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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆朝鮮半島のどんでん返しはあるか◆

注目トピックス 経済総合

〇朝鮮半島に思惑渦巻く、予想外の展開はあるか〇

米CNNは24日、今日明日にも北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行う可能性があると伝えた。27日は朝鮮戦争休戦協定締結から64周年。行われれば、4日の「ICBM」発射に続くものだが、面白いのは機材を運ぶ車両が確認されたのが21日、通常6日以内に発射が有り得るとしている点。何のことはない、北朝鮮が隠密行動としている移動式発射装置は従来から動きが捕捉されていたことを示す。日本海での北朝鮮潜水艦の動きも伝えられ、監視体制は万全のように見える。

常識的に考えれば、ミサイル技術は向上しているのだろうが、「軍事的脅威」は限りなく限定的と考えられる。今春、トランプ大統領が直接軍事対立から対中交渉カードに切り替えたのは、北朝鮮の脅威が極めて限定的(韓国や日本への脅威は別)と見切った上、との見方があるが、ある程度裏付ける。

その前に、韓国・文政権は21日の軍事当局者会談開催、その直後に南北赤十字会談を提案したが、北朝鮮はナシのつぶて。無視されたことに対する反応が無いのも異常だが、朝鮮半島の平和体制構築へ「ロードマップ検討に着手」と姿勢は変えていない。これ以前、12日付毎日新聞は「北朝鮮、広がる楽観論、貿易関係者『2年で制裁緩和』」と題する観測記事を配信した。親北勢力の文政権を誕生させ、何処かで劇的に南北対話に転換し、「高麗連邦」(故金日成主席が提唱した一国二制度構想)に向けて動き出すとの思惑が燻る。北主導の「韓国崩壊論」もここから出て来る。

実際は、経済制裁による締め付けは厳しくなっている様だ。中国の銀行の「名義貸し」が制限され、石炭制限で関係者の収入激減、中国内の北朝鮮レストランの廃業が相次いでいると伝えられる。大干ばつと一部地域の豪雨被害も伝えられる。25日、米WSJ紙は、中国が新たに中朝国境防衛部隊を配置し、民間人用シェルターを建設していると伝えた。危機に備える動きとしているが、習政権の出方も要注意の状況が続いている。

日本国内の議論はスッカリ影の薄いものになっているが、韓国が目指す「経済統一」で起こり得る日本への影響、「賠償金」請求の動き、中国との関係などを注視する必要がある。とりわけ、韓国電子大手と取引の深い電子部品・半導体製造装置などの業界にとって、韓国財閥の動きは重要となろう(例えば増税提案が行われており、韓国企業が日本などへのシフトを進めることはあり得る)。

トランプ政権の外交政策迷走も伝えられ、安倍政権も内閣改造により、政権立て直しを目指すと考えられる。8月は韓米FTA見直し開始、17日メドに「日米2+2」(外交・防衛)会議開催と報道されている。アジア情勢を見る上で、朝鮮半島情勢が一つの軸になると考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/26号)



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