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複雑な国際政治に身構える金融市場、米ロ対立の中東波及リスク高まる

注目トピックス 経済総合
ウクライナを巡るロシアと米欧とのにらみ合いが続く中、ロシアから大量の投資資金が逃げ出しています。

経済発展省のクレパチ次官は24日、今年1-3月期の外貨流出額が650億-700億米ドルに達するとの政府推計を発表。これは2013年通年の流出額630億米ドルを上回る水準となります。

主要7カ国(G7)首脳は24日、オランダ・ハーグで開いた緊急会議で、「ロシアが方針転換するまで主要8カ国(G8)への参加を停止する」方針を確認。また、ロシアのソチで開くG8会議に代わり、6月にブリュッセルでG7サミットを開くことを決めました。

ここではロシアを孤立化させることでG7が一致したように見えますが、単なる“仲間はずし”だけで具体的にロシア経済にダメージを与える制裁にはまだ踏み込めていません。特にロシア産業の根幹を成すエネルギー分野での制裁にはドイツなどユーロ圏諸国が及び腰と伝わっています。

こうした中、G7はロシアに対するエネルギー分野での制裁の可能性を検討しており、エネルギー担当者会議を近く開いて、欧州へのエネルギー供給源を分散させる手段について協議する運び。米国もシェール革命を背景に欧州への燃料輸出を後押しする機運が高まっています。

一方、米ロ関係の悪化はイラン核開発問題やシリア和平協議など中東情勢に変化を引き起こす可能性が指摘されています。イランでは国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6カ国が核開発問題をめぐる協議を進めてきましたが、ロシアがイランと関係を深めて交渉の枠組み自体が崩れる可能性も否定できません。

また、内戦下にあるシリアの化学兵器処理問題について、ロシアはこれまで国外搬出用の車両を提供するなど協力姿勢を示していました。ただ、米ロ関係の悪化は内戦の政治解決を一段と難しくするかもしれません。

シリアについては、トルコが領空を侵犯した戦闘機を撃墜するなど、中東情勢がさらにきな臭くなることも考えられます。

複雑な国際政治に直面し、金融市場では投資家の警戒感がより強まる可能性があります。米欧の対ロ制裁に対する市場の評価は、これまで「効果が限定的」との見方が優勢でした。ただ、今後の情勢次第ではリスク回避姿勢がさらに強まり、世界的なリスク資産売りの流れが発生するリスクには身構えておくべきかもしれません。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)




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