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国内株式市場見通し:東京五輪に向けた様々な成長戦略が動き出す

注目トピックス 市況・概況

■週末は地政学リスクに伴うリスク回避の流れ

先週の日経平均は外部要因に振らされる展開となった。週前半については、前週にアベノミクス以降で初の5日続落となった反動から自律反発をみせた。ソフトバンク<9984>など通信株の強い値動きのほか、低位材料株や新興市場の中小型株物色も活発だった。日銀の金融政策決定会合では、「金融政策の現状維持」を決定。現状維持は織り込み済みであり、発表後は落ち着いた値動きに。

しかし、週半ばにはイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言において、「ソーシャル・メディアやバイオなど一部は割高」との見解を示したことが嫌気された米国市場の流れを受けて、新興市場の中小型株の一角には売りが先行。その後、JR東日本<9020>による品川周辺の再開発報道を受けて首都インフラ関連の建設株が一斉高となる局面もみられたが、マレーシア航空の旅客機がウクライナ東部上空で墜落したとの報道や、イスラエル軍がパレスチナ暫定自治区のガザ地区に侵攻したとの報道など地政学リスクに伴うリスク回避の流れにより、週前半の上昇部分を帳消しにした。

■部要因に振らされやすい需給状況

18日の米国市場では地政学リスクによる売りが一巡し、一先ず落ち着きをみせていた。週明けの海外市場の動向次第の面はあろうが、先週末は過度に警戒し過ぎとの見方もあり、三連休明け後はリバウンドも意識されるところか。

しかし、地政学リスクへの警戒は長期化する可能性が高く、海外勢によるシェアが過半数を占めるなか、外部要因に振らされやすい需給状況と考えられる。そのため、上値追いには慎重な相場展開がしばらく続くことになろう。一方で、下値では日銀による指数連動型上場投資信託受益権(ETF)や年金等の資金が下支えとして意識されている。実際、5日続落となった7-11日については、8-11日の4日間で1日144億円の買いを入れており、先週についても大幅な下げとなった18日に144億円の買いを入れている。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革を控えているなか、信託銀行経由による年金買いとみられる資金流入が継続しており、不安定な相場展開が警戒されるなかでも、底堅さが意識されやすい。

■呼び値変更で10銭、50銭銘柄は手掛けづらく

また、今週から一部銘柄で呼び値の単位が変更となる。東京証券取引所は、TOPIX100構成銘柄の株価で5000円以下の場合に1円未満の呼び値単位を適用、株価に小数点が発生する。10銭、50銭単位の銘柄などは値幅妙味が薄れるとの見方もあり、市場の反応を見極める必要がありそうだ。短期の値幅取り狙いの資金流入は、これらの影響がない時価総額の小さい材料株などにシフトしやすいだろう。

■テーマ物色活発、決算発表が本格化

先週は都市再開発などを背景に材料系の建設株が一斉高をみせていたが、政府はリニア建設についても政府は事実上、建設を容認したほか、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の整備を検討する新組織を作る方針を固めた。さらに、安倍首相は水素をエネルギーとして走る燃料電池自動車の関連施設を視察し、その普及を支援するため、購入する際に補助金を支給する考えを表明しており、東京五輪に向けた様々な成長戦略の動きが、テーマ物色等につながりそうだ。

そのほか、国内でも決算発表が本格化してくる。アドバンテスト<6857>、キヤノン<7751>、信越化<4063>、ファナック<6954>などが予定されており、次第に業績相場に移行することになりそうである。米国では決算がピークを迎え、アップル、フェイスブックなどが予定されている。ただし、モメンタム株の不安定な値動きが続く中では、波及効果は限られそうか。



<TN>

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