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アウトソーシング<2427>IT 分野と建設分野を中心に業容拡大を図る

注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』4月27日放送において、アウトソーシング<2427>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■会社概要
同社は1997 年に生産工程の業務請負業を目的に、静岡市で設立された。その後の事業環境は、リーマンショックや東日本大震災、円高による製造業の海外移転など逆風も吹いたが、事業領域や顧客基盤を広げながら急成長を遂げてきた。拡大の手法としては、オーガニックな成長のみならず、M&A を積極活用している。現在、アウトソーシングを含む国内18 社、海外25 社を傘下に持つ企業グループである(2014 年12 月31 日現在)。製造系を中核に技術系を積極展開、海外も第3 の柱として拡大中。

■具体的な事業形態
同社の事業は、「製造系アウトソーシング事業」と「技術系アウトソーシング事業」が2本柱であり、売上高の80.0% (2014 年12 月期)、営業利益のほぼ大半がこれらの2 事業から生み出される。

「製造系アウトソーシング事業」は、輸送用機器や電気機器などのメーカーの製造工程の外注化ニーズに対応し、業務請負や人材派遣を行う事業である。創業からの中核事業で、近年も堅実に成長しており、売上高構成比は42.9% (同) となっている。長期トレンドとしては、国内生産を海外移転する傾向は続き、市場は厳しくなると予想される。同社の営業利益の29.1% (2014 年12 月期) を稼いでいる。

「技術系アウトソーシング事業」は、IT、輸送用機器、電気機器、化学・薬品、建設など幅広い分野の企業の、設計・開発・実験・評価工程での高度な業務を外注化するニーズに対応し、業務請負や人材派遣を行う事業である。近年、M&A を含めた積極的な事業展開を行い、同社の売上高の37.1% (同)、営業利益の70.8% (同) を占めるまでに成長した。「海外事業」は、子会社である( 株) OSインターナショナルを中心に、主に日系企業の海外拠点の量産部門や研究開発部門の外注化ニーズに対応し、業務請負や人材派遣を行う事業である。第3 の柱として拡大中であり、同社の売上高の17.4% (同) まで伸びてきているが、固定費負担が重く、営業利益構成比は4.3% (同) と貢献度は低い。

■足元の事業環境や同社のビジネスモデル

製造業を顧客としたアウトソーシング事業は、外部環境に大きく影響される。景気や企業業績が悪化した際に、まず契約解除の矛先が向かうのは派遣や業務請負であり、政策・規制(労働者派遣法の改正など) によっても市場規模は変動する。競争の観点では、アウトソーシング事業は初期投資額が少なく、参入障壁が低い。リクルートホールディングス<6098> やテンプホールディングス<2181> などの大手の人材会社から地場の企業まで競合他社は数多く、同じ案件で競合になると、価格競争になり利益が損われる。このような不安定で競争も厳しい市場の中で、同社は独自の強みを築いてきた。

■2014 年12 月期は売上高・各利益ともに過去最高を更新

2014 年12 月期の通期連結業績は、売上高が59,421 百万円(前期比25.4% 増)、営業利益が2,010 百万円(同67.1% 増)、経常利益が2,197 百万円(同61.9% 増)、当期純利益が1,316 百万円(同17.3% 増) となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。売上高では、技術系アウトソーシング事業がIT 向けや輸送用機器向けを中心に業績を伸ばし、製造系アウトソーシング事業も見込みどおりだった。海外事業はタイのクーデター、香港やベトナムのデモの影響もあり、当初の目論見ほど伸びなかったが、前期比約3,000 百万円の売上増だった。営業利益に関しては、粗利益率20.1% を確保するなかで、売上拡大によって販管費負担が減り、営業利益率が向上した。事業セグメント別では、管理系アウトソーシング事業以外のすべての事業で増益となったが、特に技術系アウトソーシング事業が前期比29.0%増と大幅に利益を増やし、全社の増益に寄与した。

■2015年12月期の見通し

2015 年12 月期の通期見通しは、売上高が74,000 百万円(前期比24.5% 増)、営業利益が3,100 百万円(同54.2% 増)、経常利益が3,000 百万円(同36.5% 増)、当期純利益が1,620百万円(同23.1% 増)を見込んでいる。主力事業をそれぞれ伸ばす計画だが、技術系アウトソーシング事業においては、IT 分野と建設分野を中心に業容拡大を図り、海外事業においては、既存進出地域の強化及び進出地域の拡大により大幅な伸長を目指す計画だ。また、売上高の順調な拡大と販管費率の低下によって営業利益は大幅増益を見込む。

■中期的な見通し

2015 年12 月期を初年度、3 年後の2017 年12 月期を最終年度とする中期経営計画を策定・推進している。2017 年12 月期に、売上高130,000 百万円、営業利益8,500 百万円、売上高営業利益率6.5% を目標としている。対2014 年12 月期で、売上高を2.2 倍、営業利益を4.2倍、売上高営業利益率を3.1 ポイント上昇させる計画であり、達成されれば財務的にも大きく飛躍することになる。

新中期経営計画では「Vector to the New Paradigm」をビジョンに掲げ、新領域に舵を切る計画だ。新領域とは、国内においてはIT 産業や土木建築産業向けなどの技術系アウトソーシング事業であり、海外事業においては、既に進出しているアジアのみならず、南北アメリカ及び欧州が該当する。また事業の拡大方法としても、より積極的なM&A、PEO スキーム、実習制度やスクール運営など、既成概念にとらわれない手法を活用する。

■海外事業における戦略

海外事業においては、売上高10,346 百万円(2014 年12 月期) を41,600 百万円(2017年12 月期) に飛躍させる計画である。同社のこれまでの海外展開はアジアが中心だったが、今後は北米・南米・欧州に展開エリアを拡大する計画だ。欧米の派遣市場は売上ベースで日本の約3.9 倍、派遣社員数ベースで日本の約7.9 倍と圧倒的に大きい。今後も人口増加(欧米の2013 年から2050 年までの人口増加率: 20.8%) が想定されており、持続的成長が期待できる。拡大の手法としては、M&A とオーガニックな成長を組み合わせたものになる。M&A は実現可能性が読みづらいが、同社の日系企業との強いパイプが被買収会社にとっても魅力となれば成功確率は上がるだろう。海外事業の営業利益率は現状0.8% (2014 年12月期) と相対的に低いのが課題であるが、今後事業規模の拡大が順調に推移すれば、固定費負担が軽くなり、利益率は国内事業並みに高まると想定される。

中期経営計画の目標数値は、非常に意欲的なものであり、達成のリスクも当然存在する。景気後退、法改正による競合激化、M&A 先が見つからないリスク、海外M&A 先のマネジメント上のリスクなどがその一例だ。一方、これまでの多角化の実績、数多くのM&A の経験は、これからも活きるプラス要因だ。企業体質を真のグローバル企業に“パラダイムチェンジ” できるかどうかが成否を分けるポイントになろう。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送





<TM>

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