株式会社薫製倶楽部、消費者庁に対する行政不服審査請求(消総総第158-2号)について情報公開・個人情報保護審査会への諮問通知を受領
[26/06/12]
提供元:PRTIMES
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2026年6月8日付で消費者庁長官より諮問番号「令和8年(行情)諮問第770号」の通知を受領。紅麹関連の食品表示課保有文書の不開示部分に対する審査請求が、第三者機関による審査の段階へ
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町、代表取締役:森雅昭)は、消費者庁に対して行った行政不服審査請求(消総総第158-2号)について、2026年6月8日付で消費者庁長官より情報公開・個人情報保護審査会への諮問通知(令和8年(行情)諮問第770号)を受領したことを発表します。
■諮問の概要
本件審査請求は、2024年の小林製薬紅麹関連製品の健康被害事案に関し、消費者庁食品表示課が保有する行政文書(食品衛生基準審査課・厚生労働省・小林製薬とのやり取り、2024年3月22日Web会議議事録、同年3月28日薬事・食品衛生審議会ワーキンググループ関連資料、プベルル酸に関する決裁文書等)の開示決定(令和8年1月19日消食表第22号)に対するものです。
当社は、開示決定のうち「内容の精査を経ていない情報であり誤解を招くおそれがある」ことを理由として不開示とされた部分について、当該理由の合理性および整合性の再検討を求めて審査請求を行い、本通知により、当該請求が情報公開・個人情報保護審査会における審査の段階に入ったことが確認されました。
■今後の予定
当社は、本件に関する行政手続きの進展について、引き続き情報発信を行ってまいります。審査会での審査結果が示された際には、改めてお知らせいたします。
【参考情報】
以下は、紅麹問題に関する当社の見解・論考です。本発表の主題ではなく、参考情報としてご覧ください。
【紅麹事件研究報告 第3報】小林製薬紅麹コレステヘルプの工業用変異株とL-トリプトファン事件--過去の事例が示す安全性評価の論点
本報告は、紅麹コレステヘルプを「伝統食品」ではなく「特定成分の高産生を目的として設計された発酵製品」として再整理し、既存の食品安全評価の枠組みでは十分に説明しきれない可能性があることを指摘するものである。紅麹コレステヘルプは「紅麹を食べる食品」ではなく、モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変されたBP-412株を用い、その発酵物をそのまま製剤化した機能性表示食品であった。長期の食経験を有する伝統的な自然発酵食品とは、設計の前提が根本的に異なる。1989年の昭和電工L-トリプトファン事件は、同じく特定成分の高産生を目的とした発酵製品における健康被害事例であり、変異株・製造工程・副生成物が幅広く検証対象とされたが、30年以上が経過した現在も単一の原因物質は確定していない。この比較から浮かび上がる核心的な問いは、「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を、精製せずに長期間摂取させる製品について、どのような安全性評価が行われ、その根拠はどのように公開・検証されたのか」である。
■ 1.発酵製品における「目的成分の高産生」と製品設計の類型
食品および医薬品の発酵生産分野では、目的成分の高産生を目的として選抜・改変された株の利用は確立した製造技術である。グルタミン酸ナトリウム(味の素等)・クエン酸・リジン・トレオニン等のアミノ酸・各種抗生物質はいずれもこの手法を用いているが、これらの製品では目的成分を発酵液から抽出・精製したうえで製品化している。最終製品は目的物質のみを取り出したものであり、菌体や副生成物を含む発酵物全体を摂取する設計ではない。
ここで重要な区別がある。味噌・納豆・チーズ・醤油といった伝統的発酵食品は、非精製の発酵物をそのまま摂取するが、これらには千年単位の食経験があり、その安全性は歴史的・疫学的知見によって担保されている。紅麹コレステヘルプはこの類型には属さない。BP-412株はモナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変された株であり(グンゼ特許JP2009095304A)、その発酵物の代謝産物の組成は、伝統的紅麹菌とは異なる可能性がある。「特定成分の高産生を目的として設計された株による発酵物を、精製せずに長期間摂取させる」という構造が持つ安全性評価上の問いは、伝統発酵食品の食経験では答えられない。
