世界初、ミリ波・テラヘルツ波統合ビームフォーミング通信の実証に成功
[26/05/27]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
6G時代の超高速・高信頼ワイヤレス基盤を実現
2026年5月27日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
ポイント
■ ミリ波とテラヘルツ波を統合利用し、通信環境に応じて自動切換え可能なビームフォーミング通信の実証に世界で初めて成功
■ 次世代移動通信システム(6G)で期待される「超高速通信」と「高信頼・低遅延通信」を両立
■ 従来のテラヘルツ波通信が抱えていた遮蔽・接続断・ビーム追尾といった課題を大幅に改善
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 大野 英男)は、次世代の超高速・大容量かつ高信頼な通信の実現のため、ミリ波・テラヘルツ波の2波自動切換えとビームフォーミングを一体的に動作させる通信技術の実証に世界で初めて成功しました。
本実証では、ミリ波(60 GHz帯)とテラヘルツ波(300 GHz帯)を統合動作させる独自アーキテクチャを開発し、ミリ波側を「ビーム制御・追尾・接続維持」に利用し、テラヘルツ波側ではビーム制御を行いつつ「大容量データ伝送」に特化させ、双方の長所を最大限活用しました。通信環境の変化に応じて、テラヘルツ波の通信が途切れた場合には瞬時にミリ波に切り換えて通信を継続することができました。これにより、従来のテラヘルツ波通信が抱えていた遮蔽・接続断・ビーム追尾に対する課題を大幅に改善することに成功しました。
本技術が実用化されれば、クロスリアリティ(XR)、超高精細映像伝送やスマートファクトリーなどの次世代無線アーキテクチャを必要とするユースケースへの応用が期待されます。
なお、2026年5月27日(水)から開催される「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2026」(東京ビッグサイト)にて本成果を展示します。
背景
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展やIoT機器の普及、さらにはAIの高度化に伴い、社会全体のデータ通信量は爆発的に増加しています。現在の5G通信でも将来的な需要を十分に支えきれない可能性が指摘されており、その先に位置づけられる「Beyond 5G」や「6G」の実現に向けた基盤技術の確立が急務となっています。
こうした背景の中で注目されているのが、テラヘルツ波と呼ばれる高周波帯の電波です。これは従来の通信で利用されてきたマイクロ波に比べて数倍から数十倍の周波数帯域を持ち、理論上は数十Gbpsを超える桁違いの超高速・大容量通信を実現できる可能性を秘めており、XR、超高精細映像伝送やスマートファクトリーといった次世代サービスを支える上で不可欠な技術と言えます。
しかし一方で、テラヘルツ波には課題も存在します。それは「電波が届きにくい」という特性です。高周波帯は直進性が強く、建物や人などの障害物に遮られやすい上、空間中での減衰も大きく、従来技術のみでは実用的な通信手段として成立しません。
この課題を克服する鍵となるのが、ビームフォーミング技術です。これは複数のアンテナ素子を用いて電波の位相や強度を制御し、特定の方向にエネルギーを集中させることで、通信の到達距離や品質を向上させる技術です。ただし、テラヘルツ波では非常に鋭い指向性を持つ細いビームを利用する必要があり、端末やユーザーがわずかに移動しただけでもビーム方向がずれて通信断が発生しやすくなります。そのため、高速かつ高精度なビーム探索・ビーム追尾技術が不可欠ですが、従来方式では探索オーバーヘッドや制御遅延が大きな課題となっていました。また移動環境では、テラヘルツリンクを安定維持することが難しく、実環境での適用には更なる技術革新が必要とされていました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202605229556-O1-Yss0iS18】
こうした課題に対し、本実証では比較的安定性と実用成熟度の高い「ミリ波通信」と、超高速性に優れる「テラヘルツ波通信」を統合利用するアプローチを取りました。ミリ波は、テラヘルツ波と比較して伝搬特性に優れ、遮蔽耐性やモビリティ対応能力が高く、既に5Gで商用利用が進んでいます。一方で、利用可能帯域には限界があり、将来的な超大容量通信需要を単独で支えることは難しいと考えられています。そこで、ミリ波側を「ビーム制御・追尾・接続維持」に活用し、テラヘルツ波側ではビーム制御を行いつつ「大容量データ伝送」に特化させることで、双方の弱点を補完する次世代無線アーキテクチャを実現しました。
今回の成果
今回、ミリ波とテラヘルツ波の自動切換えとビームフォーミングが可能な通信装置を開発し、電波暗室での実証試験を行いました。
