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【プレスリリース】世界の子どもたちの“格差”が、更に明らかに 状況改善のためのイノベーションを訴える

ユニセフ『世界子供白書2014-統計版』発表




「子どもの権利条約」が生まれて、今年11月20日で25年。
“平均値”から取り残された子どもたちに必要な支援を届けるためには、
これまで以上に“格差”に焦点を当てる必要があると指摘。 #data4children


※本信は、ユニセフ本部からの情報を日本ユニセフ協会 広報室が翻訳・編集したものです
※原文はhttp://www.unicef.org/media/media_71841.html でご覧いただけます
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【2014年1月30日 ニューヨーク発】
ユニセフは1月30日、『世界子供白書2014-統計版 だれもが大切な”ひとり”-格差を明らか
にし子どもの権利を推進する―』を発表。世界で最も弱い立場にある22億人もの子どもたち
ひとりひとりが、「子どもの権利条約」で定められた権利を享受できるようにするために、
格差の詳細を明らかにし、その解消に向けた取り組みを加速させることと、そのための革新的な
手法の導入(イノベーション)が必要だと指摘しています。

また白書は、多くの子どもたちが様々な行政サービスや支援を等しく受けられない状況にある
ことを明らかにし、そうした状況を改善するために、データ(統計)が重要な役割を果たして
いると解説します。

「データがあったからこそ、私たちは、これまでに数百万人もの子どもたち、特に社会的に最も
苦しい状況に置かれている子どもたちの命を守り、生活環境を改善することができました。
どの子どもたちが社会的に見捨てられているのか、どの子どもたちが学校に通えずにいるのか、
どこで病気が蔓延しているのか、どこにトイレがないかといったことが分かってはじめて、
そうした状況を改善してくことが可能になるのです」(ユニセフ本部テッサ・ワルドロウ統計・
評価担当部長)


■25年間に起きた進展の例
1989年に「子どもの権利条約」が採択されて以降、世界の子どもたちを取り巻く状況は大きく
改善しました。そして今、国際社会は、2015年の“達成目標年”に向けて、「国連ミレニアム
開発目標」の各分野での取り組みを加速させています。こうした状況を背景に本日発表された
ユニセフの基幹出版物『世界子供白書』の2014年統計版は、以下のようなデータを明らかに
しています:

・もし1990年時点の5歳未満児死亡率がこれまでに全く改善されていなかったとしたら、1990年
からこれまでに9,000万人の子どもたちが5歳になる前に命を落としていたことになる。予防
接種や基礎的な保健サービス、水と衛生(トイレ)環境の改善が、この子たちの命を守ること
を可能にした。

・子どもたちの栄養状況が改善された結果、1990年時点と比較して発育阻害が37%削減された。

・後発開発途上国を含め、初等教育の就学率が向上した。1990年時点で学校に入学した子ども
たちは100人中わずか53人だったが、2011年には100人中81人にまで増加している。


■権利が侵害されている例
こうした“進展”の一方、白書は、その表題「だれもが大切な”ひとり”―格差を明らかにし
子どもの権利を推進する―(原題:"Every Child Counts: Revealing disparities, advancing
children's rights")」が示すように、多くの子どもたちの権利が未だに侵害され続けている
状況を、以下のようなデータで紹介しています:

・2012年に約660万人の5歳未満の子どもたちが、多くは予防可能な原因で命を落とした。これは、
「生きる権利」「育つ権利」という子どもたちの基本的な権利が侵害されていることに他ならない。

・世界の子どもたちの15%が働かざるを得ない状況に置かれている。「経済的搾取から守られる
権利」や「学ぶ権利」「遊ぶ権利」が侵害されている。

・女の子の11%は15歳未満で結婚をしている。彼女たちの「健康」に関する権利、「学ぶ権利」
「保護される権威」を脅かしている。

データは、格差と不公平をより明らかにするとともに、これまで国際社会が達成してきた社会開発
の果実が、全ての人々(子どもたち)に均等に分配されていない状況を浮き彫りにしています:

・世界の最も貧しい国・社会層の人々が訓練を受けた専門家の助けを得て出産する確率は、最も
豊かな国・社会層の場合に比べ2.7倍も低く、その結果、新生児や母体が出生時の合併症に
かかる危険性が高くなっている。

・ニジェールでは、都市部では全世帯が安全な水にアクセスできるが、農村部ではわずか39%に
過ぎない。

・チャドでは、中等教育に進学する男の子100人に対し、女の子はわずか44人に過ぎない。多くの
女の子が、学校が提供する教育や、様々な社会的リスク(搾取)からの保護、行政サービスの
恩恵を受けられない。