■ 2.L-トリプトファン事件(1989年)の概要
1989年、米国において昭和電工製のL-トリプトファンサプリメントを摂取した消費者に好酸球増多筋痛症候群(EMS)が多発し、死者を含む重大な健康被害が発生した。事件の主要な論点は以下の通りであった。
・ 工業用変異株(遺伝子組換えを含む高生産性変異株)の使用
・ 製造工程の変更(精製工程の簡略化の可能性)
・ 不純物(特定の微量成分)の混入の可能性
原因究明は精力的に行われたが、30年以上が経過した現在でも単一の原因物質は確定していない。それにもかかわらず昭和電工は訴訟で敗訴し、総額数千億円規模の補償を実施した。
■ 3.紅麹コレステヘルプ事件との構造比較
両事件の比較軸は「工業用変異株で特定成分を高産生させた発酵製品」という共通点にある。L-トリプトファン事件が「精製済み製品における不純物混入の可能性」を問題の出発点としたのに対し、紅麹コレステヘルプは「精製工程が存在しない」という点で構造的に異なる。以下の比較表はこの差異を軸に整理したものである。
比較項目
L-トリプトファン事件(1989年・米国)
紅麹コレステヘルプ事件(2024年・日本)
1. 使用株・製造目的
L-トリプトファン産生能を高めた株(昭和電工) 目的:L-トリプトファンの高産生
BP-412株(モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変された株) 目的:モナコリンKの高産生
2. 精製工程
L-トリプトファンを精製して製品化 (ただし精製工程に問題があった可能性を指摘)
精製工程なし 固体発酵物をそのまま製剤化
3. 摂取物の性質
精製されたL-トリプトファン (目的成分のみを取り出したうえで製品化。ただし精製工程に問題があった可能性が指摘された)
BP-412株による発酵物まるごと (菌体・副生成物を含む発酵物全体をカプセル化。精製工程そのものが存在しない)
4. 原因究明の方向性
工業用変異株・製造工程・不純物が正面から検証対象に
プベルル酸を中心とした説明 工業用変異株そのものの安全性検証は不十分
5. 原因物質の確定
30年以上経過した現在も単一原因物質は未確定
比較的短期間でプベルル酸が原因物質として広く認識 (科学的根拠の検証が必要)
6. 補償
昭和電工が総額数千億円規模の補償を実施
補償が進められているが、原因物質・原因機序にはなお検証課題が残る
7. 教訓
工業用変異株使用時の精製・品質管理の重要性を再認識
工業用変異株を用いた発酵物をそのまま食品利用することの安全性評価の問題
■ 4.原因究明の方向性における差異
トリプトファン事件では、高産生株・製造工程の変更・副生成物の三点が正面から検証対象とされ、その調査過程は科学論文・行政文書として広く公開された。一方、紅麹コレステヘルプ事件では、原因究明の説明がプベルル酸を中心として展開された。本報告が問題提起したいのは、プベルル酸の科学的妥当性そのものではなく、「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を、精製せずに長期間摂取させることについて、どのような安全性評価が行われたのか」という問いが、原因究明の過程において正面から検討され、その根拠が公開・検証可能な形で示されたのかという点である。
また、原因同定の時間軸についても一点確認しておく。トリプトファン事件では30年以上が経過した現在も原因物質は確定していない。これは原因究明の困難さを示す先例であり、複雑な発酵製品における健康被害の因果関係を科学的に確定することの難しさを示している。紅麹事件においても、「原因同定の過程および科学的根拠がどのように公開・検証されたか」は、今後も継続的な検討に値する論点である。
■ 5.精製工程の有無が持つ意味
トリプトファン事件では、精製されたL-トリプトファンの製品において、精製工程の問題によって不純物が混入した可能性が問題とされた。すなわち「目的成分を精製して製品化する」ことを前提としたうえで、その工程上の問題が問われた。
これに対し、紅麹コレステヘルプでは、精製工程そのものが設計上存在しなかった。モナコリンK産生を目的として作られた工業用変異株BP-412株による固体発酵物をそのままカプセル化した構造は、トリプトファン事件とは出発点が異なる。「精製工程上の問題」ではなく、「精製工程を経ない発酵物全体の長期摂取」という、より根本的な安全性評価の問いを内包している。