この通信装置には、(1)通信距離が変化した場合には、近距離ではテラヘルツ波による高速通信を行い、より広いエリアや遠距離では自動的にミリ波通信へ切り換えて接続を継続する、(2)受信機の位置が変わると、送信機から出るビーム方向が変わる、(3)送信機のビーム方向が変化して高速通信の接続を維持する、という機能を持たせました。この実験では、送信機を動かし、受信機との位置関係を変えて受信状況を調べました。
その結果、受信機の方向によって電波のビーム方向が切り換わり、受信機までの距離によってミリ波とテラヘルツ波を自動的に切り換えることに世界で初めて成功しました。
また性能面では、従来のミリ波標準規格(2 GHz帯域幅)における2.2 Gbpsの伝送速度から、テラヘルツ波(8 GHz帯域幅)を用いることで最大7.5 Gbpsの伝送速度を実現しました。加えてアンテナ制御により、ミリ波では±60°、テラヘルツ波では±40°程度の広い範囲をビームフォーミングでカバーすることが可能となりました。
ミリ波とテラヘルツ波を電波伝搬環境に応じて自動的に切り換え、高精度なビームフォーミング制御によって通信の安定化を図ることで、次世代の超高速・大容量かつ高信頼・低遅延な通信を実現しました。テラヘルツ波は直進性が強く、人や物体による遮蔽や減衰の影響を受けやすいという課題がありますが、受信信号品質に基づいて周波数帯を自動切換えし、さらにビームフォーミングにより常に通信相手方向へ電波を向け続けることで、この課題を克服し、高速通信の安定化を可能としました。
今回の成果は、「Beyond 5G」や「6G」の実現に向けた基盤技術となる超高速・大容量通信を実現できる可能性を秘めており、XR、超高精細映像伝送やスマートファクトリーといった次世代サービスを支える上で不可欠な技術と言えます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202605229556-O2-fa937tQH】
図2 開発したミリ波・テラヘルツ波による自動切換えビームフォーミング通信装置
今後の展望
本課題の今後の展望としては、テラヘルツ波無線信号の更なる広帯域化及びアンテナ素子の多素子化を進めることで、超高速・高信頼リンクの実現を目指します。また、送受信におけるビームフォーミング機能の実装により通信品質及び空間分解能の向上を図ります。これらの技術的発展を通じて、通信方式の標準規格化及び実用化への展開につなげていくことが期待されます。
本成果は、2026年5月27日(水)から開催される「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク (WTP)2026」(東京ビッグサイト)にて展示されます。また2026年6月19日(金)、20日(土)に開催される、NICTオープンハウスにおいても展示予定です。
2026年5月27日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
ポイント
■ ミリ波とテラヘルツ波を統合利用し、通信環境に応じて自動切換え可能なビームフォーミング通信の実証に世界で初めて成功
■ 次世代移動通信システム(6G)で期待される「超高速通信」と「高信頼・低遅延通信」を両立
■ 従来のテラヘルツ波通信が抱えていた遮蔽・接続断・ビーム追尾といった課題を大幅に改善
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 大野 英男)は、次世代の超高速・大容量かつ高信頼な通信の実現のため、ミリ波・テラヘルツ波の2波自動切換えとビームフォーミングを一体的に動作させる通信技術の実証に世界で初めて成功しました。
本実証では、ミリ波(60 GHz帯)とテラヘルツ波(300 GHz帯)を統合動作させる独自アーキテクチャを開発し、ミリ波側を「ビーム制御・追尾・接続維持」に利用し、テラヘルツ波側ではビーム制御を行いつつ「大容量データ伝送」に特化させ、双方の長所を最大限活用しました。通信環境の変化に応じて、テラヘルツ波の通信が途切れた場合には瞬時にミリ波に切り換えて通信を継続することができました。これにより、従来のテラヘルツ波通信が抱えていた遮蔽・接続断・ビーム追尾に対する課題を大幅に改善することに成功しました。
本技術が実用化されれば、クロスリアリティ(XR)、超高精細映像伝送やスマートファクトリーなどの次世代無線アーキテクチャを必要とするユースケースへの応用が期待されます。
なお、2026年5月27日(水)から開催される「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2026」(東京ビッグサイト)にて本成果を展示します。
背景
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展やIoT機器の普及、さらにはAIの高度化に伴い、社会全体のデータ通信量は爆発的に増加しています。現在の5G通信でも将来的な需要を十分に支えきれない可能性が指摘されており、その先に位置づけられる「Beyond 5G」や「6G」の実現に向けた基盤技術の確立が急務となっています。
こうした背景の中で注目されているのが、テラヘルツ波と呼ばれる高周波帯の電波です。これは従来の通信で利用されてきたマイクロ波に比べて数倍から数十倍の周波数帯域を持ち、理論上は数十Gbpsを超える桁違いの超高速・大容量通信を実現できる可能性を秘めており、XR、超高精細映像伝送やスマートファクトリーといった次世代サービスを支える上で不可欠な技術と言えます。
