企業のメインバンク、「三菱UFJ」が17年連続トップ 「ネット銀行」が法人取引で躍進、取引社数は10年で6倍
[25/12/19]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
全国「メインバンク」動向調査(2025年)
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/1218/resize/d43465-1218-877662-pixta_117750966-0.jpg ]
株式会社帝国データバンクでは、2025年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約150万社収録、特殊法人・個人事業主含む)をもとに、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析した。一企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとした。同調査は2024年12月に続き17回目。
SUMMARY
2025年メインバンク調査では、三菱UFJ銀行が17年連続首位(9.3万社)となった。ただ、大手行ではシェア縮小傾向が続き、メガ3行合計では1193社減少した。
業態別では、「地方銀行」のシェアが39.76%と7年ぶりに4割を下回り、信用金庫や第二地銀への移行が進行している。一方、法人取引を拡大した「ネット銀行」は10年で6倍に増加、GMOあおぞらなどが急伸した。「農協(JAバンク)」も農業分野で存在感を高めている。
[注] 本調査は帝国データバンクが独自に調査・保有する企業概要データベース「COSMOS2」に収録された企業データであるため、各金融機関がメインとして認識する実数と異なる場合がある
全国金融機関ランキング2025
シェアトップは「三菱UFJ銀行」の9.3万社 17年連続首位
2025年の全国メインバンク社数トップは「三菱UFJ銀行」となった。企業数は9万2891社となり、2009年の調査開始以降17年連続のトップとなった。しかし、全国シェアでは6.18%と前年から0.15ポイント(pt)低下・社数で607社減少し、16年連続のシェア縮小となったほか、低下幅は2024年に続き全金融機関で最大となった。2位は「三井住友銀行」の7万5280社(シェア5.01%)で、前年からシェアで0.11pt低下、社数で223社減少した。3位の「みずほ銀行」(6万80社)も、シェアで0.09pt、社数で363社減少した。この結果、メガバンク(都市銀行)上位3行のメイン社数は2024年比で1193社・シェアにして計0.35ptの低下となった。一方、同じメガバンク(大手5行、都市銀行)の「りそな銀行」(3万1146社、シェア2.07%)、「埼玉りそな銀行」(1万8026社、同1.20%)は、ともに社数で増加した。なお、2025年内に合併した地銀・第二地銀では、「青森みちのく銀行(旧青森銀行+旧みちのく銀行)」(1万3400社、同0.89%)が全国22位に、「あいち銀行(旧愛知銀行+旧中京銀行)」(1万344社、同0.69%)が全国30位の規模となった。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-05807c8241b2598a7638e36db48d37bd-685x442.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
地方・第二地方銀行では、「北洋銀行」(2万3910社、全国:5位)が最多だった。次いで「福岡銀行」(2万2831社、同6位)、「千葉銀行」(2万1727社、同7位)、「西日本シティ銀行」(2万1168社、同8位)と続いた。信用金庫では、「京都中央信金」(8407社、全国:44位)が最多だった。次いで「多摩信金」(7712社、同49位)、「大阪シティ信金」(7425社、同52位)と続いた。信用組合では「茨城県信組」(3096社、同100位)が最多だった。
2024年時点でメイン社数1千社以上を有する金融機関のうち、前年からの増加社数(純増)をみると、最多は「GMOあおぞらネット銀行」(メイン社数:1283社、前年比597社増)だった。ネット銀行が純増数で首位となるのは、調査を開始した2009年以降で初めて。ネット銀行に分類される金融機関では他にも、「住信SBIネット銀行」(1268社、316社増)が上位を占めた。全国に拠点を有する「ゆうちょ銀行」(3752社・354社増)も大幅に増加した。地銀・信金信組では「宮崎銀行」(1万178社、399社増)が最も増加した。
