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環境にやさしい非鉛圧電セラミックス結晶粉末の安定合成に成功【産技助成Vol.39】

〜曲面形状や複雑な3次元対象物上に数十ミクロンの成膜化が可能に〜


独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
東京大学新領域創成科学研究科



【新規発表事項】
東京大学 新領域創成科学研究科は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、環境にやさしい非鉛圧電セラミックス原料粉末の安定合成技術の開発に成功しました。圧電セラミックス(注1)は医療診断装置をはじめとして小型軽量圧電トランス(注2)や、インクジェットプリンタヘッド、手ぶれ防止用の角度ジャイロセンサなどに使用され、現在の高度情報化社会において不可欠な電子材料です。しかしながら、鉛を含むチタン酸ジルコン酸鉛セラミックス(PZT)(注3)が現状では主に用いられており、鉛フリーで環境にやさしい非鉛圧電セラミックスの開発が急務となっています。今回開発した水溶液中のイオン反応を応用した超音波アシスト水熱合成法は、200℃程度の低温化学合成により自己集積的に圧電セラミックス原料を高速合成する世界初の技術です。低温化学反応を応用しているのでカリウムが合成途中で蒸発消滅することがなく、非鉛圧電セラミックスの有力候補の一つであるニオブ酸カリウム系セラミックス(KNbO3)のニオブ:カリウム組成比率が理想的な1:1の結晶粉末を自己集積的に得られます。曲面形状や複雑な3次元対象物に数十ミクロンレベルのセラミックス成膜を実現可能にする技術で、カプセル内視鏡の高性能化やEUS超音波内視鏡の小型化の他、これら非鉛圧電セラミックスが必要とされる様々な分野での応用に期待されます。

(注1)力を加えると電圧を発生し、逆に電圧を加えると力が発生するセラミックスのこと。このように機械的エネルギーと電気的エネルギーを材料内で直接変換する事が可能な性質は圧電性とよばれ、セラミックス以外に高分子材料等にも、この性質を示す材料が数多く知られている。
(注2)圧電振動子の機械的共振(注4)現象を利用して、低電圧入力から高電圧を発生させるデバイス(変圧器)のこと。
(注3)Pb(Zr,Ti)O3のこと。高い圧電性をもつことから、センサ、アクチュエータ等の材料として用いられている。
(注4)外部から与えられた圧力によって物質の固有の振動を起こすこと。それにより、圧電トランスの入力側の低い電圧が誘起されて出力側に大きな電圧を発生させることができる。


1.背景及び研究概要
圧電セラミックスは医療診断用超音波トランスデューサ(注5)や、インクジェットプリンタヘッド駆動部、ジャイロセンサ、圧電トランスなど多くの情報機器に用いられている電子材料です。現状の圧電セラミックスとして鉛を多く含むチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が使用されていますが、近年は環境問題の観点から欧州を中心として鉛使用に対して規制が求められています。
このような社会的な背景から、環境負荷の少ない非鉛圧電材料の開発・応用は急務であり、世界規模で精力的に研究が進められています。しかし、未だPZT に匹敵する圧電特性、温度特性を持った圧電セラミックスは開発されていないのが現状です。そこで、本研究では非鉛系圧電セラミックスを作製する新規手法として超音波アシスト水熱合成法を開発し、非鉛圧電材料の一つであるKNbO3圧電セラミックス製造法に関する開発を行いました。水熱合成法は水溶液中のイオン反応を応用したプロセスで、競合技術(固相法(注6))に比べて低温合成ができることと、自己集積的に粉末合成ができることから、極めて高品質な結晶粉末を得ることができます。また、製造プロセス中に超音波照射することにより製造プロセス時間を5分の1の3時間程度に短縮することができるようになり、従来の問題点も解決することができました。

(注5)超音波を照射し、対象物からの反射波を解析することで内部観察するデバイスのこと。胎児検診等に使用されている。
(注6)原料を混ぜて、高温で焼く段階で化学反応を起こして化合物を作る方法。


2.競合技術への強み
本技術の特徴は以下の通りです。
1.環境に易しい非鉛圧電セラミックス(ニオブ酸カリウム系セラミックス(KNbO3))の大量製造を可能にします。
2.競合技術の固相法では800℃を超える高温化学反応プロセスを経るために多くのカリウム原子が蒸発してしまいますが、本技術では200℃程度の水溶液中での化学反応によりセラミックスを合成するため、自己収集的にカリウムとニオブの組成比率が理想的な1:1のセラミックス原料粉末を得ることができます。
3.固相法で用いられている粉砕プロセスを必要としない(注6)ので、不純物混入のリスクがありません。
4.製造プロセス中に超音波照射することにより製造プロセス時間を、従来の水熱合成法と比べ5分の1の3時間程度に短縮できます。
5.更に強力な超音波照射することで、将来的にはナノレベルの緻密で高性能な非鉛セラミックス原料粉末を製造することが実現可能と期待されます。

(注6)固相法の場合、先ず目的原料を高温反応で生成し、これを原料に成型するために粉砕を行うため、その際、粉砕に使用するセラミックボールからの不純物が少なからず混入するという課題がある。


3.今後の展望
現在得られている圧電定数d33は51pC/Nであり、まだPZTに匹敵する値(300pC/N程度)とはなっておらず、さらに6倍程度大きくする必要があります。このために、今後は本技術で作成した原料粉末を所望の形に焼成するプロセスの最適化や、添加物の導入による性能向上などを検討していく予定です。また、さらに強力な超音波照射を行うことにより、非鉛セラミックス原料粉末のナノスケールでの結晶化が予想され、緻密で高性能な非鉛圧電セラミックスが実現されると期待されます。これらを実現するために、圧電セラミックスの製造・研究開発に知見を持つ企業や研究組織と意見交換し、有望候補先とは共同開発を通じて開発を進めていく予定です。


4.その他
(1)研究者の略歴
1994年東京大学工学部卒業、1999年東京大学工学系研究科より博士(工学)を取得。その後、理化学研究所、スイス連邦工科大学での博士研究員を経て、2002年より東北大学助手。2005年より東京大学新領域創成科学研究科助教授、2007年より准教授。
(2)受賞
平成16年度 応用物理学会講演奨励賞、平成18 年度 超音波シンポジウム奨励賞、他。


5.参考
・詳細説明資料(PPT)掲載サイト
http://venturewatch.jp/privacy/20081001_2_nr.html

※詳細説明資料(PPT)についてはNEDO技術開発機構より業務委託しているテクノアソシエーツの運営管理する「技術&事業インキュベーション・フォーラム」の問い合わせフォームからダウンロードすることができます。

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