■ まとめ
目的成分の高産生を目的として選抜・改変された株を用いた発酵製品は、食品・医薬品産業で広く利用されており確立した技術である。ただし、グルタミン酸・クエン酸・各種アミノ酸・抗生物質等は目的成分を精製して製品化しており、発酵物全体を摂取させる設計ではない。また、味噌・納豆・チーズ等の非精製発酵食品は長期の食経験により安全性が担保されている。L-トリプトファン事件もまた「精製済みの目的成分に不純物が混入した可能性」が問題の出発点であり、「精製を前提とした発酵製品」における事例である。
紅麹コレステヘルプは、これら既存のいずれの類型にも必ずしも明確には当てはまらない。モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変されたBP-412株による発酵物を、精製せずそのまま製剤化した製品であり、伝統発酵食品の食経験も、精製発酵製品の安全性評価の枠組みも、そのまま適用できない。本報告が提起する問いは次の一点に集約される--「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を精製せずに長期間摂取させる製品について、どのような安全性評価が行われ、その根拠は公開・検証可能な形で示されたのか」。この問いへの答えは、食品安全行政における重要な検証課題として残されている。
■ 根拠文書
・ グンゼ株式会社 公開特許 JP2009095304A(変異処理によるBP-412株の作出を明記)
・ 小林製薬株式会社 公式ニュースリリース(2018年7月17日)(BP-412株使用を公式公表)
・ Belongia EA et al. (1990) NEJM - L-トリプトファン事件に関する原著論文
・ Slutsker L et al. (1990) Arch Intern Med - EMS発生事例の疫学的分析
・ FDA (1989-2001) - L-トリプトファンに関する行政対応記録
【発行】
株式会社薫製倶楽部 代表取締役・薬剤師 森 雅昭
〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1
TEL: 086-483-0602 E-mail: sales@kunsei.co.jp
https://kunsei.com/archives/category/benikoji (紅麹問題検証サイト)
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/182444/17/182444-17-0451a9ad244947e9de30d40695e66998-1200x650.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町、代表取締役:森雅昭)は、消費者庁に対して行った行政不服審査請求(消総総第158-2号)について、2026年6月8日付で消費者庁長官より情報公開・個人情報保護審査会への諮問通知(令和8年(行情)諮問第770号)を受領したことを発表します。
■諮問の概要
本件審査請求は、2024年の小林製薬紅麹関連製品の健康被害事案に関し、消費者庁食品表示課が保有する行政文書(食品衛生基準審査課・厚生労働省・小林製薬とのやり取り、2024年3月22日Web会議議事録、同年3月28日薬事・食品衛生審議会ワーキンググループ関連資料、プベルル酸に関する決裁文書等)の開示決定(令和8年1月19日消食表第22号)に対するものです。
当社は、開示決定のうち「内容の精査を経ていない情報であり誤解を招くおそれがある」ことを理由として不開示とされた部分について、当該理由の合理性および整合性の再検討を求めて審査請求を行い、本通知により、当該請求が情報公開・個人情報保護審査会における審査の段階に入ったことが確認されました。
■今後の予定
当社は、本件に関する行政手続きの進展について、引き続き情報発信を行ってまいります。審査会での審査結果が示された際には、改めてお知らせいたします。
【参考情報】
以下は、紅麹問題に関する当社の見解・論考です。本発表の主題ではなく、参考情報としてご覧ください。
【紅麹事件研究報告 第3報】小林製薬紅麹コレステヘルプの工業用変異株とL-トリプトファン事件--過去の事例が示す安全性評価の論点
