三井化学 Research Memo(10):軽量化ニーズなどに応じて新製品の開発を加速中
[17/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略と進捗状況
2. モビリティ事業の成長戦略と進捗状況
(1) モビリティ事業の長期目標と成長戦略
モビリティ事業は2026年3月期において営業利益700億円の獲得を目標としている。このセグメントの特長は幅広い製品ラインナップや世界市場をリードする高シェア製品が多いことなどだ。成長機会としては自動車の軽量化ニーズ、安全性・快適性ニーズ、市場の成長スピードの地域差などがある。三井化学<4183>は車載カメラレンズ材や金属樹脂一体成型品など、新たな製品の開発を進めており、成長機会をもたらす様々なニーズに適切に対応し、成長につなげる考えだ。
前述のように、モビリティ事業は世界的高シェアの製品が多く、これら既存製品の生産能力拡大や競争力強化も大きな成長エンジンとして期待できる。現状ではPPコンパウンド、機能性コンパウンド、エラストマーなどにおいて、需要拡大に対応した能力増強を実施するか真剣に検討する時期に入ってきている。
(2) 進捗状況と当面の見通し
2018年3月期に入ってから、PPコンパウンドに関し、インド(2017年5月)、米国(2017年6月)、メキシコ(2017年7月)の3拠点でトータル5万トン/年の生産能力増強を実施した。これにより、かねてからの計画どおり、2017年時点で世界生産能力105万トン/年という目標をクリアした。
これらの新生産設備の操業は既に軌道に乗っており、需要の拡大に応じて順調な生産をしているもようだ。北米の自動車生産台数が2017年は前期比10%程度の減少になることが懸念されているが、同社への影響はほとんど出ていないもようだ。同社はピックアップトラック等大型車向けに強く、1台当たりの使用量の増加などが背景とみられる。
PPコンパウンドの能力拡大についてはこれで終わりではなく、次は欧州での能力増強が控えている。欧州は従来から委託生産で対応してきたが、欧州メーカー等からの需要増加もあり、現在、自社のPPコンパウンド工場建設についての検討を進めている。PPコンパウンド工場はPPの重合工場とは異なり、年産2〜3万トン程度で十分に経済合理性が得られる事業であり、その規模であれば投資額もさほど大きくはならない。一方で現に販売先が存在しているため、自社工場建設のリスクはほとんどないと弊社ではみている。
今下期には、内装材表皮に使用される熱可塑性エラストマーであるミラストマー®について、5,000トン/年の増強を行い、運転を開始した。PPコンパウンド同様、需要の着実な増加が背景にある。これまで40,000トン/年だったものが今回の増設で45,000トン/年となったが、今後も徐々に増強し、60,000トン/年を目指す方針だ。
来期以降ではギア潤滑油添加剤のルーカント®やタフマー®などの生産能力増強も視野に入ってくる見通しだ。グローバルで需要が拡大していることが背景だ。需要家立地的観点では北米での増強が合理的ではあるが、現地では建設費が高騰しているため、北米立地に固執することなく日本立地や既存設備のデボトルネックも含めて最適なソリューションを目指すとみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MH>
2. モビリティ事業の成長戦略と進捗状況
(1) モビリティ事業の長期目標と成長戦略
モビリティ事業は2026年3月期において営業利益700億円の獲得を目標としている。このセグメントの特長は幅広い製品ラインナップや世界市場をリードする高シェア製品が多いことなどだ。成長機会としては自動車の軽量化ニーズ、安全性・快適性ニーズ、市場の成長スピードの地域差などがある。三井化学<4183>は車載カメラレンズ材や金属樹脂一体成型品など、新たな製品の開発を進めており、成長機会をもたらす様々なニーズに適切に対応し、成長につなげる考えだ。
前述のように、モビリティ事業は世界的高シェアの製品が多く、これら既存製品の生産能力拡大や競争力強化も大きな成長エンジンとして期待できる。現状ではPPコンパウンド、機能性コンパウンド、エラストマーなどにおいて、需要拡大に対応した能力増強を実施するか真剣に検討する時期に入ってきている。
(2) 進捗状況と当面の見通し
2018年3月期に入ってから、PPコンパウンドに関し、インド(2017年5月)、米国(2017年6月)、メキシコ(2017年7月)の3拠点でトータル5万トン/年の生産能力増強を実施した。これにより、かねてからの計画どおり、2017年時点で世界生産能力105万トン/年という目標をクリアした。
これらの新生産設備の操業は既に軌道に乗っており、需要の拡大に応じて順調な生産をしているもようだ。北米の自動車生産台数が2017年は前期比10%程度の減少になることが懸念されているが、同社への影響はほとんど出ていないもようだ。同社はピックアップトラック等大型車向けに強く、1台当たりの使用量の増加などが背景とみられる。
PPコンパウンドの能力拡大についてはこれで終わりではなく、次は欧州での能力増強が控えている。欧州は従来から委託生産で対応してきたが、欧州メーカー等からの需要増加もあり、現在、自社のPPコンパウンド工場建設についての検討を進めている。PPコンパウンド工場はPPの重合工場とは異なり、年産2〜3万トン程度で十分に経済合理性が得られる事業であり、その規模であれば投資額もさほど大きくはならない。一方で現に販売先が存在しているため、自社工場建設のリスクはほとんどないと弊社ではみている。
今下期には、内装材表皮に使用される熱可塑性エラストマーであるミラストマー®について、5,000トン/年の増強を行い、運転を開始した。PPコンパウンド同様、需要の着実な増加が背景にある。これまで40,000トン/年だったものが今回の増設で45,000トン/年となったが、今後も徐々に増強し、60,000トン/年を目指す方針だ。
来期以降ではギア潤滑油添加剤のルーカント®やタフマー®などの生産能力増強も視野に入ってくる見通しだ。グローバルで需要が拡大していることが背景だ。需要家立地的観点では北米での増強が合理的ではあるが、現地では建設費が高騰しているため、北米立地に固執することなく日本立地や既存設備のデボトルネックも含めて最適なソリューションを目指すとみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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