3Dマトリックス Research Memo(3):製造販売承認に向けてPMDAとの協議継続
[14/03/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
(2)3Dマトリックス<7777>の主要開発パイプランの進捗状況
○吸収性局所止血材(TDM-621)
国内では製造販売承認に向けてPMDAとの協議が続いている。2011年5月に申請してから3年近くたつことになり、平均審査期間を超える状況が続いているが、安全性に関しては問題がなく、追加でデータを求められているわけでもない。ただ、追加データの要請がないこともそうだが、現在の状況は承認取得に向けてPMDAとの協議が継続しているといった表現が最も適切であろう。
なお、吸収性局所止血材としては2014年2月末に米バクスター社の「フロシール」が製造販売承認されている。同製品は1999年に欧州、2000年に米国で上市されている製品で、同社製品の競合品と考えられるが、原材料にウシ真皮由来品(感染リスクがゼロではない)が含まれており、安全性や性能的を比較してもTDM-621の競争力は十分に保持できるものと考えられる。掘り下げた見方をすれば、「フロシール」の承認が下りたことで、同社の止血材「TDM-621」の承認が下りる環境が整ったと言えなくもない。
一方、海外においての進捗状況についてみれば、欧州でCEマークの認証を2014年1月に取得し、大きく一歩前進した格好となった。CEマークとは、EU加盟国で医療機器を販売する際に表示が義務付けられる安全規格に適合していることを示すマークのことで、CEマークの取得によってEU加盟国域内での製品販売が可能となる。医療機器の販売手法に関しては国ごとによって異なり、ドイツでは、KOL(Key Opinion Leader:キーオピニオンリーダーとなる医者や有力医療施設など)向けに当初は無償、または有償でのサンプル出荷を開始する予定で、既に扶桑薬品工業<4538>が輸出向けに少量ながら製造を開始し、今期中に同社の欧州子会社向けに出荷する予定となっている。一方、フランスや英国ではまず数十例程度の臨床研究を現地の医療施設(現在、探索中)で行い、同データを持って医療機器の保険推奨リストへの採用を目指していく。これらの国では保険推奨リストに掲載されることが、販売の際に重要となってくるためだ。同社では欧州子会社から、今後契約する販売バートナーを通じて2015年4月期以降に販売を徐々に開始していく計画だ。
また、CEマークの取得によってアジア、オセアニア地域での販売展開も進む格好となる。現在は既に販売パートナーが決まっているインドネシアでは、販売承認申請の準備を進めている段階にあり、来期初には承認申請を行う予定だ。申請から承認が下りるまでの期間は、約6ヶ月程度を想定している。
米国に関してはIDE制度による治験計画届を2013年2月に提出、今期中の治験開始を目指していたが、現在協議中の段階であり治験開始は2015年4月期早々にズレ込む可能性がある。「先発医療機器との実質的同等性に関する評価」についての協議に時間がかかっているものと推測される。同評価で必要となる先発医療機器(現在、米国で使用されている止血材の競合品)との安全性や有効性を比較するデータに関しては既に提出済みで、追加の資料要求もないことから、ここ1〜2ヶ月の間には治験開始の許可が下りるものと見込まれる。進捗状況としては当初想定よりも若干遅れ気味ではあるが、計画に大きく変わりはない。
なお、海外企業との販売パートナー契約の交渉状況だが、欧米市場に関しては欧州域内に限定、もしくは北米地域も含めた格好で複数社に絞り込んで契約交渉を進めており、条件面での最終的な詰めを行っている段階にある。同様にアセアン地域に関しても、マレーシアやタイ、ベトナムなど複数の国を対象範囲とした契約を締結する方向で、パートナー先も選定して契約の最終段階に入っている。順調にいけば2015年4月期早々に契約が締結されるものと見込まれる。また、オセアニア地域に関しては現在、パートナー企業を探索段階にある。止血材の市場規模としては、日本が約170億円、韓国が20億円、台湾が10億円程度とみられるのに対し、オーストラリアは50〜60億円程度の市場となっており、日米欧以外では有望市場の1つとなる。
○歯槽骨再建材(TDM-711)