本報告は、紅麹コレステヘルプを「伝統食品」ではなく「特定成分の高産生を目的として設計された発酵製品」として再整理し、既存の食品安全評価の枠組みでは十分に説明しきれない可能性があることを指摘するものである。紅麹コレステヘルプは「紅麹を食べる食品」ではなく、モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変されたBP-412株を用い、その発酵物をそのまま製剤化した機能性表示食品であった。長期の食経験を有する伝統的な自然発酵食品とは、設計の前提が根本的に異なる。1989年の昭和電工L-トリプトファン事件は、同じく特定成分の高産生を目的とした発酵製品における健康被害事例であり、変異株・製造工程・副生成物が幅広く検証対象とされたが、30年以上が経過した現在も単一の原因物質は確定していない。この比較から浮かび上がる核心的な問いは、「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を、精製せずに長期間摂取させる製品について、どのような安全性評価が行われ、その根拠はどのように公開・検証されたのか」である。
■ 1.発酵製品における「目的成分の高産生」と製品設計の類型
食品および医薬品の発酵生産分野では、目的成分の高産生を目的として選抜・改変された株の利用は確立した製造技術である。グルタミン酸ナトリウム(味の素等)・クエン酸・リジン・トレオニン等のアミノ酸・各種抗生物質はいずれもこの手法を用いているが、これらの製品では目的成分を発酵液から抽出・精製したうえで製品化している。最終製品は目的物質のみを取り出したものであり、菌体や副生成物を含む発酵物全体を摂取する設計ではない。
ここで重要な区別がある。味噌・納豆・チーズ・醤油といった伝統的発酵食品は、非精製の発酵物をそのまま摂取するが、これらには千年単位の食経験があり、その安全性は歴史的・疫学的知見によって担保されている。紅麹コレステヘルプはこの類型には属さない。BP-412株はモナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変された株であり(グンゼ特許JP2009095304A)、その発酵物の代謝産物の組成は、伝統的紅麹菌とは異なる可能性がある。「特定成分の高産生を目的として設計された株による発酵物を、精製せずに長期間摂取させる」という構造が持つ安全性評価上の問いは、伝統発酵食品の食経験では答えられない。
■ 2.L-トリプトファン事件(1989年)の概要
1989年、米国において昭和電工製のL-トリプトファンサプリメントを摂取した消費者に好酸球増多筋痛症候群(EMS)が多発し、死者を含む重大な健康被害が発生した。事件の主要な論点は以下の通りであった。
・ 工業用変異株(遺伝子組換えを含む高生産性変異株)の使用
・ 製造工程の変更(精製工程の簡略化の可能性)
・ 不純物(特定の微量成分)の混入の可能性
原因究明は精力的に行われたが、30年以上が経過した現在でも単一の原因物質は確定していない。それにもかかわらず昭和電工は訴訟で敗訴し、総額数千億円規模の補償を実施した。
■ 3.紅麹コレステヘルプ事件との構造比較
両事件の比較軸は「工業用変異株で特定成分を高産生させた発酵製品」という共通点にある。L-トリプトファン事件が「精製済み製品における不純物混入の可能性」を問題の出発点としたのに対し、紅麹コレステヘルプは「精製工程が存在しない」という点で構造的に異なる。以下の比較表はこの差異を軸に整理したものである。
比較項目
L-トリプトファン事件(1989年・米国)
紅麹コレステヘルプ事件(2024年・日本)
1. 使用株・製造目的
L-トリプトファン産生能を高めた株(昭和電工) 目的:L-トリプトファンの高産生
BP-412株(モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変された株) 目的:モナコリンKの高産生
2. 精製工程
L-トリプトファンを精製して製品化 (ただし精製工程に問題があった可能性を指摘)
精製工程なし 固体発酵物をそのまま製剤化
3. 摂取物の性質
精製されたL-トリプトファン (目的成分のみを取り出したうえで製品化。ただし精製工程に問題があった可能性が指摘された)
BP-412株による発酵物まるごと (菌体・副生成物を含む発酵物全体をカプセル化。精製工程そのものが存在しない)
4. 原因究明の方向性
工業用変異株・製造工程・不純物が正面から検証対象に
プベルル酸を中心とした説明 工業用変異株そのものの安全性検証は不十分
5. 原因物質の確定
30年以上経過した現在も単一原因物質は未確定
比較的短期間でプベルル酸が原因物質として広く認識 (科学的根拠の検証が必要)
6. 補償
