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新型ウイルスで試される各国の危機管理能力【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
1月29日、国内8例目の新型コロナウイルスの感染が確認された。「新型ウイルスの急拡大」というリスクシナリオを前にして、各国の異なった対応が興味深い視座を提供している。

SARSを経験した香港は「高い緊張感」が特徴的であり、対策は中国大陸との移動制限にとどまらない。国内感染者がまだ出ていない段階であるが、先週には2月中旬まで全ての学校と遊園地の閉鎖が決まったことに続き、今週からはサッカー場などの公共施設が全て閉鎖された。自宅勤務が奨励されており、街から人がいなくなった状態だ。

北朝鮮は中国からの渡航者の入国を禁止し、台湾は居住地が湖北省となっていれば入境を拒否している。フィリピンは武漢からの乗客の送還を決めた。米国は、武漢からの渡航者の入国を5空港に制限し、渡航者全員の検査を行っている。

日本でも入管時の体温チェックは行われているが、感染者数は増えてきており、水際対策が十分かは疑問も残る。春節明けの2月中旬には感染者数の相当な増加が発表されることも視野に入れておく必要があろう。マラソン会場を東京から札幌へと移されてしまった日本であるが、東京オリンピック・パラリンピック開催そのものへの影響を懸念する声も出始めた。WHOに判断を委ねているように見える日本だが、中国問題グローバル研究所の遠藤所長は「習近平とWHO事務局長との関係の近さ」(※1)を論じている。

鳥インフルエンザなどの感染症を経験した日本であるが、シナリオプランニングがなされているのか、未来の学習ができていたのか、といった点では不安を感じる展開である。東日本大震災では当時の政権の危機管理能力が疑われたが、2012年に発足した現政権の危機管理能力が本格的に試されているのかもしれない。

※1:https://grici.or.jp/835



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