「地方銀行」のシェア、7年ぶり3割台に低下
業態別にみると、シェアが最も高かったのは「地方銀行」で39.76%となり、前年から0.52pt低下した。地方銀行のシェアが3割台となるのは、2018年調査(39.65%)以来、7年ぶり。2016〜2022年各調査年にかけて続いたシェア拡大の動きは2023年にストップし、11年ぶりにシェアが低下した2024年に続き、2025年はさらにシェアが低下した。2024-2025年調査にかけてメインバンクを「地方銀行から変更した」企業約4千社の動向をみると、変更先として最も多いのが「信用金庫」の1728社(構成比44.55%)だった。ゼロゼロ融資などの貸し出しを背景に、中小零細企業を中心に、より地域や経営に密着した信用金庫に代わる動きが進んだ。次いで「第二地方銀行」(886社、構成比22.84%)、「メガバンク」(702社、同18.10%)、「信用組合」(266社、同6.86%)が続いた。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-614799ed3e51b091e38392c9ea1df522-565x469.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
シェアが低下した業態では他にも、「信用金庫」(シェア:23.38%)が0.22pt、「メガバンク」(18.47%)が0.39pt、「第二地方銀行」(9.39%)が0.15pt、「信用組合」(2.39%)が0.04pt、それぞれシェアが低下した。「メガバンク」「第二地銀」のシェアは調査開始の2009年以降で最低となったほか、「信用組合」は3年連続でシェアが低下した。信用金庫のシェアが低下したのは、2018年調査(シェア:23.19%)以来7年ぶり。信用金庫では「ゼロゼロ融資」への対応で存在感を増した一方、同融資の返済が進んだ企業が離脱した可能性がある。また、通販事業者など明確な主力取引行を必要としない中小零細業者が増加したことも、既存金融インフラの業態でシェア低下が続く遠因となった。
一方で、シェアが拡大した業態では「ネット銀行」(0.36%、+0.08pt)、ゆうちょ銀行など「その他金融機関」(0.35%、+0.03pt)の2業態だった。
企業を取り込む「ネット銀行」経済圏 取引社数は10年で6倍
実店舗を持たず、インターネットバンキングなど個人向け金融事業を主力とする「ネット銀行(新形態の銀行)」経済圏が、中小企業を取り込む動きが加速している。他業態に比べ大幅なシェア拡大が続くネット銀行のメインバンクシェアは、2025年で0.36%(前年比+0.08pt)、社数で5429社を数えた。調査を開始した2009年からは社数で約42倍、10年前(2015年)からは同6.5倍に増加した。ネット銀行では楽天グループの「楽天銀行」が1521社・シェア0.10%でトップとなり、ソフトバンクグループの「PayPay銀行」(1299社)、「GMOあおぞらネット銀行」(1283社)、「住信SBIネット銀行」(1268社)の上位4行でネット銀全体の約99%を占めた。特にGMOあおぞらネット銀行は、前年調査(686社)からほぼ倍増し、住信ネット銀行とともにネット銀行としてメイン社数1千社を突破した。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-973ba09efa8bd365084226e7c9158a8a-646x542.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
前年(2024年調査)からメインバンクを「ネット銀行」へ変更した170社の動向をみると、「メガバンク」(55社)からの流入が最も多く、「地方銀行」(35社)、「信用金庫」(29社)と続いた。規模は小さいものの、メガバンクや地銀から流入する社数が増加しており、既存の金融機関が牙城としてきた法人分野に「ネット銀行」が攻勢をかける構図が鮮明となった。他方で、「ネット銀行」全体の増加数に比べると流入は少なく、新たに創業した企業などがメインバンクとしてネット銀行を選択する動きが多くみられた。
サブバンクとして法人口座を開設するなど、ネット銀行を取引行とする中小企業も増えている。主要なネット銀行10行を、メイン・サブバンクの立ち位置を問わずいずれかの取引金融機関として利用する企業は、2025年調査時点で計1万6037社判明し、10年前の2015年からは4.6倍に増加した。「イオン銀行」など流通・通信系のネット銀行を含め、決済手数料や基本利用料の低さ、決算書不要の新たな少額融資サービスなどを背景に、決済手段として法人口座が必要な企業や、多くの資金を必要としない企業、融資を受けづらいスタートアップ・新興企業を中心に、ネット銀行の口座開設を進める動きが加速した。
