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100万人もの幼い命を奪う肺炎――Gaviはより安価なワクチン開発に資金充当を

国境なき医師団(MSF)は、開発途上国の予防接種率向上を目的とした官民パートナーシップ「Gaviワクチンアライアンス」(Gavi)に対し、肺炎ワクチン普及のための残り資金を、より低価格でワクチンを提供できる製薬企業に与え、ファイザー社とグラクソ・スミスクライン社(GSK)への資金供与を打ち切るよう求める。2社はこれまでに世界全体で何十億ドルという売上に加え、事前買取制度という仕組みのもとで、十分すぎる額の補助金を得てきていることが理由だ。

Gaviは8月28日より横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD)に合わせ、2021〜2025年プログラムの資金確保に向けた第3次増資準備会合を開く。MSFは、Gaviが増資を募るにあたって、より低価格でワクチンを確保するため、企業間の競合を推進するなどあらゆる手立てを模索すべきだと指摘する。




[画像: https://prtimes.jp/i/4782/449/resize/d4782-449-195544-0.jpg ]

高すぎる肺炎ワクチンに、手が届かない子どもたち

現在、Gaviが合計13種類のワクチンに充てる全予算のうち40%以上が「肺炎球菌結合ワクチン(PCV)」に注がれている。肺炎は世界の5歳未満児の死因の25%以上を占めており、毎年約100万人の幼い命が失われてきた。肺炎球菌感染症による子どもの死は予防接種で防げるにもかかわらず、世界の3割近くの国がPCVを導入できずにいる。主な原因は価格であり、これまでに60の途上国がGaviの支援で自国の定期予防接種プログラムにPCVを導入したが、Gaviの支援対象から外れている中所得国をはじめ、従来のワクチン価格ではまだ手の届かない国も多い。

MSFのワクチン接種・アウトブレイク対策顧問のミリアム・アリアは、「私たち医療者の目の前で、あまりにも多くの子どもが肺炎に命を奪われています。しかし現状のワクチンはあまりに高価で、子どもたちの命を守ることもままなりません」と訴える。

企業間の競争でワクチン価格を引き下げるべき

Gaviの事前買取制度は特別な資金供与の仕組みで、2007年にGaviと、資金を提供するイタリア、英国、カナダ、ロシア、ノルウェー政府およびビル&メリンダ・ゲイツ財団によって立ち上げられた。その目的は、開発途上国のニーズに合った肺炎ワクチンの開発を促し、世界的な普及を加速させることにある。前述のドナー国・機関が特別な補助金として確約した15億米ドル(約1596億円)は、各製薬企業の課す肺炎ワクチン基本価格に追加する形で製薬企業に支払われてきた。

現在、ファイザーとGSK以外に肺炎ワクチンを製造している製薬企業はなく、長年の寡占状態が価格の高止まりを許している。Gaviはこれまで両社に、子ども1人あたり約9米ドル(約958円)のPCV基本価格に加えて、補助金を支払ってきた。しかし先ごろ、第3の製造者としてSerum Institute of India社が、今年末までに子ども1人あたり6米ドル(約639円)で提供する意向を発表した。Gaviとドナー国・機関にとって、より多くの子どもに命を救うワクチンを届ける道筋は明らかだ。

より多くの子どもに持続的に、予防接種を届けるチャンス

「ファイザーとGSKの貪欲な価格設定のために、世界の何百万人という子どもが今も肺炎に対して無防備なままでいます」。MSF必須医薬品キャンペーンのワクチン政策アドバイザー、ケイト・エルダーは言う。

第3の競合企業の参入によって、自国の予防接種プログラムにまだPCVを導入できていない国や、将来Gaviの支援対象を外れる国も、ワクチン費を自国でまかなえる可能性が広がるだろう。より安価なワクチンに切り替えることで、今回の増資の対象期間において最大10億米ドル(約1064億円)の支出削減も期待できる。

エルダーはこう期待を込める。「昨今は各国の財政は厳しく、また、Gaviの支援の対象から外れる国もあるため、資金はできる限り賢く使わなければなりません。もっと手ごろな価格の肺炎ワクチンがあれば、増資を募りつつ、現行の予算も延長できるでしょう。さらに長期的には、全途上国が費用を自己負担し、予防接種プログラムが安定的に持続される一助となるでしょう」
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