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ガザの仮設テントで暮らす子ども。豪雨や寒さを防ぐことができない過酷な環境下で、子どもたちは栄養不良や感染症のリスクにさらされている（パレスチナ、2025年11月14日撮影） (C) UNICEF/UNI901395/Nateel

【2025年12月19日　ローマ／ジュネーブ／ニューヨーク発】
新たに発表された総合的食料安全保障レベル分類（IPC）の分析によると、パレスチナ・ガザ地区内では、10月の停戦および人道支援と商業双方の物資流入の改善により、「飢きん」状態の地域がなくなったことが確認されました。ユニセフ（国連児童基金）などは、飢きん状態の解消を歓迎しつつも、人道支援活動への制限が続く中、大規模なインフラ破壊、生計手段の崩壊、地域食料生産の停滞にガザの人々が直面していることから、状況は依然として極めて脆弱である、と懸念を示しています。

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ユニセフ、国連食糧農業機関（FAO）、世界食糧計画（WFP）、世界保健機関（WHO）は本日、食料、生計手段、農業、保健分野の支援を持続的かつ大規模に拡大し、同時に商用物資の流入を増やさなければ、数十万人が急速に飢きん状態に逆戻りする恐れがあると警鐘を鳴らしました。


新たなIPC報告書によれば、ガザ地区では少なくとも160万人、すなわち人口の77％が依然として極めて高い水準の深刻な急性食料不安に直面しており、来年4月までにそのうち10万人以上の子どもと3万7,000人の妊娠中・授乳中の女性が急性栄養不良に陥ると予測されています。現在、北ガザ、ガザ、デルバラハ、ハンユニスの4県は、2026年4月までの間、IPCフェーズ４の「人道的危機」（緊急事態）に分類されており、ガザ県は前回の報告書の「飢きん」（IPCフェーズ5）から分類が引き下げられました。このフェーズは依然として深刻な食料不安を示しており、極端な食料不足、急性栄養不良の広がり、死亡リスクの上昇を伴っています。


[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2630/5176-2630-a6db96888dede64364f28ad946d18dde-1536x1152.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ガザ市にあるユニセフ支援の栄養治療拠点で、栄養状態の経過観察を受ける1歳のアリちゃん。栄養不良と診断されていたが、2カ月間の治療を経て回復しつつある（パレスチナ、2025年12月8日撮影） (C) UNICEF/UNI913152/Eleyan

停戦によりガザ地区への食料や飼料、生活必需品、重要な商用物資の搬入状況がある程度改善され、一部の世帯では食料を手に入れやすくなったものの、大部分の家族は依然として深刻な物資不足に直面しています。停戦後、73万人以上が避難を余儀なくされ、その多くが仮設の避難所に身を寄せ、人道支援に大きく依存しています。さらに、基本的な水と衛生（WASH）サービスや保健医療へのアクセスが制限され、農地や家畜、漁業、道路などの生活・生産基盤をはじめ重要なインフラが広範囲に破壊されていることが、住民および継続的な支援活動にとって非常に大きな課題となっています。


人道的ニーズは依然として膨大であり、現状の支援では人々の基本的な生存に必要な最低限の要件しか満たせていません。5歳未満の子ども、妊娠中および授乳中の女性たちは最も脆弱な立場にあり、状況が良くなりつつある中でも、栄養不良の水準は依然として憂慮すべき高さにあります。


人道支援および商業物資輸送の改善に伴い、市場には栄養価の高い食べ物が以前よりも多く供給されるようになったものの、脆弱な家庭、特に子どものいる家庭はそれらを購入する余裕がありません。栄養価の高い食品、特にタンパク質源は依然として不足しており、値段が高すぎて手が出ない状況です。その結果79％の世帯が食料を購入できず、安全な水も得られていません。最低限の食事多様性を満たしている子どもは誰一人おらず、子どもの3分の2は、1〜2種類の食品群しか摂取できない、重度の食の貧困状態にあります。


過密な仮設避難所、損傷した下水設備、不安定な水の供給、さらに暖を取るために木材やごみを燃やさざるを得ない暮らしが、状況を一層悪化させています。これらの条件が相まって集団感染が引き起こされ、特に子どもたちの間で、呼吸器感染症、下痢、皮膚疾患が急速に広がっています。


ユニセフら国連の人道支援機関は、対応をさらに拡大する準備を整えています。しかしながら、搬入制限や供給制約および大幅な資金不足の重なりが、特に食料安全保障、栄養、保健、水と衛生、農業、生活再建の支援において、必要な規模での活動を著しく阻んでいます。



[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2630/5176-2630-ca236ad0c8a406754a95a057443ce0de-1536x1112.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
気温が下がり始めたデルバラハで、温かい上着を着せてもらう子ども。ユニセフは、ガザ地区全域で、子どもたちに防寒着を配布している（パレスチナ、2025年11月18日撮影） (C) UNICEF/UNI908997/El Baba
ユニセフ緊急支援局局長 のルシア・エルミは次のように述べています。「ガザの子どもたちは、もはや致命的な飢きんには直面していませんが、依然として深刻な危険にさらされています。2年以上にわたる長引く紛争の後、子どもたちの身体と発達途上の脳には深く長く残る傷が刻まれています。市場には食料が並んでいますが、多くの家庭にはそれを買う余裕がありません。保健施設はほとんど機能しておらず、安全な水と衛生サービスは乏しく、冬の到来で、仮設の避難所に身を寄せる人々の苦しみは増すばかりです。戦闘が再開されれば、かろうじて得た成果は一夜にして消え去る可能性があります。持続的な人道アクセス、基本サービスの回復、そして何よりも恒久的な平和が必要です。ガザの子どもたちは十分に苦しみました。世界は今、目を背けてはなりません」





「今こそ行動を」-ユニセフ、FAO、WFP、WHOは全ての関係者に以下のことを強く要請します。
- ガザ全域で、人道支援および商用物資の安全で妨げのない、継続的かつ迅速なアクセスを確保すること
- 農業資材、食料関連商品、栄養・保健医療用品などの必需品に対する制限を解除すること
- 食料、栄養、保健、水と衛生、農業・生計支援などの基本サービスに対する資金拠出を迅速に拡大し、状況のさらなる悪化を防ぎ、復旧・復興を可能にすること
- 現地の食料生産とバリューチェーンを再活性化すること



各機関は、今すぐ断固たる行動が取られなければ、停戦後に得られた成果が急速に失われる恐れがあると警鐘を鳴らしています。ガザ地区において飢きんの再発を防ぎ、命をつなぐ「生存」の段階から、生活再建である「復興」の段階へと進めるためには、大規模なアクセス改善、物資供給、資金支援が不可欠です。

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■　ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」ご協力のお願い
(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受付しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/

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■ ユニセフについて
ユニセフ（UNICEF：国際連合児童基金）は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。（https://www.unicef.org ）
※ユニセフ国内委員会（ユニセフ協会）が活動する32の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。（https://www.unicef.or.jp ）