足元では、ネット銀行事業をグループ内で展開するポイント連動や各種特典の付与など他のサービスと連携し、インセンティブとして法人取引の裾野を広げる「ネット銀行経済圏」の拡大が続いている。2025年10月1日付で住信SBIネット銀行を連結子会社化した通信大手のNTTドコモは、新しいサービスブランド「d NEOBANK」を導入するなど、「dポイント経済圏」の構築を加速化させる。自社の証券業務や振込手数料の無料・格安化、デジタル給与サービスの提供など多様な金融サービスで顧客の囲い込みを図っており、水面下で中小企業や新興企業におけるネット銀行の存在感は今後より高まるとみられる。
「JAバンク」 農業分野で高まる存在感 2025年はシェア最高
日本の一次産業を支える「農業協同組合」(農協、JA)の存在感が増している。農協をメインバンクとする企業は1万8532社に上り、前年から1.8%増加、全体のシェアでは1.2%を占めた。前年からのシェア伸び率は過去10年で2番目に多く、社数としては調査開始以降で最多だった。
近時は、農業を営む事業者が農協をメインバンクとする割合が再び高まっている。全国の農業事業者1.7万社のうち、「農協」をメインバンクとする事業者は40.39%だった。2021年まで40%を下回る水準で推移するなど、金融機能を農協に求める動きが長く停滞傾向にあったなか、2022年は初の40%台に到達、2025年は前年に続き2年連続で農業全体でのシェアを拡大させ、最高を更新するなど、農業分野で金融仲介機能としての存在感を高めている。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-bc8f3e89b31154e45c6f13cf1074a644-636x521.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
農業事業者の売上高規模別にメインバンクが「農協」の割合をみると、売上高「5000万円未満」では農協をメインバンクとする割合が45.15%と最も高かった。「5000万円〜1億円未満」(42.55%)など小規模な事業者では農協をメインバンクとする割合が高い傾向がみられる半面、「10億円以上」では14.92%にとどまるなど、規模によって農協をメインバンクとする割合には大きな差異もみられた。
近年、農協では農産物のブランド化や農地集約による大規模化、機械化といった、担い手農家が抱える課題や成長ステージに応じた資金供給など、伴走型支援を行うことで「農業メインバンク」としての機能強化を目指す動きが進んできた。こうしたなか、預金や融資などJAグループの信用事業を束ねる農林中央金庫は、大規模農業法人への融資拡大などをはじめとする農業向け投融資を拡充する方針が判明するなど、農業向けリスクマネーが2026年以降に増える可能性がある。農業事業者のニーズに沿った資金供給が進むことで、今後は農業分野における金融仲介事業者として、農協の存在感が一層高まるとみられる。
1行単独「シェア過半」は21県 長崎県:十八親和銀行は8割超
企業がメインバンクとして認識している金融機関を各都道府県別にみると、「埼玉県」(埼玉りそな銀行)のほか、「東京都」「愛知県」(三菱UFJ銀行)、「大阪府」「兵庫県」(三井住友銀行)の5都府県で、メガバンクがトップシェアとなった。
1行単独で都道府県内のシェアが最も高いのは「長崎県:十八親和銀行」で、県内シェア83.27%を占めた。2番手の「たちばな信金」(503社、県内シェア:3.20%)、「長崎銀行」(432社、同2.75%)を大きく上回った。1行単独シェアとしては全国で唯一となる80%超えの水準が続くものの、前年からのシェア推移では0.79pt低下した。青森県は2025年に合併した「青森みちのく銀行」が70.76%を占め、長崎県に次いで1行単独シェアが全国で2番目に高いエリアだった。このほか、「和歌山県」(紀陽銀行:県内シェア62.72%)、「島根県」(山陰合同銀行:同61.80%)、「宮崎県」(宮崎銀行:同61.26%)の3県は、1行単独シェアとして60%を超えた。
1行で県内シェア50%超を占める「単独過半数」の都道府県は合計21に上り、2024年調査から1県増加した。ただ、21県のトップシェア・過半行のうち、約8割を占める17行が前年よりシェアが低下した。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-5a76c942f1bf50daae417193a549f3e9-1173x752.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
