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「2023年 第44回本田賞」 佐川眞人博士 ジョン・J・クロート博士が受賞

〜ネオジム磁石(ネオジム-鉄-ボロン系磁石)の発明と実用化への貢献〜

 公益財団法人 本田財団(設立者:本田宗一郎・弁二郎兄弟、理事長:石田寛人)は、「人間性あふれる文明の創造」に寄与する研究成果に対し表彰を行う、日本初の科学技術分野における国際褒賞である「本田賞」を1980年に創設しました。44回目となる今年度の本田賞は、世界最強の永久磁石である「ネオジム磁石」を、それぞれ独立した研究によって同時期に発明し異なる製造方法を確立させた、佐川眞人博士(大同特殊鋼株式会社 顧問・NDFEB株式会社 代表取締役)と、ジョン・J・クロート博士(ジョン・クロートコンサルティング社 元代表取締役)への授賞を決定しました。




[画像: https://prtimes.jp/i/68733/7/resize/d68733-7-797e63a2d1d7437b2e5c-5.jpg ]

 永久磁石はエレクトロニクス、産業用機械、自動車など、幅広い分野で活用され、現代社会の基盤材料として重要な役割を果たしています。佐川博士とクロート博士が研究を開始した当時、最強の磁石は1969年に開発されたサマリウム(Sm)・コバルト(Co)系永久磁石でした。
 両博士は各々独立した研究のなかで、コバルトより資源量が豊富で高い磁気モーメント*1をもつ鉄(Fe)を用いた磁石材料の可能性を追求し、希土類(レア・アース)元素として、サマリウムの替わりにネオジム(Nd)を用い、微量のボロン(B)を加えた、Nd-Fe-B系永久磁石を発明。1982年、佐川博士は「焼結法」、クロート博士は「液体急冷法」という、それぞれ異なる製造方法をほぼ同時期に発表しました。
 強力な磁力をもつネオジム磁石(Nd-Fe-B系永久磁石)を用いることで、従来の磁石よりも少ない使用量で済むため、モーターの大幅な小型化、ハードディスクの小型化が進み、社会のIT化を進展させました。また、風力発電やハイブリッド自動車・電気自動車などのモーターにも使われるなど、ネオジム磁石は永久磁石市場の95%を占めるほど普及。電動化とモーターの効率向上によってCO2排出量削減に多大な貢献をしています。
 両博士の発明は、科学技術と人間性の調和および、人間環境と自然環境両方を大切にする技術「エコテクノロジー*2」の重要性を長年標榜し主張してきた本田財団の設立基本方針に一致し、本田賞にふさわしい成果であると認め、同賞を両博士へ贈呈することとなりました。
 本田賞の贈呈式は2023年11月16日に東京都の帝国ホテルで開催され、メダル・賞状とともに副賞として総額1,000万円が両博士に贈呈されます。

*1 磁気モーメント:磁場に引き付けられる強さを示す指標
*2 エコテクノロジー(Ecotechnology):文明全体をも含む自然界をイメージしたEcology(生態学)と
Technology(科学技術)を組み合わせた造語。人と技術の共存を意味し、人類社会に求められる
新たな技術概念として1979年に本田財団が提唱

[表: https://prtimes.jp/data/corp/68733/table/7_1_d396fd877364324772033f04a3667e75.jpg ]


<永久磁石研究の歴史:社会の要請に応え、進められた開発>
 永久磁石は外部からのエネルギー供給を必要とせず、自発的かつ恒常的に磁場を発生させる物体です。最初の永久磁石は紀元前600年頃にギリシアのマグネシア地方で自然に産出した磁場鉱から得られました。人工的な永久磁石は1917年本多光太郎博士によって発明され、その後に様々な種類の磁石が開発されました。希土類(レアアース)とコバルトを組み合わせた磁石の研究も進み、1969年にはオランダのK. H. J.ブッショウ博士らにより高圧で成形する方法が確立され、サマリウムとコバルトの化合物を用いた永久磁石の実用化が進みました。
 しかし、サマリウムとコバルトは希少資源であり、コバルトの産出がアフリカに偏在していたため、価格上昇のリスクが存在しました。工業製品向けには安定した大量生産ができることが必須で、安価で豊富な材料を用いた高性能磁石が求められていました。


<佐川博士の研究について:ネオジム磁石の発明と焼結法の開発>
 1975年、佐川博士は、サマリウム・コバルト系永久磁石(Sm-Co5磁石)の機械的な強度を改善する研究に取り組んでいました。その中で、資源量が豊富なうえに磁気モーメントが高い鉄で強い磁石ができないことに疑問を感じていました。鉄と鉄の原子間距離が近すぎることが希土類鉄磁石の開発が難しい理由であることを知り、これをきっかけに「原子半径の小さい物質を添加することで、その小さな物質が鉄と鉄の間の隙間に入って原子間距離を広げられる」との仮説を立てました。そして、種々の合金をアーク溶解炉に入れて溶かし、様々な組成の合金を作製。この時、鉄と希土類金属から成る合金に添加する元素として、原子半径の小さい炭素やボロンを選び、サマリウムやネオジムをはじめとする様々な希土類金属を試すなか、1978年中にはネオジム・鉄・ボロンの組み合わせが高い磁力を持つことを見出しました。
 佐川博士は化合物組成の詳細な検討だけでなく、製造条件についても合金粉末の粒径や熱処理条件を変化させて磁石を作製。その結果、化合物の粉末を型の中で加圧成形した後、強度を高めるために熱処理を加えて粉体粒子間を結合させ、ネオジム磁石を製造する方法(焼結法)を構築しました。
 焼結法によって作製されたネオジム焼結磁石は320 kJ/m3という大きな最大エネルギー積*3が得られました(サマリウム・コバルト系永久磁石の当時の最高記録は240kJ/m3)。1982年8月に特許を出願してからわずか3年で量産開始に至り、自動車や家電製品を皮切りに、現在ではEVや風力発電のモーター等、世界中で幅広く活用される永久磁石となりました。

