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三井化学 Research Memo(1):基盤素材事業の収益安定し、シェールリスクへの備えが進む

注目トピックス 日本株
■要約

三井化学<4183>はエチレンプラントを擁する総合化学メーカー。1997年に三井東圧化学(株)と三井石油化学工業(株)が対等合併し、現在の三井化学株式会社となった。石油化学や基礎化学品の分野で培った高い技術力をベースに様々なファインケミカル製品を開発し、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング及び基盤素材の4セグメントで事業を展開している。

1. 2018年3月期第2四半期は上振れで着地。基盤素材事業の収益安定性増大を確認
同社の2018年3月期第2四半期決算は、売上高620,855百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益48,247百万円(同6.3%増)と増収増益で着地した。期初予想に対しても利益は10%以上上回ったが、最も貢献度が大きかったのは基盤素材事業だ。期初は交易条件悪化を想定していたが、外部環境(特に製品市況)が予想ほど悪化しなかったことに加え、同社が進めてきた収益安定化策が奏功した。他の事業セグメントも全般に需要は堅調に推移し、高シェア製品や独自性の高い製品を多く有する同社は、順調に収益を伸ばした。

2. 『2025長期経営計画』の取り組みは各事業セグメントで順調に進捗
同社は2026年3月期に売上高2兆円、営業利益2,000億円の達成を目指している。モビリティ事業では軽量化ニーズなどに応じて新製品の開発を加速中だ。既存事業ではPPコンパウンドや機能性ポリマーなどの能力拡大を適切に実施することで成長を目指している。ヘルスケア事業で3つの事業ドメインそれぞれで、生産能力拡大など成長戦略に取り組んでいる。フード&パッケージング事業ではイクロステープTMの増産を決定した。コーティング・機能材や農薬の領域でも新製品開発を進めている。基盤素材事業では“地産地消”と高付加価値品シフトで収益安定性を高めることに成功した。今後は設備更新なども検討課題になってくるとみられる。

3. 2018年3月期通期は販売数量の増加などにより、2期連続最高益更新の見通し
2018年3月期について同社は、売上高1,300,000百万円(前期比7.2%増)、営業利益103,000百万円(同0.8%増)を予想している。堅調な需要で販売数量の拡大が期待される一方、交易条件は当初想定ほどには悪化しない見込みで、期初予想から収益見通しが上方修正された。2019年3月期は、シェールリスクが今期よりも一段高まると懸念されるため楽観は禁物だ。しかしながら、基盤素材事業が地産地消や高付加価値品シフトなどの施策で収益安定性を高めているため、他のセグメントの動向次第では、2019年3月期も3期連続で最高益更新となる可能性は十分あると弊社では見ている。

■Key Points
・2026年3月期に営業利益2,000億円を目指す。ターゲット事業領域で利益の9割近くを稼ぐことが目標
・基盤素材事業は市況サイクルをまたいで安定的に300億円の営業利益確保を目指す
・Blue Value®とRose ValueTMで、環境・社会への貢献を見える化し、2026年3月期までの数値目標を設定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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