メインバンクの選考条件は「低金利」以外に拡大 地域金融機関で問われる「顧客理解力」
日本銀行が2024年3月に政策金利の引き上げを表明して以降、金融機関では企業の借り換え局面などで利上げの交渉を進める動きが活発化しており、地域金融機関は「金利のある世界」に適応しつつある。実際に、帝国データバンクが全国の企業約103万社・850万期分の決算書データを対象に分析した結果、2024年度決算における平均借入金利は1.20%となり、前年を0.16p上回る大幅な上昇を記録した。「ナゴヤ金利」をはじめとする、コロナ禍前まで続いた超低金利での貸出によるシェア拡大競争からの決別が進んでいる。
企業の資金調達に関して金融機関の位置づけに変化がみられ、口座維持コストの安さや、迅速な融資決定力を武器にシェア拡大を続けているネット銀行など新興勢力のシェアが近年急拡大している。特に創業直後のスタートアップ、事業を承継した若手代表者が経営する企業などでは、取引銀行の選考条件として金利条件よりも対応の質やスピードを重視する傾向が強まっているほか、借入金を必要としない小規模企業を中心に、確たるメインバンクを必要としないケースも増えている。こうした企業と金融機関の関係変化は、現状では企業が集積する都市部に限定されてはいるものの、今後は地方でも広がる可能性がある。低コストで安定した資金を確保し、企業への融資などで利ザヤを稼ぐ預金貸出ビジネスを維持してきた地域金融機関にとっては、スピード面や利便性で優位に立つネット銀行など新興勢力が徐々に脅威へと変化することも想定されよう。
足元では、再生支援を担う部署や新会社の設立などで事業再生ビジネスに本格的に参入する金融機関も相次ぐ。また、2026年には「企業価値担保権」を設定した融資もスタートし、地域金融機関が長年取り組んできた、知的資産や技術力などを測る事業性評価の総合力が試される局面に突入する。また、店舗の統廃合による経営コストの削減から、コンサルティングなど特定の機能に特化した店舗開設などを進めるなど、縮小一辺倒だった営業拠点を再度復活させる動きが目立つようになってきた。メインバンクとして支援する店舗型金融機関は、技術やビジネスモデルに対する目利き力、販路拡大、人材育成など、地域の中小企業が抱える課題にきめ細かく対応できる「良きパートナー」としての存在感をどう誇示できるかが注目される。
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/1218/resize/d43465-1218-877662-pixta_117750966-0.jpg ]
株式会社帝国データバンクでは、2025年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約150万社収録、特殊法人・個人事業主含む)をもとに、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析した。一企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとした。同調査は2024年12月に続き17回目。
SUMMARY
2025年メインバンク調査では、三菱UFJ銀行が17年連続首位(9.3万社)となった。ただ、大手行ではシェア縮小傾向が続き、メガ3行合計では1193社減少した。
業態別では、「地方銀行」のシェアが39.76%と7年ぶりに4割を下回り、信用金庫や第二地銀への移行が進行している。一方、法人取引を拡大した「ネット銀行」は10年で6倍に増加、GMOあおぞらなどが急伸した。「農協(JAバンク)」も農業分野で存在感を高めている。
[注] 本調査は帝国データバンクが独自に調査・保有する企業概要データベース「COSMOS2」に収録された企業データであるため、各金融機関がメインとして認識する実数と異なる場合がある
全国金融機関ランキング2025
シェアトップは「三菱UFJ銀行」の9.3万社 17年連続首位
