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景気回復!? アベノミクスは本物か?

「景気回復のためにはどんどん政治を動かしていくべき! その意味でアベノミクスを評価。でも、今のやり方じゃ長続きしない・・・。」 実務家のシビアな目線が浮き彫り

マーケティングの実務家による国際組織=MCEI*(Marketing Communications Executives International)の東京支部(NPO:特定非営利活動法人、東京都千代田区麹町3-10-6)は、MCEI東京・大阪支部の会員を対象に、「景気回復は本当か!?アベノミクス 実務家『実感』アンケート」との内容でアンケート調査を実施。159名の回答を得て、その集計結果をまとめた。
(※調査期間:2013年3月26日〜4月23日/調査方法:セミナー会場での配布回収)




世界に国際支部を持つマーケティング実務家のNPO組織であるMCEI東京・大阪はアベノミクスに関する実感アンケート調査を行った。159名から回答が寄せられ、そこには実務家としてのシビアな目線が浮き彫りとなった。


「アベノミクス政策をどう評価するか?」という質問に対し、「かなり評価できる」は8%だが、「ある程度評価できる」は75%であわせると83%と高評価。 「全く評価できない」はわずかに1%に留まった。「今後の景気はどういう方向に動くと思いますか?」という問いには 「回復する」58%、「大幅に回復する」2%をあわせると60%になっており、「横ばい」35%、「悪化」5%を大きく上回る結果となっていた。調査時点(2013年3月〜4月)では兆候はあったものの、まだ現時点(2013年5月末時点)のような顕著な成果は表れていなかったが、この景気回復基調を実務家たちは肌で感じ取っていたといえる。


しかし、そうした「2013.3月〜4月時点の景気に関する報道や状況をどのように感じていますか?」という問いになると一転、「ムード先行で実態はないが、いずれ実態もついてくると期待している」と肯定的に答えた人は30%に留まり、逆に「今は調子がよさそうだが、この調子がいつまでもつかわからない」が32%、「ムード先行で実態がない。このまま長くは続かないと思う」が17%、「この調子が続くはずがなく、いずれ破たんする」2%を併せると5割以上が「バブル景気」とみている様子がうかがえる。

また、実際の業務面について聞いた以下の3つの質問については、「今年度(2013年4月)あなたの会社のマーケティング予算は増えると思いますか?」変わらない53%、「今年度(2013年4月)からのあなたの給料やボーナスは増えると思いますか?」変わらない62%、「今年度(2013年4月)からのあなたの仕事自体や残業が増えると思いますか?」変わらない48%と、いずれも「変わらない」が最多数を占める結果となり、表面上は活気づくが、実生活に影響を及ぼすほどの効果はないとシビアに見つめている様子がうかがえた。

より詳細にみれば、残業については「増える」「少し増える」あわせて47%、「減る」「少し減る」あわせて5%と増加傾向を見てとる人が多いのに対し、給与所得については「増える」「少し増える」が16%、「減る」「少し減る」が22%と、上昇傾向を感じる人はむしろ少数派であった。
実務家は景気回復基調を感じ、労働量の増加を予測しつつも、収入面への期待値は極めて低く、「懐暖かく、お財布も緩む実現はやや遠い」と捉えている様子がうかがえる。

そんな中、「日本企業が更に元気になるために、あなたが今後政治に期待することは何ですか?」という問いに対して、「もっと規制緩和を進めるべき」84%、「もっと官僚支配を打破すべき」83%、「TPPに参加し、経済発展を目指すべき」80%、「もっと金融緩和を進めるべき」72%といずれの項目に対しても非常に高い支持が寄せられた一方で、「もっと公共投資を増やすべき」は48%で唯一低いスコアに留まっている。これらの回答からは、「元気にするためにはとにかくアクションを起こしていくべきだ!」という意識が非常に強くうかがえるように思う。

先の質問「現在の景気をどのように感じているか」でも「実態のあるなしに関わらず、今のムードに乗ってどんどん前に進めるべきだと思う」という意見も実は2割弱寄せられている。公共投資のような旧態然とした箱モノ行政から脱却した新しい模索をどんどんトライアルしていくことが求められているといえる。

結果的に今回の調査から浮かび上がってきたのは、「景気回復のためには、いろいろ動かしていかないといけない、その意味でアベノミクスを評価するが、いまだ実体がないため、このままでは長続きしない」 という見方ではないか。その証拠に、先の「日本企業を元気にするために、政治に期待すること」という質問で最も多くの票を集めたのが「日本としての成長戦略を明確にすべき」で、実に99%の方が YESと答えている。「いろいろ動かしていくべきだけど、長続きしない」という意見の背景には「ビジョンが見えない=将来が見えない」というアベノミクスの底の浅さを見抜いている実務家の厳しい視点があるのかもしれない。

最後に、先に見たように今回のアベノミクスで「収入は変わらない・増えない」と思っている人が大半だが、「もし増えたら何に使うか?」という問いには 「レジャー、旅行」50%、「趣味」32%、「食事、外食」21%と明らかに「モノ消費」から「コト消費」へシフトしており、「車や家具などの耐久消費財」は わずか1割にとどまっている。日本経済を支えてきた産業にも転換期がきているのかもしれない。


★全アンケートの回答グラフは下記よりご覧いただけます。(PDFファイル)

https://ssl.mceitokyo.org/PDF/MCEIquestionaire_Vol.5.pdf
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