NYの視点:米利上げ軌道探る、来週の注目:イエレンFRB議長講演、3月雇用統計、ISM製造業受注指数
[16/03/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
来週初めにかけて欧州市場はイースターで休場となるため、市場参加者が限られる。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長や他の高官の講演での発言や3月の雇用統計、ISM製造業指数で利上げ軌道を探ることになろう。また、中国は来週後半に3月の製造業、非製造業PMIを発表予定。製造業PMIは8カ月連続で50を割り込み活動の縮小を示す見込み。2月分からは改善が予想されている。予想を下回ると、世界経済への警戒感が再燃しリスク回避の動きに拍車をかける可能性があるほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げの軌道にも影響を与える可能性がある。
米国の金利軌道がより不透明となる中、イエレンFRB議長の発言でハト派に転じた3月FOMCのフォワードガイダンスの意味を解明していくことになる。イエレン議長も他の高官のように4月の追加利上げの可能性を確認すると、ドル買いに拍車がかかる。思いがけずハト派的となった3月のFOMC後、17名のメンバーのうちすでに8名のメンバーが先週開催された3月のFOMCのハト派フォワードガイダンスに異議を唱えた。このため、米国の金利軌道に関する見通しで市場に混乱が生じた。
年初からの原油価格の下落、チャイナショックにもかかわらず米国の製造業、経済指標は改善を見せた。インフレも上昇。「6月利上げの基盤を築く」と見られていた3月のFOMCは予想外にハト派色を強めた。米国経済やインフレが順調に回復しているにもかかわらず、声明に「世界経済の展開は依然リスクとなる」との文言が加えられ、金利見通しは下方修正された。一方、会合後、FRBメンバーからはFOMCの利上げの軌道に変更はなく、4月、6月の追加利上げの可能性も除外しないとの意見が多く聞かれる。2016年の投票権を持ち、中立派として知られ、その見解にしばしば注目が集まる米セントルイス連銀のブラード総裁は「全ての会合で利上げの選択肢がある」としながらも「インフレや金融状況は12月FOMC時とほぼ変わらない」とし、4月の追加利上げの可能性にも言及した。
やはり中立派で知られる米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁や米アトランタ連銀のロックハート総裁に加えて、米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「FRBは利上げを進め、4月も追加利上げを検討すべきだ」との見解を示した。同氏は少なくとも年3回の利上げを予想。タカ派として知られる米カンサスシテイ連銀のエスタージョージ総裁や米リッチモンド連銀のラッカー総裁はさることながら、中立派のメンバーが4月の利上げの可能性に言及したため、年内の追加利上げ観測が再燃しドル買いにつながった。
2016年のFOMC投票権を有するクリーブランド連銀のメスター総裁もタカ派として知られ、講演では4月追加利上げの可能性に言及すると思われる。来週講演を予定している米ダラス連銀のカプラン総裁も米ウォ?ルストリートジャーナル紙とのインタビューで、「FRBは可能な限り速やかな金利正常化を望んでいる」と明らかにしている。
一方、米商務省が発表した2月耐久財受注は、第1四半期の企業投資がマイナスに落ち込む可能性を示唆したため国内総生産(GDP)見通しが引き下げられた。アトランタ連銀は1-3月期国内総生産(GDP)の見通しを16日時点の1.9%から1.4%成長へ引き下げた。ただ、米労働省が発表する3月雇用統計では失業率が8年ぶりの低水準、非農業部門雇用者数も20万人前後を維持する公算。平均時給も前月比で低下から上昇に好転し労働市場が引き続き改善している証拠を示すと期待されている。また、全米の製造業動向を示す米供給管理協会(ISM)製造業受注指数の3月分も活動の縮小から拡大に好転する見込み。年内の追加利上げを後押しする結果はドル買いを支援する。
●米国
3月
28日:2月PCEコア:予想前年比+1.8%(1月+1.7%)
29日:イエレンFRB議長がNYのエコノミッククラブで講演、ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、カプラン米ダラス連銀総裁
30日:エバンス・シカゴ連銀総裁が経済、金融政策に関して講演
31日:ダドリーNY連銀総裁が金融危機に関して講演、エバンス・シカゴ連銀総裁がブルームバーグインタビュー
4月
1日:メスター・クリーブランド連銀総裁がNYで講演、米3月雇用統計:失業率:予想4.9%(2月4.9%)、非農業部門雇用者数:予想20.2万人(2月24.2万人)、平均時給:前月比+0.3%(2月−0.1%)、3月ISM製造業受注指数:予想50.6(2月49.5)
●中国
4月
1日:3月製造業PMI:予想49.3(2月49.0)、非製造業PMI:2月52.7、Caixin中国PMI製造業:予想48.3(2月48.0)
●地政学的リスク
ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
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