しかし一方で、テラヘルツ波には課題も存在します。それは「電波が届きにくい」という特性です。高周波帯は直進性が強く、建物や人などの障害物に遮られやすい上、空間中での減衰も大きく、従来技術のみでは実用的な通信手段として成立しません。
この課題を克服する鍵となるのが、ビームフォーミング技術です。これは複数のアンテナ素子を用いて電波の位相や強度を制御し、特定の方向にエネルギーを集中させることで、通信の到達距離や品質を向上させる技術です。ただし、テラヘルツ波では非常に鋭い指向性を持つ細いビームを利用する必要があり、端末やユーザーがわずかに移動しただけでもビーム方向がずれて通信断が発生しやすくなります。そのため、高速かつ高精度なビーム探索・ビーム追尾技術が不可欠ですが、従来方式では探索オーバーヘッドや制御遅延が大きな課題となっていました。また移動環境では、テラヘルツリンクを安定維持することが難しく、実環境での適用には更なる技術革新が必要とされていました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202605229556-O1-Yss0iS18】
こうした課題に対し、本実証では比較的安定性と実用成熟度の高い「ミリ波通信」と、超高速性に優れる「テラヘルツ波通信」を統合利用するアプローチを取りました。ミリ波は、テラヘルツ波と比較して伝搬特性に優れ、遮蔽耐性やモビリティ対応能力が高く、既に5Gで商用利用が進んでいます。一方で、利用可能帯域には限界があり、将来的な超大容量通信需要を単独で支えることは難しいと考えられています。そこで、ミリ波側を「ビーム制御・追尾・接続維持」に活用し、テラヘルツ波側ではビーム制御を行いつつ「大容量データ伝送」に特化させることで、双方の弱点を補完する次世代無線アーキテクチャを実現しました。
今回の成果
今回、ミリ波とテラヘルツ波の自動切換えとビームフォーミングが可能な通信装置を開発し、電波暗室での実証試験を行いました。
この通信装置には、(1)通信距離が変化した場合には、近距離ではテラヘルツ波による高速通信を行い、より広いエリアや遠距離では自動的にミリ波通信へ切り換えて接続を継続する、(2)受信機の位置が変わると、送信機から出るビーム方向が変わる、(3)送信機のビーム方向が変化して高速通信の接続を維持する、という機能を持たせました。この実験では、送信機を動かし、受信機との位置関係を変えて受信状況を調べました。
その結果、受信機の方向によって電波のビーム方向が切り換わり、受信機までの距離によってミリ波とテラヘルツ波を自動的に切り換えることに世界で初めて成功しました。
また性能面では、従来のミリ波標準規格(2 GHz帯域幅)における2.2 Gbpsの伝送速度から、テラヘルツ波(8 GHz帯域幅)を用いることで最大7.5 Gbpsの伝送速度を実現しました。加えてアンテナ制御により、ミリ波では±60°、テラヘルツ波では±40°程度の広い範囲をビームフォーミングでカバーすることが可能となりました。
ミリ波とテラヘルツ波を電波伝搬環境に応じて自動的に切り換え、高精度なビームフォーミング制御によって通信の安定化を図ることで、次世代の超高速・大容量かつ高信頼・低遅延な通信を実現しました。テラヘルツ波は直進性が強く、人や物体による遮蔽や減衰の影響を受けやすいという課題がありますが、受信信号品質に基づいて周波数帯を自動切換えし、さらにビームフォーミングにより常に通信相手方向へ電波を向け続けることで、この課題を克服し、高速通信の安定化を可能としました。
今回の成果は、「Beyond 5G」や「6G」の実現に向けた基盤技術となる超高速・大容量通信を実現できる可能性を秘めており、XR、超高精細映像伝送やスマートファクトリーといった次世代サービスを支える上で不可欠な技術と言えます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202605229556-O2-fa937tQH】
図2 開発したミリ波・テラヘルツ波による自動切換えビームフォーミング通信装置
今後の展望
本課題の今後の展望としては、テラヘルツ波無線信号の更なる広帯域化及びアンテナ素子の多素子化を進めることで、超高速・高信頼リンクの実現を目指します。また、送受信におけるビームフォーミング機能の実装により通信品質及び空間分解能の向上を図ります。これらの技術的発展を通じて、通信方式の標準規格化及び実用化への展開につなげていくことが期待されます。
本成果は、2026年5月27日(水)から開催される「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク (WTP)2026」(東京ビッグサイト)にて展示されます。また2026年6月19日(金)、20日(土)に開催される、NICTオープンハウスにおいても展示予定です。










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