昭和電工が総額数千億円規模の補償を実施
補償が進められているが、原因物質・原因機序にはなお検証課題が残る
7. 教訓
工業用変異株使用時の精製・品質管理の重要性を再認識
工業用変異株を用いた発酵物をそのまま食品利用することの安全性評価の問題
■ 4.原因究明の方向性における差異
トリプトファン事件では、高産生株・製造工程の変更・副生成物の三点が正面から検証対象とされ、その調査過程は科学論文・行政文書として広く公開された。一方、紅麹コレステヘルプ事件では、原因究明の説明がプベルル酸を中心として展開された。本報告が問題提起したいのは、プベルル酸の科学的妥当性そのものではなく、「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を、精製せずに長期間摂取させることについて、どのような安全性評価が行われたのか」という問いが、原因究明の過程において正面から検討され、その根拠が公開・検証可能な形で示されたのかという点である。
また、原因同定の時間軸についても一点確認しておく。トリプトファン事件では30年以上が経過した現在も原因物質は確定していない。これは原因究明の困難さを示す先例であり、複雑な発酵製品における健康被害の因果関係を科学的に確定することの難しさを示している。紅麹事件においても、「原因同定の過程および科学的根拠がどのように公開・検証されたか」は、今後も継続的な検討に値する論点である。
■ 5.精製工程の有無が持つ意味
トリプトファン事件では、精製されたL-トリプトファンの製品において、精製工程の問題によって不純物が混入した可能性が問題とされた。すなわち「目的成分を精製して製品化する」ことを前提としたうえで、その工程上の問題が問われた。
これに対し、紅麹コレステヘルプでは、精製工程そのものが設計上存在しなかった。モナコリンK産生を目的として作られた工業用変異株BP-412株による固体発酵物をそのままカプセル化した構造は、トリプトファン事件とは出発点が異なる。「精製工程上の問題」ではなく、「精製工程を経ない発酵物全体の長期摂取」という、より根本的な安全性評価の問いを内包している。
■ まとめ
目的成分の高産生を目的として選抜・改変された株を用いた発酵製品は、食品・医薬品産業で広く利用されており確立した技術である。ただし、グルタミン酸・クエン酸・各種アミノ酸・抗生物質等は目的成分を精製して製品化しており、発酵物全体を摂取させる設計ではない。また、味噌・納豆・チーズ等の非精製発酵食品は長期の食経験により安全性が担保されている。L-トリプトファン事件もまた「精製済みの目的成分に不純物が混入した可能性」が問題の出発点であり、「精製を前提とした発酵製品」における事例である。
紅麹コレステヘルプは、これら既存のいずれの類型にも必ずしも明確には当てはまらない。モナコリンK産生能を高めることを目的として選抜・改変されたBP-412株による発酵物を、精製せずそのまま製剤化した製品であり、伝統発酵食品の食経験も、精製発酵製品の安全性評価の枠組みも、そのまま適用できない。本報告が提起する問いは次の一点に集約される--「モナコリンK産生を目的として設計された株由来の発酵物を精製せずに長期間摂取させる製品について、どのような安全性評価が行われ、その根拠は公開・検証可能な形で示されたのか」。この問いへの答えは、食品安全行政における重要な検証課題として残されている。
■ 根拠文書
・ グンゼ株式会社 公開特許 JP2009095304A(変異処理によるBP-412株の作出を明記)
・ 小林製薬株式会社 公式ニュースリリース(2018年7月17日)(BP-412株使用を公式公表)
・ Belongia EA et al. (1990) NEJM - L-トリプトファン事件に関する原著論文
・ Slutsker L et al. (1990) Arch Intern Med - EMS発生事例の疫学的分析
・ FDA (1989-2001) - L-トリプトファンに関する行政対応記録
【発行】
株式会社薫製倶楽部 代表取締役・薬剤師 森 雅昭
〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1
TEL: 086-483-0602 E-mail: sales@kunsei.co.jp
https://kunsei.com/archives/category/benikoji (紅麹問題検証サイト)
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