今さら人に聞けない、労働組合のメンタルヘルス対策
メンタルヘルス対策と、それを労働組合が担う意義
編集・発行【 j.union研究所 】株式会社 P&Sコミュニケーションズ内
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-22-45 KDX西新宿ビル 2F
TEL: 03-5331-7851 FAX: 03-5331-7852
e-mail:ps@p-and-s.co.jp URL:http://www.p-and-s.co.jp/
このほど、財団法人 社会経済生産性本部のメンタルヘルス研究所が、メン
タルヘルスの取り組みに関する企業アンケートの調査結果を発表した。この
調査は、02年、04年、06年に続いて4回目のものであるが、依然半数以上の
企業で、最近3年間「心の病」を訴える人が増加傾向にあることがわかった。
そして、その先を読んでいて違和感を覚えた。
メンタルヘルスの対策を通じて、組織全体がどのような状態になることを
期待しているかについて尋ねたところ、「不調者が早期に発見できる」
(78.4%)「不調者に適切な対応ができる」(71.0%)の回答率が高く、組
織全体として、不調者の存在を見過ごすことなく、適切な対応ができるよう
な体制構築していくことが、メンタルヘルス施策の主要な目的になっている
というのだ。
どうりで「心の病」で悩む組合員の数が減らないはずだと、心底落胆した。
本稿では、メンタルヘルス対策と、それを労働組合が担う意義について考
えてみたい。
●後手にまわるメンタルヘルス対策
先のメンタルヘルス施策の目的で、一番指摘したい点は、不調者が出るこ
とを前提とした対策であることである。もちろん、そういった取組みは必要
なのであるが、そこを一番の目的にするのは、あまりにも後手になりすぎて
いる。不調者を早期に発見できても、それでは対応としては遅いのである。
企業としてのリスク管理能力の低さに疑問を持つ。
心の病で代表的なものは、うつ病であり、ときに「心の風邪」と表現され
ることがある。それほど“一般的な病気だ”ということを言いたいのだと思
うが、同時に誤解を招く表現でもある。
確かに風邪と同じように、誰もがなりうる可能性があり、なおかつ予防が
可能である。風邪であれば、手洗いやうがい、栄養管理や睡眠などで予防で
きる。うつ病も、良質なコミュニケーションや自己理解、環境調整等で予防
できる。
しかし、決定的に違うところがある。それは「風邪ほど簡単には治らない」
ということだ。風邪であれば、せいぜい2週間も安静にして薬を飲んで栄養
のあるものを食べておけば治るだろう。しかし、うつ病の治療には、早くて
も3ヶ月〜6ヶ月で、中には年単位で患っている人も決して珍しくない。そ
れは、うつ病は再発率が高いためである。再発率の値については諸説あるの
でここでは感覚的に捉えてもらいたいが、だいたい50〜60%の人が再発する。
さらに2回目の再発となると、その75%前後。3回目となると、さらにその
90%といわれている。仮に薬だけで治した場合の再発率は90%という。いか
に治療が難しい病気かということがわかる。
仮にうつ病になれば、本人はもちろん、家族や同僚など周囲の人間にも負
担がかかる。そしてその様子をみて、ますますうつ病患者は焦り、自分を責
め、自分に落ち込み、自分の存在意義に絶望し、症状を悪化させる。最悪な
場合、将来を悲観し自殺というケースもある。うつ病自体の原因も諸説あり、
回復が保証できる治療法が確立されてないのである。
従って、うつ病になってからあれこれ不安になりながら対策をとるより、
事前に予防をしておくことが何よりも重要なのである。
●心の健康診断とソーシャルスキル
労働組合の役員と話をしていると、「メンタルダウンをする人たちは〜」
という言い回しに出あうことがある。メンタルダウンする人間は特別、とで
も言いたげな表現で、完全に対岸の火事の話なのである。しかし、そう言っ
ている役員自身も、かなりの確率でメンタルダウンしても不思議ではないパ
ーソナリティだったりする。
筑波大学大学院の宗像恒次教授によると、うつ病の人に共通するパーソナ