・ブルキナファソでは、15〜49歳の女性の76%がFGM/C(女性性器切除)を受けている一方で、
FGM/Cの継続を希望する人はわずか9%に過ぎない。


■多岐にわたるデータ収集の継続が重要
白書は「子どもたちの存在を正確に把握することで、初めて子どもたちが“見える存在”となる。
そのうえで、子どもたちのニーズを明らかにし、子どもの権利を推進することが可能になる」と指摘。
これまでになされてきた、データ収集・分析、共有(普及)の各側面における技術革新により、
データを小項目(場所や豊かさ、性別、民族、障がいなど)で区分することも可能になりました。
それにより、社会的に最も疎外された状況に置かれた、あるいは、平均値から取り残された子どもを
含め、様々な状況に置かれている子どもたちの状況が、より詳細に把握できるようになっていると
報告しています。

白書は、少なからずの子どもたちが“疎外”されているという“過ち”を“正す”ために、技術革新
へのさらなる投資が必要だと訴えています。

「包括的なデータを揃えることが、“疎外”という問題の克服に必要な第一歩です。子どもたちや
彼らの家族が日々直面している、社会的な機会を“はく奪”されているという状況。そのことを示す
データを取得し、そのデータがより広く共有されるようにすること、そしてそのデータの信頼度を
上げてゆくために、データ収集・分析に用いられる様々なツールは常に改善され、また新たなツール
が開発され続けています。こうした取り組みには、今後も持続的な投資と、それを支える強い意思
(コミットメント)が必要です」と白書は伝えています。


■データが世界を変えることを可能にする
現在私たちの手元にある世界の子どもたちの状況に関する殆どのデータは、ユニセフが開発した
「複数指標クラスター調査(ミックス)」(Multiple Indicator Cluster Surveys-MICS:
http://www.childinfo.org/mics.html )と呼ばれる調査手法に代表される世帯調査を通じて集め
られたものです。現在、多くの国の統計を所轄する官庁が、ユニセフの支援を受けながら
「ミックス」を使い、生存や発達などの子どもの諸権利や、日々の生活を左右する様々な事象に
関する詳細なデータを収集しています。「ミックス」を用いた統計調査が行われた国は、今日までに
100カ国を超えています。前回の実施では、50カ国で65万を超える世帯で調査が行われました。

『世界子供白書』が、世界の子どもたちが置かれている詳細な状況を伝えるために、各国を一定の
基準と指標を使って比較できる統計表を掲載するようになって30年。本日、データそのものを
テーマとした白書を発表するにあたり、ユニセフは、世界の子どもたちのためのポジティブな変化
を生みだすために、本白書が提供するデータwww.data.unicef.orgをご覧いただき活用していただく
よう、各国で政策を決定する立場に立たれている方々のみならず、国際社会を構成する全ての方々
に呼びかけています。

「データ自体は世界を変えることはできません。データは、世界を変えることを可能にするものです。
ニーズを明らかにし、アドボカシー(政策への働きかけ)活動のツールとなり、進捗状況を測定する
ことで、変化を創り出すことを可能にします。政策を決定できる立場に立つ人々が、データを使って
ポジティブな変化を生みだすこと、そして、子どもたちや地域に住む人々が、自分たちが置かれて
いる状況の改善に責任ある立場にいる人々や組織に向けて、その責務を明確に訴えることを可能に
するデータが存在し、共有されることが、何よりも重要なのです」(白書から)


■『世界子供白書2014-統計版』データならびに画像・映像について
下記のサイトより、報告書原本(英語)の閲覧が可能です
http://www.unicef.org/sowc2014/numbers/
日本ユニセフ協会YouTube アカウントでは、日本語字幕付の映像を1月30日夕方に公開します
http://www.youtube.com/user/UNICEFJapanNatCom
※『世界子供白書2014-統計版』日本語全文は、2014年3月発表予定です


■ 本件に関するお問い合わせ
日本ユニセフ協会 広報室
TEL:03-5789-2016  FAX : 03-5789-2036  Eメール:jcuinfo@unicef.or.jp
Kate Donovan, ユニセフ本部(ニューヨーク)Tel: + 1 212 326 7452, kdonovan@unicef.org
Rita Ann Wallace, ユニセフ本部(ニューヨーク), Tel: + 1 212 326 7586 /
Mobile: + 1 917 213 4034; rwallace@unicef.org


■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進
するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、
その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子ども
たちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのため
に活動しています。(www.unicef.org)

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの
任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会
のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ
活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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