米国で事業化を進めている歯槽骨再建材は、既に実施した15症例の治験データをもってFDA(米国食品医薬品局)と次のステップに向けて協議を行っている段階にある。治験データでは歯槽骨の再生に関する実績データも示されており、現時点では事業化に向け順調に進んでいると言える。今後のスケジュールとしては、協議後に治験の第2段階に入る計画で、症例数として数十例の治験を行ったあと、製造販売承認申請を行う計画となる。上市の時期としては2015年4月期を目標としているが、治験の状況次第では2016年4月期にズレ込む可能性がある。
また、販売パートナーについては欧州企業と交渉中で、来期中には契約が締結される見通しだ。契約内容としては販売権だけでなく開発権も含めた格好での契約になる可能性もある。
○粘膜隆起材(TDM-641)
粘膜隆起材に関しては現在、国内において治験申請の準備に入った段階にあり、今期中に申請書を提出し来期早々にも治験を開始する予定となっている。既に治験を実施する医療施設は決まっており、症例数で200〜300件程度のデータを取得する予定だ。
粘膜隆起材に関しては、競合品として生化学工業<4548>の「ムコアップ(R)」があるが、粘膜の隆起時間や高さ、切除時の作業性の良さ、並びに切除後の患部の状態などが評価データとして重要ポイントとなる。同社では「ムコアップ(R)」と比較して、同社製品は粘性に優れており、性能面だけでなくコスト的にも十分な競争力があるとみている。
ムコアップ(R)の年間売上高は現在2,000〜3,000百万円とみられるが、内視鏡を使った粘膜切除・剥離手術で用いられる隆起材としては安価な生理食塩水も多く使用されており、これらすべてがムコアップ(R)や同社製品に置き換わったとすれば、年間市場規模で8,000百万円程度になると同社では想定している。今後のスケジュールとしては、2015年4月期に治験を終え、2016年4月期中の製造販売承認、並びに販売開始を目指している。なお、粘膜隆起材に関しては扶桑薬品工業と国内の独占的販売許諾権契約を既に締結している。
○創傷治癒材(TDM-511)
創傷治癒材は動物実験による前臨床試験が終了し、治験を行わずに製造販売が可能となる510(k)(FDAでの承認申請プロセス)での申請を予定しており、現在は申請の準備を進めている段階にある。同社では2016年4月期以降の販売開始を予定しているが、早ければ2015年4月期中に承認が下りる可能性もある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2)3Dマトリックス<7777>の主要開発パイプランの進捗状況
○吸収性局所止血材(TDM-621)
国内では製造販売承認に向けてPMDAとの協議が続いている。2011年5月に申請してから3年近くたつことになり、平均審査期間を超える状況が続いているが、安全性に関しては問題がなく、追加でデータを求められているわけでもない。ただ、追加データの要請がないこともそうだが、現在の状況は承認取得に向けてPMDAとの協議が継続しているといった表現が最も適切であろう。
なお、吸収性局所止血材としては2014年2月末に米バクスター社の「フロシール」が製造販売承認されている。同製品は1999年に欧州、2000年に米国で上市されている製品で、同社製品の競合品と考えられるが、原材料にウシ真皮由来品(感染リスクがゼロではない)が含まれており、安全性や性能的を比較してもTDM-621の競争力は十分に保持できるものと考えられる。掘り下げた見方をすれば、「フロシール」の承認が下りたことで、同社の止血材「TDM-621」の承認が下りる環境が整ったと言えなくもない。
一方、海外においての進捗状況についてみれば、欧州でCEマークの認証を2014年1月に取得し、大きく一歩前進した格好となった。CEマークとは、EU加盟国で医療機器を販売する際に表示が義務付けられる安全規格に適合していることを示すマークのことで、CEマークの取得によってEU加盟国域内での製品販売が可能となる。医療機器の販売手法に関しては国ごとによって異なり、ドイツでは、KOL(Key Opinion Leader:キーオピニオンリーダーとなる医者や有力医療施設など)向けに当初は無償、または有償でのサンプル出荷を開始する予定で、既に扶桑薬品工業<4538>が輸出向けに少量ながら製造を開始し、今期中に同社の欧州子会社向けに出荷する予定となっている。一方、フランスや英国ではまず数十例程度の臨床研究を現地の医療施設(現在、探索中)で行い、同データを持って医療機器の保険推奨リストへの採用を目指していく。これらの国では保険推奨リストに掲載されることが、販売の際に重要となってくるためだ。同社では欧州子会社から、今後契約する販売バートナーを通じて2015年4月期以降に販売を徐々に開始していく計画だ。
