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戦後63年。いま明かされる『第二次世界大戦を生きた日系人女性たちの物語』

本年7月1日、バベルプレスより発刊された『第二次世界大戦を生きた日系人女性たちの物語』(テルマ M. ロビンソン著)は、戦争のさなか祖国日本と母国アメリカとの狭間で翻弄された若き19人の女性たちへの取材をもとに綴られたドキュメントである。母国アメリカへの忠誠の証として、彼女たちはアメリカ看護教練生部隊に入隊する。本書に登場するシャロン・タナギ・アブラノは語っている。「制服そのものが愛国心の表象でした。私はその制服を母国に貢献しているという誇りをもって着ていました」と。
国家への忠誠を示すことで、偏見による侮辱を克服していった日系人たち。だが、その彼女たちの劇的な人生については語られることはなかった。
二世看護婦の体験を語り継ぐ企画は、2002年、米国看護歴史協会から看護教練生賞を受賞した。すべては、1942年(昭和17年)2月19日から始まった。11万人もの日系人が自宅・学校・職場からの立ち退くを強いられ、アイダホ州ミニドカ強制収容所などへ連行された。そのうち4万人が子どもだったという。当時、高校生、あるいは卒業してまもない若い女性たちは、つてをたより、願書をたくさん送り、日系人を受け入れてくれる看護婦養成所に入所する。その後、米国看護教練生部隊の存在を知り、入隊を決めた。350人以上の日系人女性が入隊した。それは、まさに強制収容所からの脱出といえた。
本書に登場するヨシコ(エディス)・ヨネモト・イチウジは、先月来日した折にこうつぶやいた。「両親である一世は、本当に日本を愛していました」。
祖国と母国が戦った時、どう身を処したらよいのか。著者は言う。彼女たちは苦難の時代を糧に最善を尽くし、寛容の精神を私たちに教えてくれた。

タイトル 『第二次世界大戦を生きた日系人女性たちの物語』
出版社  株式会社バベル(バベルプレス)
仕様   四六判、本文224頁
定価   1,890円(税込)
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