リティがあるという。自分の本音を抑えてでも、他人からよく思われたい、
認められたいと思うパーソナリティを「イイコ」と呼ぶが、うつ病にかかる
人は、まず例外なくこのタイプで、宗像教授の調査によると、日本人の8割
をしめていると言われている。
ストレス源は同じでも、人によって受け取り方は異なる。おしゃべりが大
好きな人と、人前で話をするのが苦手な人がいるとする。2人に結婚式のス
ピーチを頼んだところ、よりストレスを感じるのは後者のタイプであろう。
このように、ストレスの感じ方は人によって違うのである。まずは、ここを
認識し、「イイコ」かそうでないか(本音を抑えるか抑えないか)、周りに
依存するかしないか、自己肯定感が高いか低いか、積極的か消極的かなど、
自分の行動特性を知ることが、ストレスマネジメントの出発点となる。年に
1回、身体の健康診断をやるのと同じように、心の健康診断が必要になって
くる。自分のストレス耐性やメンタルヘルスの状況を把握し、それにあった
セルフケア行動ができればかなりの予防になる。
そして、そのうえで、自分のタイプにあったソーシャルスキルを身につけ
るのである。ソーシャルスキルとは、「自分と周りの人々が心身の健康を保
つために、自分を愛し、人から愛され、人を愛する欲求をバランスよく充足
できるための技能(橋本、樋口:2006)」と定義され、具体的にいうと様々
なストレスマネジメントやコミュニケーションスキルの総称である。ソーシ
ャルスキルが身についていると、自分や他者へのイメージが良好になり、そ
れがストレス源の抱えやすさを軽減し、抑うつ気分や不安の感じやすさを防
ぎ、組織においては働き甲斐を創造する。
●情緒的支援ネットワークの構築
メンタルヘルス対策に関心がある役員なら、コミュニケーションがメンタ
ルヘルスに効果があることはご存知だと思う。ただ、コミュニケーションで
あれば、なんでもいいというわけではない。そこには質が問われる。
普段、私達がビジネスの現場で使っているのは「事柄的なコミュニケーシ
ョン」である。5W2Hで表されるようなもので会議や社内文書、報告書に
使われるコミュニケーションである。例えば、営業職で「一生懸命頑張った
けれど、ノルマは30%しか達成できなかった」という状況があるとしよう。
この場合、日報などに記されるのは「30%達成」という客観的事実であり、
個人が頑張ったことは記されない。個人の頑張り(気持ち)をいちいち評価
対象にしていると成果主義が成り立たない。ビジネスの現場では、個人の主
観(気持ち)は極力排除され、客観的事実を伝え合う。これがビジネスをす
すめるうえで効率が良いとされ、サラリーマンは日々の業務を通じてこうい
ったコミュニケーションの訓練をする。
しかし、職場で起こった問題をすべてこの「事柄的コミュニケーション」
で解決しようとすると限界がある。メンタルヘルス対策に必要なのは、その
対極にある「情緒的コミュニケーション」である。「情緒的コミュニケーシ
ョン」とは、気持ちを伝え、気持ちを聴くコミュニケーションである。伝え
合うのは事柄ではなく気持ち(主観)である。お互いがリスナーになり、気
持ちや感情を共有しあい、ストレスをひとりで抱え込まない。こういったこ
とを通じて情緒的支援ネットワークが構築されるのである。
メンタルヘルス対策で、外部のカウンセラーと提携している組織もあると
思うが、その前に組織の中にリスナーを増やすことが先決である。なぜなら、
まだ日本ではカウンセリングを受けることに対してネガティブなイメージを
持つ人が多く、会社(評価側)が用意したカウンセラーなら、なおさら受け
ることに対するハードルが高くなる。カウンセリングに対する正しい認識も
必要であるが、それよりも、日常業務に生じる些細な悩みや問題は、タイミ
ングよく身近な人が聴いてあげるほうが、大きな問題に発展しないし、組織
のストレス耐性も強くなる。
(続きはPDFをご覧下さい。)
●上記組合でも実施している「心の健康心談」を体験できます。(無料)
⇒http://www.step.tv/ss/auto
組織キーワードは【j-trial】【PWは不要】です。
画面の指示に従って各設問に答えるだけで自分の心の状態を知ることが
