各国が実際に薬の切り替えを実施するには何年もの年月がかかった実情を目にしています。残念なことに、10年が経過した今でも、未だに効果の低い薬を使用している国もあります」
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マラリアはアフリカの子どもの主な死因であり、重症のマラリアによって、アフリカで年間60万人以上の5才未満児が命を落としている。WHOの推計では2009年にマラリアに関連する病気で命を落とした78万1千人のうち、91%がアフリカの人びとであった。合併症を伴わないマラリアの症例のうち、毎年800万件が脳、肺、腎臓、血管などに臓器障害を伴う重症に陥る。MSFは2010年に100万人近くのマラリア患者の治療を行った。
国境なき医師団(MSF)日本
4月25日は世界マラリアデー:
重症マラリア治療に大きな進展−20万人の命を救うために新たな治療法の導入を
世界保健機関(WHO)は4月18日、重症の小児マラリア症例にアーテスネート注射薬を用いた治療法を推奨するとし、マラリアの治療ガイドラインの変更を発表した。国境なき医師団(MSF)はこれを受けて、重症マラリアに罹患した小児患者への優れた治療効果が実証されたこのアーテスネート注射薬を使用した治療法を、マラリアが蔓延するアフリカ各国で早期に導入するよう訴える。MSFは本日発表した報告書において、アフリカ各国が重症マラリアの注射治療薬をキニーネからアーテスネートに切り替えることで、年間20万人近くの命を救うことが出来ると報告している。MSFはまた、WHOや資金拠出機関に対して、アフリカ各国が早急に新しい治療への切り替えを実施できるよう、資金面における支援も行うよう呼びかけている。
重症マラリアの治療の第一選択薬であるキニーネを用いた治療は、4時間にわたる点滴静脈注射を1日3回行うことが必要なため、患者と医療従事者の双方にとって負担がかかる。一方でアーテスネートは、わずか4分間の静脈注射あるいは筋肉注射で済む。
2010年にアフリカ9ヵ国で実施された臨床調査の結果では、重症マラリアの治療にアーテスネートの注射薬を用いた場合、子ども41人につき1人が命を取り留め、キニーネを使用した場合よりも死亡率が4分の1近くに減少することが明らかになっている。同時に、キニーネを用いた治療を受けた子どもは、そうでない子どもに比べて死亡する確率が4倍高い結果であった事も判明している。
MSFのウガンダにおける医療コーディネーター、ヴェロニク・ドゥ・クラークは話す。
「重症のマラリアにかかった子どもたちがMSFの診療所にやってくる時には、多くの場合既にけいれんや嘔吐、ショック状態などに陥っています。過去数十年の間、キニーネは重症マラリアの治療に用いられてきましたが、これは使用が難しく、かつ危険な薬剤です。キニーネよりも安全でより効果的に重症マラリアの治療が出来るアーテスネート注射薬の効果が明らかになった今、キニーネの使用は止めるべきです」
MSFは付属の疫学研究組織「エピセンター」を通じて、アフリカのウガンダを拠点にこのマラリアの臨床調査に参加した。その後、マラリアの治療プロトコルを変更し、マラリア治療の実施国で現地保健当局と協力し、今後数ヵ月の間でアーテスネートの注射薬を用いた治療法の導入を展開していく予定である。
この臨床試験の結果が示すアーテスネート注射薬による治療法の優位性は明白であるが、これだけでは新しい治療薬の導入には不十分であることを、MSFはこれまでのマラリア治療の経験から認識している。WHOはアーテスネート注射薬を推奨する新しい治療ガイドラインを発表したが、実際に各国が新しい治療法への切り替えを実行に移すための具体計画が必要である。アフリカの各国政府は治療プロトコルを早急に変えるべきであり、資金拠出機関はそれに付随する費用面での支援を表明すべきである。アーテスネートの注射薬はキニーネと比べて3倍高いコストであるため、世界的に切り替えを実施するための費用は年間で3100万ドル(約25億6959万円)の費用がかかるが、研究者が述べる通り20万人近くの命を救うための費用としては実に少ない額である。
MSFのマラリア治療を統括するマルタン・ドゥ・スメ医師は語る。
「MSFはWHOが2001年に合併症を併発していないマラリア症例への推奨治療法を変更した際に、各国が実際に薬の切り替えを実施するには何年もの年月がかかった実情を目にしています。残念なことに、10年が経過した今でも、未だに効果の低い薬を使用している国もあります」
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マラリアはアフリカの子どもの主な死因であり、重症のマラリアによって、アフリカで年間60万人以上の5才未満児が命を落としている。WHOの推計では2009年にマラリアに関連する病気で命を落とした78万1千人のうち、91%がアフリカの人びとであった。合併症を伴わないマラリアの症例のうち、毎年800万件が脳、肺、腎臓、血管などに臓器障害を伴う重症に陥る。MSFは2010年に100万人近くのマラリア患者の治療を行った。










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