<クロート博士の研究について:ネオジム磁石の発明と液体急冷法の開発>
 1972年、クロート博士はゼネラルモーターズ研究所の磁性材料グループに加わり、自動車部品に使用される高性能で低コストの永久磁石の開発に取り組んでいました。1973年、OPECの石油禁輸措置によって、世界的にガソリン価格が大幅に上昇。市場はより軽量で燃費の良い自動車が求めるようになりました。
 サマリウム・コバルト系永久磁石は1960年代に発見されていましたが、永久磁石の研究者の多くは、より豊富な希土類であるネオジムとプラセオジム(Pr)を鉄と組み合わせた、より低コストの永久磁石の発見を強く願っていました。
 1982年、クロート博士はケイ素、炭素、ホウ素などのさまざまな「ガラス形成元素」が急速に凝固したNd-FeおよびPr-Fe合金の特性に及ぼす影響を調査していた際、3元金属間化合物相(Nd2-Fe14-B)を発見。この金属間化合物相は、現在生産されている全Nd-Fe-B系永久磁石の基礎となっています。そして、液体急冷法で作られた永久磁石は、磁気的に等方的なボンド磁石の基礎となりました。
 ボンド磁石の磁気強度は焼結磁石よりも低いものの、熱安定性の高い薄肉ボンドリング磁石を迅速に製造することができます。コンピュータ周辺機器用の小型モーターに用いられる薄肉リング磁石のように、複雑な形状で成形できることから、精密機器分野で広く応用されています。
 クロート博士が開発した製造法は、その後、液体急冷法で作られたナノ結晶磁性粉末を金型内で熱間変形させる製造法へと発展。これにより、焼結磁石と同等の強度を持つ熱間変形ネオジム磁石が開発されました。薄肉で軸方向に配向したリング磁石を製造が可能となり、現在、高性能サーボモーターやステッピングモーターにおいてもネオジム磁石が使用できるようになりました。

<ネオジム磁石の現在と未来:課題の克服と広がる用途>
 ネオジム磁石は工業化する道程において、サマリウム・コバルト磁石に比べて耐熱温度が低いという課題を抱えていました。この問題は重希土類であるジスプロシウム(Dy)を添加することによって解決され、耐熱性が約200℃まで向上し、モーターへの応用が実現しました。
 しかし、高耐熱のネオジム焼結磁石中におけるジスプロシウムの量は、ネオジムの3分の1程度に相当する一方で、自然界の埋蔵量はネオジムの10分の1以下しかないことから、使用量低減に関する研究が進みました。その結果、粒界拡散法*4の技術革新によって使用量を大幅に低減させることができ、同時に磁力も大幅に向上しました。
 開発から40年近くが経過したネオジム磁石の応用・用途は拡大し続けています。従来の永久磁石よりも強力な磁力を持つため、モーターの小型化と軽量化に貢献しており、ネオジム焼結磁石は、自動車やエアコン、ハードディスク、洗濯機、掃除機、エレベータ、産業機械など様々な分野で用いられ、省エネルギー化に大きく寄与しています。また、ネオジムボンド磁石は加工性に優れ、狭い空間で強力な磁界が要求されるハードディスクのスピンドルモーター、自動車内の小型モーター、携帯電話のスピーカーなど、小型かつ高機能が要求される分野で広く利用されています。ネオジム熱間加工磁石は、自動車の駆動用モーター、電動パワーステアリングモーターで実用化されています。
 これらのネオジム磁石は、次世代自動車(xEV)のモーター、風力発電機、ドローン、電動航空機への適用など大幅な需要拡大が予想されており、さらなる特性改善が求められています。また、CO2排出量の削減に向けた省エネルギー技術の進化を支えており、カーボンニュートラル社会の実現に向け、地球規模で需要が高まっています。そのため、製造時の資源効率向上やリサイクル技術の進展などの製造課題への対応も重要さを増しています。
 これらの特性改善と製造課題解決において、磁石材料開発への期待は高まっています。

*3 最大エネルギー積:磁石材料から取り出せるエネルギーの最大値
*4 粒界拡散法:高温で加熱して磁石の表面にある重希土類元素を磁石内部に拡散させる手法。重希土類元素は、
結晶粒と結晶粒の間(粒界)を通して内部に拡散し、隣接する結晶粒表面のみに濃化する。これによって、少ない
重希土類添加で、耐熱性を向上させることができ、重希土類の濃化に伴う磁化の低下も抑制できる。
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