できます。(期間限定:12月1日〜12月12日)
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e-mail:ps@p-and-s.co.jp URL:http://www.p-and-s.co.jp/
このほど、財団法人 社会経済生産性本部のメンタルヘルス研究所が、メン
タルヘルスの取り組みに関する企業アンケートの調査結果を発表した。この
調査は、02年、04年、06年に続いて4回目のものであるが、依然半数以上の
企業で、最近3年間「心の病」を訴える人が増加傾向にあることがわかった。
そして、その先を読んでいて違和感を覚えた。
メンタルヘルスの対策を通じて、組織全体がどのような状態になることを
期待しているかについて尋ねたところ、「不調者が早期に発見できる」
(78.4%)「不調者に適切な対応ができる」(71.0%)の回答率が高く、組
織全体として、不調者の存在を見過ごすことなく、適切な対応ができるよう
な体制構築していくことが、メンタルヘルス施策の主要な目的になっている
というのだ。
どうりで「心の病」で悩む組合員の数が減らないはずだと、心底落胆した。
本稿では、メンタルヘルス対策と、それを労働組合が担う意義について考
えてみたい。
●後手にまわるメンタルヘルス対策
先のメンタルヘルス施策の目的で、一番指摘したい点は、不調者が出るこ
とを前提とした対策であることである。もちろん、そういった取組みは必要
なのであるが、そこを一番の目的にするのは、あまりにも後手になりすぎて
いる。不調者を早期に発見できても、それでは対応としては遅いのである。
企業としてのリスク管理能力の低さに疑問を持つ。
心の病で代表的なものは、うつ病であり、ときに「心の風邪」と表現され
ることがある。それほど“一般的な病気だ”ということを言いたいのだと思
うが、同時に誤解を招く表現でもある。
確かに風邪と同じように、誰もがなりうる可能性があり、なおかつ予防が
可能である。風邪であれば、手洗いやうがい、栄養管理や睡眠などで予防で
きる。うつ病も、良質なコミュニケーションや自己理解、環境調整等で予防
できる。
しかし、決定的に違うところがある。それは「風邪ほど簡単には治らない」
ということだ。風邪であれば、せいぜい2週間も安静にして薬を飲んで栄養
のあるものを食べておけば治るだろう。しかし、うつ病の治療には、早くて
も3ヶ月〜6ヶ月で、中には年単位で患っている人も決して珍しくない。そ
れは、うつ病は再発率が高いためである。再発率の値については諸説あるの
でここでは感覚的に捉えてもらいたいが、だいたい50〜60%の人が再発する。
さらに2回目の再発となると、その75%前後。3回目となると、さらにその
90%といわれている。仮に薬だけで治した場合の再発率は90%という。いか
に治療が難しい病気かということがわかる。
仮にうつ病になれば、本人はもちろん、家族や同僚など周囲の人間にも負
担がかかる。そしてその様子をみて、ますますうつ病患者は焦り、自分を責
め、自分に落ち込み、自分の存在意義に絶望し、症状を悪化させる。最悪な
場合、将来を悲観し自殺というケースもある。うつ病自体の原因も諸説あり、
回復が保証できる治療法が確立されてないのである。
従って、うつ病になってからあれこれ不安になりながら対策をとるより、
事前に予防をしておくことが何よりも重要なのである。
●心の健康診断とソーシャルスキル
労働組合の役員と話をしていると、「メンタルダウンをする人たちは〜」
という言い回しに出あうことがある。メンタルダウンする人間は特別、とで
も言いたげな表現で、完全に対岸の火事の話なのである。しかし、そう言っ
ている役員自身も、かなりの確率でメンタルダウンしても不思議ではないパ
ーソナリティだったりする。
筑波大学大学院の宗像恒次教授によると、うつ病の人に共通するパーソナ
リティがあるという。自分の本音を抑えてでも、他人からよく思われたい、
認められたいと思うパーソナリティを「イイコ」と呼ぶが、うつ病にかかる
人は、まず例外なくこのタイプで、宗像教授の調査によると、日本人の8割