2025年の全国メインバンク社数トップは「三菱UFJ銀行」となった。企業数は9万2891社となり、2009年の調査開始以降17年連続のトップとなった。しかし、全国シェアでは6.18%と前年から0.15ポイント(pt)低下・社数で607社減少し、16年連続のシェア縮小となったほか、低下幅は2024年に続き全金融機関で最大となった。2位は「三井住友銀行」の7万5280社(シェア5.01%)で、前年からシェアで0.11pt低下、社数で223社減少した。3位の「みずほ銀行」(6万80社)も、シェアで0.09pt、社数で363社減少した。この結果、メガバンク(都市銀行)上位3行のメイン社数は2024年比で1193社・シェアにして計0.35ptの低下となった。一方、同じメガバンク(大手5行、都市銀行)の「りそな銀行」(3万1146社、シェア2.07%)、「埼玉りそな銀行」(1万8026社、同1.20%)は、ともに社数で増加した。なお、2025年内に合併した地銀・第二地銀では、「青森みちのく銀行(旧青森銀行+旧みちのく銀行)」(1万3400社、同0.89%)が全国22位に、「あいち銀行(旧愛知銀行+旧中京銀行)」(1万344社、同0.69%)が全国30位の規模となった。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-05807c8241b2598a7638e36db48d37bd-685x442.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
地方・第二地方銀行では、「北洋銀行」(2万3910社、全国:5位)が最多だった。次いで「福岡銀行」(2万2831社、同6位)、「千葉銀行」(2万1727社、同7位)、「西日本シティ銀行」(2万1168社、同8位)と続いた。信用金庫では、「京都中央信金」(8407社、全国:44位)が最多だった。次いで「多摩信金」(7712社、同49位)、「大阪シティ信金」(7425社、同52位)と続いた。信用組合では「茨城県信組」(3096社、同100位)が最多だった。
2024年時点でメイン社数1千社以上を有する金融機関のうち、前年からの増加社数(純増)をみると、最多は「GMOあおぞらネット銀行」(メイン社数:1283社、前年比597社増)だった。ネット銀行が純増数で首位となるのは、調査を開始した2009年以降で初めて。ネット銀行に分類される金融機関では他にも、「住信SBIネット銀行」(1268社、316社増)が上位を占めた。全国に拠点を有する「ゆうちょ銀行」(3752社・354社増)も大幅に増加した。地銀・信金信組では「宮崎銀行」(1万178社、399社増)が最も増加した。
「地方銀行」のシェア、7年ぶり3割台に低下
業態別にみると、シェアが最も高かったのは「地方銀行」で39.76%となり、前年から0.52pt低下した。地方銀行のシェアが3割台となるのは、2018年調査(39.65%)以来、7年ぶり。2016〜2022年各調査年にかけて続いたシェア拡大の動きは2023年にストップし、11年ぶりにシェアが低下した2024年に続き、2025年はさらにシェアが低下した。2024-2025年調査にかけてメインバンクを「地方銀行から変更した」企業約4千社の動向をみると、変更先として最も多いのが「信用金庫」の1728社(構成比44.55%)だった。ゼロゼロ融資などの貸し出しを背景に、中小零細企業を中心に、より地域や経営に密着した信用金庫に代わる動きが進んだ。次いで「第二地方銀行」(886社、構成比22.84%)、「メガバンク」(702社、同18.10%)、「信用組合」(266社、同6.86%)が続いた。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-614799ed3e51b091e38392c9ea1df522-565x469.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
シェアが低下した業態では他にも、「信用金庫」(シェア:23.38%)が0.22pt、「メガバンク」(18.47%)が0.39pt、「第二地方銀行」(9.39%)が0.15pt、「信用組合」(2.39%)が0.04pt、それぞれシェアが低下した。「メガバンク」「第二地銀」のシェアは調査開始の2009年以降で最低となったほか、「信用組合」は3年連続でシェアが低下した。信用金庫のシェアが低下したのは、2018年調査(シェア:23.19%)以来7年ぶり。信用金庫では「ゼロゼロ融資」への対応で存在感を増した一方、同融資の返済が進んだ企業が離脱した可能性がある。また、通販事業者など明確な主力取引行を必要としない中小零細業者が増加したことも、既存金融インフラの業態でシェア低下が続く遠因となった。
一方で、シェアが拡大した業態では「ネット銀行」(0.36%、+0.08pt)、ゆうちょ銀行など「その他金融機関」(0.35%、+0.03pt)の2業態だった。
企業を取り込む「ネット銀行」経済圏 取引社数は10年で6倍
