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週刊ダイヤモンド今週号より〜Tモバイル買収が大詰めでもソフトバンクを待つ受難の道

注目トピックス 経済総合
ソフトバンク<9984>がロボット事業への参入を明らかにした6月5日、ソフトバンクの子会社で米携帯電話3位のスプリントが、4位のTモバイルを買収することでおおむね合意したと、複数のメディアが報道しました。孫社長は「ノーコメント」を貫いていましたが、その表情は余裕に満ちていました。

買収が結実すれば、それまで2強2弱の4社体制であった米携帯市場は、第3勢力が誕生する新たな局面を迎えることになり、伸び悩んでいたソフトバンクの米国事業も、一気に弾みがつくことになります。だが、市場は冷ややかで、Tモバイルの株価は報道直後に2%下落してしまいました。米当局が市場の寡占化を望んでおらず、経営統合の許可が下りない可能性があるからです。

また、仮に当局が認めたとしても、ソフトバンクにとっては険しい道のりが続きます。まずは事業の収益性であり、スプリントとTモバイルの契約者は、所得の低い顧客を中心としたプリペイド契約が多く、収益性の高い後払い契約が圧倒的に少ないのです。また、携帯事業の競争力の源泉はインフラ整備にありますが、両社が統合しても年間の設備投資を賄うだけの利益を出す企業になれるわけではないとの指摘もあります。

そもそもソフトバンクの格付けは、スプリントを買収した段階で、投機的水準に当たる「ジャンク債」扱いに引き下げられています。スプリントやTモバイルの収益性を高めなければ、さらなる格下げという憂き目に遭いかねません。つまり、買収に成功しても、その先に幾重にもハードルが待ち構えており、ソフトバンクが難しいかじ取りを迫られていることに変わりはないのです。



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