をしめていると言われている。
ストレス源は同じでも、人によって受け取り方は異なる。おしゃべりが大
好きな人と、人前で話をするのが苦手な人がいるとする。2人に結婚式のス
ピーチを頼んだところ、よりストレスを感じるのは後者のタイプであろう。
このように、ストレスの感じ方は人によって違うのである。まずは、ここを
認識し、「イイコ」かそうでないか(本音を抑えるか抑えないか)、周りに
依存するかしないか、自己肯定感が高いか低いか、積極的か消極的かなど、
自分の行動特性を知ることが、ストレスマネジメントの出発点となる。年に
1回、身体の健康診断をやるのと同じように、心の健康診断が必要になって
くる。自分のストレス耐性やメンタルヘルスの状況を把握し、それにあった
セルフケア行動ができればかなりの予防になる。
そして、そのうえで、自分のタイプにあったソーシャルスキルを身につけ
るのである。ソーシャルスキルとは、「自分と周りの人々が心身の健康を保
つために、自分を愛し、人から愛され、人を愛する欲求をバランスよく充足
できるための技能(橋本、樋口:2006)」と定義され、具体的にいうと様々
なストレスマネジメントやコミュニケーションスキルの総称である。ソーシ
ャルスキルが身についていると、自分や他者へのイメージが良好になり、そ
れがストレス源の抱えやすさを軽減し、抑うつ気分や不安の感じやすさを防
ぎ、組織においては働き甲斐を創造する。
●情緒的支援ネットワークの構築
メンタルヘルス対策に関心がある役員なら、コミュニケーションがメンタ
ルヘルスに効果があることはご存知だと思う。ただ、コミュニケーションで
あれば、なんでもいいというわけではない。そこには質が問われる。
普段、私達がビジネスの現場で使っているのは「事柄的なコミュニケーシ
ョン」である。5W2Hで表されるようなもので会議や社内文書、報告書に
使われるコミュニケーションである。例えば、営業職で「一生懸命頑張った
けれど、ノルマは30%しか達成できなかった」という状況があるとしよう。
この場合、日報などに記されるのは「30%達成」という客観的事実であり、
個人が頑張ったことは記されない。個人の頑張り(気持ち)をいちいち評価
対象にしていると成果主義が成り立たない。ビジネスの現場では、個人の主
観(気持ち)は極力排除され、客観的事実を伝え合う。これがビジネスをす
すめるうえで効率が良いとされ、サラリーマンは日々の業務を通じてこうい
ったコミュニケーションの訓練をする。
しかし、職場で起こった問題をすべてこの「事柄的コミュニケーション」
で解決しようとすると限界がある。メンタルヘルス対策に必要なのは、その
対極にある「情緒的コミュニケーション」である。「情緒的コミュニケーシ
ョン」とは、気持ちを伝え、気持ちを聴くコミュニケーションである。伝え
合うのは事柄ではなく気持ち(主観)である。お互いがリスナーになり、気
持ちや感情を共有しあい、ストレスをひとりで抱え込まない。こういったこ
とを通じて情緒的支援ネットワークが構築されるのである。
メンタルヘルス対策で、外部のカウンセラーと提携している組織もあると
思うが、その前に組織の中にリスナーを増やすことが先決である。なぜなら、
まだ日本ではカウンセリングを受けることに対してネガティブなイメージを
持つ人が多く、会社(評価側)が用意したカウンセラーなら、なおさら受け
ることに対するハードルが高くなる。カウンセリングに対する正しい認識も
必要であるが、それよりも、日常業務に生じる些細な悩みや問題は、タイミ
ングよく身近な人が聴いてあげるほうが、大きな問題に発展しないし、組織
のストレス耐性も強くなる。
(続きはPDFをご覧下さい。)
●上記組合でも実施している「心の健康心談」を体験できます。(無料)
⇒http://www.step.tv/ss/auto
組織キーワードは【j-trial】【PWは不要】です。
画面の指示に従って各設問に答えるだけで自分の心の状態を知ることが
できます。(期間限定:12月1日〜12月12日)










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