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需給面での追い風は止みつつある

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28471.61;+158.14TOPIX;1974.65;+7.47


[後場の投資戦略]

 日経平均は6日ぶりに反発。25日移動平均線が綺麗にサポートしており、テクニカル的には先行き強気派を勢いづかせそうな形だ。米株式市場の引け後に発表されたエヌビディアとセールスフォースの決算では見通しが市場予想を下回り、両者ともに時間外取引で株価が下落していることを踏まえると、かなり底堅い動きと評価できる。経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」に対する事前の警戒感が高いだけに、イベント通過後にはあく抜け感から一旦は上方向とみている向きも多いようで、そうした思惑が下値を支えているとも推察される。

 一方、今後の上値余地は乏しいとも考えられる。前日、東京証券取引所が公表した裁定取引に係わる現物ポジションでは、8月19日時点での買い残から売り残を差し引いたネットの裁定買い残は1兆1895億円と、前週から1338億円増加、2021年9月27日以来の高水準を記録した。買い残のみでは1兆4617億円で、2021年3月22日及び9月20日の水準を上回り、2019年以降では最高水準となる。日経平均は、買い残がピークを付けた上述の昨年3月と9月以降、下落傾向となっており、経験則からすると、これまでのような需給面での押し上げ効果を今後期待することは難しいだろう。日経ダブルイン<1357>の買い残が高水準にあるほか、日経レバETF<1570>の売り長が続いており、下値では個人投資家による買い戻しが支えそうだが、全体的には目線は下方向に傾きつつあると言える。

 日経平均は、目先は28500円に上値を抑えられた状況が続きそうだ。現在、時間外取引でナスダック100先物が堅調に推移していることもあり、東京時間では株価が下支えられているが、エヌビディアとセールスフォースの冴えない決算を受けて、今晩の米株式市場がどのような動きになるかは不透明。明日の夜には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がジャクソンホール会議で講演する予定で、模様眺めムードも一段と強まりやすい。あく抜け期待も高いが、翌週末の9月2日には米8月雇用統計の発表も控えており、持続性は疑わしい。いまは静観に徹する場面だろう。
(仲村幸浩)


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