実店舗を持たず、インターネットバンキングなど個人向け金融事業を主力とする「ネット銀行(新形態の銀行)」経済圏が、中小企業を取り込む動きが加速している。他業態に比べ大幅なシェア拡大が続くネット銀行のメインバンクシェアは、2025年で0.36%(前年比+0.08pt)、社数で5429社を数えた。調査を開始した2009年からは社数で約42倍、10年前(2015年)からは同6.5倍に増加した。ネット銀行では楽天グループの「楽天銀行」が1521社・シェア0.10%でトップとなり、ソフトバンクグループの「PayPay銀行」(1299社)、「GMOあおぞらネット銀行」(1283社)、「住信SBIネット銀行」(1268社)の上位4行でネット銀全体の約99%を占めた。特にGMOあおぞらネット銀行は、前年調査(686社)からほぼ倍増し、住信ネット銀行とともにネット銀行としてメイン社数1千社を突破した。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-973ba09efa8bd365084226e7c9158a8a-646x542.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
前年(2024年調査)からメインバンクを「ネット銀行」へ変更した170社の動向をみると、「メガバンク」(55社)からの流入が最も多く、「地方銀行」(35社)、「信用金庫」(29社)と続いた。規模は小さいものの、メガバンクや地銀から流入する社数が増加しており、既存の金融機関が牙城としてきた法人分野に「ネット銀行」が攻勢をかける構図が鮮明となった。他方で、「ネット銀行」全体の増加数に比べると流入は少なく、新たに創業した企業などがメインバンクとしてネット銀行を選択する動きが多くみられた。
サブバンクとして法人口座を開設するなど、ネット銀行を取引行とする中小企業も増えている。主要なネット銀行10行を、メイン・サブバンクの立ち位置を問わずいずれかの取引金融機関として利用する企業は、2025年調査時点で計1万6037社判明し、10年前の2015年からは4.6倍に増加した。「イオン銀行」など流通・通信系のネット銀行を含め、決済手数料や基本利用料の低さ、決算書不要の新たな少額融資サービスなどを背景に、決済手段として法人口座が必要な企業や、多くの資金を必要としない企業、融資を受けづらいスタートアップ・新興企業を中心に、ネット銀行の口座開設を進める動きが加速した。
足元では、ネット銀行事業をグループ内で展開するポイント連動や各種特典の付与など他のサービスと連携し、インセンティブとして法人取引の裾野を広げる「ネット銀行経済圏」の拡大が続いている。2025年10月1日付で住信SBIネット銀行を連結子会社化した通信大手のNTTドコモは、新しいサービスブランド「d NEOBANK」を導入するなど、「dポイント経済圏」の構築を加速化させる。自社の証券業務や振込手数料の無料・格安化、デジタル給与サービスの提供など多様な金融サービスで顧客の囲い込みを図っており、水面下で中小企業や新興企業におけるネット銀行の存在感は今後より高まるとみられる。
「JAバンク」 農業分野で高まる存在感 2025年はシェア最高
日本の一次産業を支える「農業協同組合」(農協、JA)の存在感が増している。農協をメインバンクとする企業は1万8532社に上り、前年から1.8%増加、全体のシェアでは1.2%を占めた。前年からのシェア伸び率は過去10年で2番目に多く、社数としては調査開始以降で最多だった。
近時は、農業を営む事業者が農協をメインバンクとする割合が再び高まっている。全国の農業事業者1.7万社のうち、「農協」をメインバンクとする事業者は40.39%だった。2021年まで40%を下回る水準で推移するなど、金融機能を農協に求める動きが長く停滞傾向にあったなか、2022年は初の40%台に到達、2025年は前年に続き2年連続で農業全体でのシェアを拡大させ、最高を更新するなど、農業分野で金融仲介機能としての存在感を高めている。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-bc8f3e89b31154e45c6f13cf1074a644-636x521.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
農業事業者の売上高規模別にメインバンクが「農協」の割合をみると、売上高「5000万円未満」では農協をメインバンクとする割合が45.15%と最も高かった。「5000万円〜1億円未満」(42.55%)など小規模な事業者では農協をメインバンクとする割合が高い傾向がみられる半面、「10億円以上」では14.92%にとどまるなど、規模によって農協をメインバンクとする割合には大きな差異もみられた。