また、CEマークの取得によってアジア、オセアニア地域での販売展開も進む格好となる。現在は既に販売パートナーが決まっているインドネシアでは、販売承認申請の準備を進めている段階にあり、来期初には承認申請を行う予定だ。申請から承認が下りるまでの期間は、約6ヶ月程度を想定している。
米国に関してはIDE制度による治験計画届を2013年2月に提出、今期中の治験開始を目指していたが、現在協議中の段階であり治験開始は2015年4月期早々にズレ込む可能性がある。「先発医療機器との実質的同等性に関する評価」についての協議に時間がかかっているものと推測される。同評価で必要となる先発医療機器(現在、米国で使用されている止血材の競合品)との安全性や有効性を比較するデータに関しては既に提出済みで、追加の資料要求もないことから、ここ1〜2ヶ月の間には治験開始の許可が下りるものと見込まれる。進捗状況としては当初想定よりも若干遅れ気味ではあるが、計画に大きく変わりはない。
なお、海外企業との販売パートナー契約の交渉状況だが、欧米市場に関しては欧州域内に限定、もしくは北米地域も含めた格好で複数社に絞り込んで契約交渉を進めており、条件面での最終的な詰めを行っている段階にある。同様にアセアン地域に関しても、マレーシアやタイ、ベトナムなど複数の国を対象範囲とした契約を締結する方向で、パートナー先も選定して契約の最終段階に入っている。順調にいけば2015年4月期早々に契約が締結されるものと見込まれる。また、オセアニア地域に関しては現在、パートナー企業を探索段階にある。止血材の市場規模としては、日本が約170億円、韓国が20億円、台湾が10億円程度とみられるのに対し、オーストラリアは50〜60億円程度の市場となっており、日米欧以外では有望市場の1つとなる。
○歯槽骨再建材(TDM-711)
米国で事業化を進めている歯槽骨再建材は、既に実施した15症例の治験データをもってFDA(米国食品医薬品局)と次のステップに向けて協議を行っている段階にある。治験データでは歯槽骨の再生に関する実績データも示されており、現時点では事業化に向け順調に進んでいると言える。今後のスケジュールとしては、協議後に治験の第2段階に入る計画で、症例数として数十例の治験を行ったあと、製造販売承認申請を行う計画となる。上市の時期としては2015年4月期を目標としているが、治験の状況次第では2016年4月期にズレ込む可能性がある。
また、販売パートナーについては欧州企業と交渉中で、来期中には契約が締結される見通しだ。契約内容としては販売権だけでなく開発権も含めた格好での契約になる可能性もある。
○粘膜隆起材(TDM-641)
粘膜隆起材に関しては現在、国内において治験申請の準備に入った段階にあり、今期中に申請書を提出し来期早々にも治験を開始する予定となっている。既に治験を実施する医療施設は決まっており、症例数で200〜300件程度のデータを取得する予定だ。
粘膜隆起材に関しては、競合品として生化学工業<4548>の「ムコアップ(R)」があるが、粘膜の隆起時間や高さ、切除時の作業性の良さ、並びに切除後の患部の状態などが評価データとして重要ポイントとなる。同社では「ムコアップ(R)」と比較して、同社製品は粘性に優れており、性能面だけでなくコスト的にも十分な競争力があるとみている。
ムコアップ(R)の年間売上高は現在2,000〜3,000百万円とみられるが、内視鏡を使った粘膜切除・剥離手術で用いられる隆起材としては安価な生理食塩水も多く使用されており、これらすべてがムコアップ(R)や同社製品に置き換わったとすれば、年間市場規模で8,000百万円程度になると同社では想定している。今後のスケジュールとしては、2015年4月期に治験を終え、2016年4月期中の製造販売承認、並びに販売開始を目指している。なお、粘膜隆起材に関しては扶桑薬品工業と国内の独占的販売許諾権契約を既に締結している。
○創傷治癒材(TDM-511)
創傷治癒材は動物実験による前臨床試験が終了し、治験を行わずに製造販売が可能となる510(k)(FDAでの承認申請プロセス)での申請を予定しており、現在は申請の準備を進めている段階にある。同社では2016年4月期以降の販売開始を予定しているが、早ければ2015年4月期中に承認が下りる可能性もある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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