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三谷産業とUR都市機構 BIMデータの効率的な作成方法を検証する共同研究を実施

〜既存集合住宅におけるBIM活用の普及に向けて〜

三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市、代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)と独立行政法人都市再生機構(本社:神奈川県横浜市、理事長:中島 正弘、以下 UR都市機構)は、このたび「レーザースキャナを活用した点群データの取得およびBIMデータ作成」に関する共同研究を実施しました。




BIM(Building Information Modeling)※1は、設計・施工フェーズだけではなく、維持管理フェーズを含む建築ライフサイクル全体への活用が期待されています。しかし既存建物の維持管理フェーズでBIMを活用するためには、現地調査や過去の図面から既存建物のBIMデータを作成する必要があり、多大な労力と時間を要します。既存建物の効率的なBIMデータの作成は建築・建設業界において大きな課題となっています。この課題に取り組むべく、約71万戸、15,000棟の膨大な賃貸住宅のストックを保有しているUR都市機構と、約80名のBIMエンジニアを有し、国土交通省より建築BIM推進会議との連携事業に認定されるなどの実績がある三谷産業グループは、既存建物においてレーザースキャナを活用し、BIMデータを効率的に作成するための共同研究を行い、以下の結果を得ました。

<成果>
・中層・高層建物においては、従来のドローンを用いて撮影した鳥瞰的な写真を処理する方法に比べ、レーザースキャナを用いて取得した点群データ※2により建物形状を把握する方法が、効率や精度の面で有効であること。

<新たに得た課題>
・点群データからBIMデータを作成する工程において、現状では人の手による最適な処理手順の選択とモデリング作業が必要になること。

<今後の展望>
・点群データを利用することで、改修工事における図面作成時等の現地調査の工数低減や精度の向上が期待できるため、今後は次段階の検証も検討していきたい。

※1 コンピュータ上で実物と同じような仮想3Dモデルを作り、さまざまな属性情報を付加する設計手法
※2 「点群」とは点の集まりのことで、建物・設備の外形を3次元空間上の座標(x,y,z)で表現したもの

<研究内容>
維持管理フェーズにおけるBIM活用の第一段階として、レーザースキャナを用いて取得した点群データから、BIMデータを効率的に作成するための基礎的な研究を実施しました。
1. 団地の中層・高層建物のBIMデータ作成におけるレーザースキャナ活用の有効性の検証
2. レーザースキャナを用いて取得した点群データからBIMデータ作成までの作業検証

<検証結果>
1. 団地の中層・高層建物のBIMデータ作成におけるレーザースキャナ活用の有効性の検証
研究はUR都市機構の所有する団地の中層・高層建物(5〜14階程度)を対象に点群データの作成を検証しました。この検証ではドローンを用いて撮影した鳥瞰的な写真を処理する方法と、地上固定式のレーザースキャナを用いて俯瞰的な位置から直接点群データを取得する方法を実施し、比較しました。その結果、寸法や座標といったジオメトリ情報について、地上式レーザースキャナを活用することで十分確認できることが分かりました。高層建物においてはドローンを用いた撮影が有効な場合がありますが、今回検証した規模の点群データ作成においては、場所を変えて分割して撮影する必要があるものの、地上固定式レーザースキャナの方がドローン撮影より計測精度において優位性があることを確認できました。このデータを利活用することで、改修工事図面作成時等の現地調査の工数軽減や精度の向上が期待できます。

撮影した点群データ
レーザースキャナで計測して取得した点群データは一見すると写真のように見えますが、3次元空間内に座標をとった無数の点で構成されています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/32549/23/resize/d32549-23-5b3345837a4dd4073274-0.png ]


2. レーザースキャナを用いて取得した点群データからBIMデータ作成までの作業検証
BIMデータを作成するまでには、計測、処理方法、処理時間等のバックデータを整理し、点群を取得してから3Dモデルデータを作成し、そして部材等の属性情報を付加するという工程があります。その工程についていくつかの作業ルートを検証した結果、建物外観や住戸内部等の計測場所や規模によってルートが異なり、最低3工程では人力によるデータ処理が必要となることが明らかになりました。また、作成データの容量が非常に大きくなることから、データ処理のための送受信に課題があることがわかりました。効率的で汎用的なBIMデータ作成が求められる場面においては、今回検証した方法には現時点で課題が残りますが、BIMデータ作成のための作業ルートの比較検討を行ったことや、点群データ取得の際のデータ容量の基準を検証できたことは、共同研究の成果となりました。また、データ容量に起因する課題については、今後5Gの環境整備が進むことでデータの送受信の速度に関して大きく改善されることを期待しています。

作成したモデルデータ
取得した点群データを基に位置合わせやノイズ除去などを行い、BIMデータを作成しました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/32549/23/resize/d32549-23-a945263db4fb76785b91-1.png ]


(補足情報)
【三谷産業グループについて】 https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して94年、ベトナムで創業して28年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
2022年3月期:連結売上高 84,427百万円/連結従業員数 3,805名

【UR都市機構について】 https://www.ur-net.go.jp/
1955年に設立された日本住宅公団を母体とするUR都市機構は、60年以上にわたり“まち”と“住まい”に関わるさまざまな課題に向き合ってまいりました。そして現在は「人が輝く都市をめざして、美しく安全で快適なまちをプロデュース」することを使命に、人口減少・少子高齢化、頻発する大規模災害、環境問題など重要な社会的課題にも積極的に向き合い、国の政策実施機関として地方公共団体や民間事業者と連携しながら業務を推進しております。

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<お問い合わせ先>
共同研究について:
三谷産業株式会社 空調首都圏事業部 TEL:03-3514-6040(担当:田畑、田保)
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