米国株式市場見通し:ウクライナ情勢、ゼロ金利解除は織り込み済みへ
[14/03/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
週初はクリミア自治共和国で実施されたロシア編入の住民投票が賛成多数となり、欧米諸国がロシアに対する資産凍結や渡航禁止の制裁を強める見通しとなったものの、制裁の内容が概ね想定内であったことや、前週末にかけてリスク回避で売られた反動もあり、買戻しが先行する展開となった。その後、ロシアがクリミア半島を編入する条約に調印したものの、プーチン大統領が「ウクライナの分割は望まない」と発言し、ウクライナ東・南部への介入拡大への懸念が後退した。また2月住宅建設許可件数が予想を上回ったことも好感され堅調推移となった。週半ばになるとFOMC(連邦公開市場委員会)の結果発表を控えて小動きとなった。注目のFOMCでは100億ドルの量的緩和縮小が発表されたほか、事実上のゼロ金利解除には幅広い要素を考慮することを表明し、目安としていた失業率6.5%の目標を撤廃した。イエレンFRB議長が会見で、量的緩和終了後から利上げまでに要する「かなりの期間」について「概ね6ヶ月程度だろう」との認識を示したことで急落したものの、その後は下げ幅を縮小する展開となった。週後半は週間新規失業保険申請数が予想より少なかったことや、3月フィラデルフィア連銀景況指数が上振れしたことが好感され緩やかに上昇する展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。
個別ではポータルサイトのヤフーが、24%の株式を保有する中国のアリババが米国市場に上場する見通しとなり上昇。ソフトウェアのマイクロソフトやPCメーカーのヒューレット・パッカードはバークレイズが目標株価を引き上げ堅調推移。住宅メーカーのKBホームは決算が黒字に転換したことで上昇した。一方でビデオゲーム小売のゲームストップは、小売り最大手のウォルマートが中古ゲームの買い取りサービスを開始したことで売られた。自動車のトヨタ自動車はリコール問題に関して12億ドルで米司法省と和解し、軟調推移となった。
24日にオランダのハーグで核セキュリティ・サミットが予定されており、ウクライナ情勢に関してG7首脳会議や米中首脳会談が行われる可能性がある。ウクライナ情勢に関しては引き続き注視する必要があるものの、米国株式相場や米国経済への影響という意味では既に消化されており、反応は限定的であろう。
先週のFOMCではイエレンFRB議長が、量的緩和終了後にゼロ金利解除までに要する期間として「6ヶ月程度」と具体的な発言をしたことに驚いた投資家が多かったようだ。しかしながら、2015年前半のゼロ金利解除を示唆しており、現行の量的緩和縮小ペースからは既定路線ということができる。これまで漠然としていた金利上昇局面への移行までの過程がより明確化したことは間違いない。
経済指標では、2月新築住宅販売(25日)、3月消費者信頼感指数(25日)、2月耐久財受注(26日)、10-12月期GDP確報値(27日)の発表が予定されている。先日発表された2月の住宅建設許可件数が大きく増加したこともあり、住宅市場には楽観的な見方が広がりつつある。春先は季節的に住宅販売が伸びる時期でもあり、新築住宅販売への期待は高い。
個別企業ではドラッグストアのウォルグリーン(25日)、ビデオゲーム小売のゲームストップ(27日)、ヨガ用品のルルレモン・アスレティカ(27日)、インテリア用品のリストレーション・ハードウェア(27日)などの決算発表が予定されている。ゲームストップは、決算内容に加え、ウォルマートが中古ゲームビジネスに参入することへの影響に注目が集まりそうだ。また3月末で2014年のオバマケアによる医療保険加入が締め切られる。今年から、実質的に医療保険への加入が義務付けられており、医療保険契約者数の増加によって各種ヘルスケアサービスへの需要が高まることが予想され、ウォルグリーンなども処方箋薬などで恩恵を受ける可能性があるだろう。
<TN>









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