近年、農協では農産物のブランド化や農地集約による大規模化、機械化といった、担い手農家が抱える課題や成長ステージに応じた資金供給など、伴走型支援を行うことで「農業メインバンク」としての機能強化を目指す動きが進んできた。こうしたなか、預金や融資などJAグループの信用事業を束ねる農林中央金庫は、大規模農業法人への融資拡大などをはじめとする農業向け投融資を拡充する方針が判明するなど、農業向けリスクマネーが2026年以降に増える可能性がある。農業事業者のニーズに沿った資金供給が進むことで、今後は農業分野における金融仲介事業者として、農協の存在感が一層高まるとみられる。
1行単独「シェア過半」は21県 長崎県:十八親和銀行は8割超
企業がメインバンクとして認識している金融機関を各都道府県別にみると、「埼玉県」(埼玉りそな銀行)のほか、「東京都」「愛知県」(三菱UFJ銀行)、「大阪府」「兵庫県」(三井住友銀行)の5都府県で、メガバンクがトップシェアとなった。
1行単独で都道府県内のシェアが最も高いのは「長崎県:十八親和銀行」で、県内シェア83.27%を占めた。2番手の「たちばな信金」(503社、県内シェア:3.20%)、「長崎銀行」(432社、同2.75%)を大きく上回った。1行単独シェアとしては全国で唯一となる80%超えの水準が続くものの、前年からのシェア推移では0.79pt低下した。青森県は2025年に合併した「青森みちのく銀行」が70.76%を占め、長崎県に次いで1行単独シェアが全国で2番目に高いエリアだった。このほか、「和歌山県」(紀陽銀行:県内シェア62.72%)、「島根県」(山陰合同銀行:同61.80%)、「宮崎県」(宮崎銀行:同61.26%)の3県は、1行単独シェアとして60%を超えた。
1行で県内シェア50%超を占める「単独過半数」の都道府県は合計21に上り、2024年調査から1県増加した。ただ、21県のトップシェア・過半行のうち、約8割を占める17行が前年よりシェアが低下した。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1218/43465-1218-5a76c942f1bf50daae417193a549f3e9-1173x752.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
メインバンクの選考条件は「低金利」以外に拡大 地域金融機関で問われる「顧客理解力」
日本銀行が2024年3月に政策金利の引き上げを表明して以降、金融機関では企業の借り換え局面などで利上げの交渉を進める動きが活発化しており、地域金融機関は「金利のある世界」に適応しつつある。実際に、帝国データバンクが全国の企業約103万社・850万期分の決算書データを対象に分析した結果、2024年度決算における平均借入金利は1.20%となり、前年を0.16p上回る大幅な上昇を記録した。「ナゴヤ金利」をはじめとする、コロナ禍前まで続いた超低金利での貸出によるシェア拡大競争からの決別が進んでいる。
企業の資金調達に関して金融機関の位置づけに変化がみられ、口座維持コストの安さや、迅速な融資決定力を武器にシェア拡大を続けているネット銀行など新興勢力のシェアが近年急拡大している。特に創業直後のスタートアップ、事業を承継した若手代表者が経営する企業などでは、取引銀行の選考条件として金利条件よりも対応の質やスピードを重視する傾向が強まっているほか、借入金を必要としない小規模企業を中心に、確たるメインバンクを必要としないケースも増えている。こうした企業と金融機関の関係変化は、現状では企業が集積する都市部に限定されてはいるものの、今後は地方でも広がる可能性がある。低コストで安定した資金を確保し、企業への融資などで利ザヤを稼ぐ預金貸出ビジネスを維持してきた地域金融機関にとっては、スピード面や利便性で優位に立つネット銀行など新興勢力が徐々に脅威へと変化することも想定されよう。
足元では、再生支援を担う部署や新会社の設立などで事業再生ビジネスに本格的に参入する金融機関も相次ぐ。また、2026年には「企業価値担保権」を設定した融資もスタートし、地域金融機関が長年取り組んできた、知的資産や技術力などを測る事業性評価の総合力が試される局面に突入する。また、店舗の統廃合による経営コストの削減から、コンサルティングなど特定の機能に特化した店舗開設などを進めるなど、縮小一辺倒だった営業拠点を再度復活させる動きが目立つようになってきた。メインバンクとして支援する店舗型金融機関は、技術やビジネスモデルに対する目利き力、販路拡大、人材育成など、地域の中小企業が抱える課題にきめ細かく対応できる「良きパートナー」としての存在感をどう誇示できるかが注目される。










SEO関連




