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テクマト Research Memo(4):2019年3月期第2四半期累計業績は増収増益となり、過去最高業績を達成

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期累計業績の概要
テクマトリックス<3762>の2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比9.9%増の12,117百万円、営業利益で同69.7%増の944百万円、経常利益で同27.4%増の888百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同30.8%増の585百万円と増収増益となり、売上高、利益ともに第2四半期累計として過去最高を更新した。また、期初会社計画に対しても売上高、利益ともに上回る結果となった。頻発するサイバー攻撃に対する防衛力強化が官民問わず重要課題となっており、情報セキュリティ関連に対する投資が拡大基調にあるなかで、主力の情報基盤事業が2ケタ増収増益と好調に推移したことが主因だ。また、受注高は前年同期比12.6%増の12,879百万円、第2四半期末の受注残高は同15.3%増の14,908百万円とそれぞれ過去最高水準を更新している。

売上総利益率は情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業ともに改善し、前年同期比で2.0ポイント上昇の34.8%となった。販管費は人件費増を主因として前年同期比7.0%増となったが、増収効果により販管費率は同0.7ポイント低下し、結果、営業利益率は同2.8ポイント上昇の7.8%となった。なお、営業外収支がやや悪化したが、これは前年同期に計上した投資事業組合運用益149百万円がなくなったこと、為替差損が27百万円増加したことなどが要因となっている。

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前年同期比13.5%増の8,351百万円、営業利益は同49.6%増の777百万円と会社計画を上回る増収増益となった。

分野別の売上動向を見ると、サイバー攻撃からの防御対策として次世代ファイアウォールやフォレンジック製品等の引き合いが官需・民需問わず好調だったほか、EDR製品や次世代型メールセキュリティ製品、AIを活用した次世代アンチウイルス製品などの先進的なセキュリティ関連製品についても順調に受注を伸ばした。また、ストック型ビジネスとなるセキュリティに関する運用・監視サービスについても顧客の開拓が進んだことで着実に売上を伸ばしている。

ストレージ製品の販売は、放送コンテンツの高精細化(4K/8K化)に伴う保存データ量の増大に対応するための投資が引き続き活発で、放送業界を中心としたメディア・エンターテイメント業界向けに好調に推移した。また、負荷分散装置についてはMicrosoftが提供するOffice 365との連携ソリューション等の新しい需要開拓に取り組んだことで堅調を持続している。

連結子会社のクロス・ヘッドは前年同期に事業構造改革※を実施した影響で収益性が低下し、情報基盤事業セグメントの減益要因となっていたが、第2四半期累計では構造改革が一巡し、クラウドやグループウェア関連のITサービスが堅調に推移したこともあり増収増益に転じている。一方、沖縄クロス・ヘッドについては、県内におけるSI案件の受注が低迷したことにより減益となったが、セキュリティ関連製品や独自の付加価値サービスの販売は好調に推移しており、下期以降もこれら分野を強化していくことで収益を回復していく方針となっている。具体的な取り組みとして、中小企業を対象にした情報セキュリティに特化したオールインワンセキュリティ「VCR」やインターネット経由で利用ができるクラウド上にある外部記憶装置(ストレージ)を連携するサービス「nas2cloud: n2c」等の販売を積極的に行っていく。

※収益性向上施策として、低採算だった案件から技術者を一旦戻し、AWS(Amazon Web Service)向け等の高度な技能が必要とされる高採算案件への戦略的シフトを実施した。


受注高についてはネットワークセキュリティ製品やストレージ製品が好調だったほか、負荷分散装置も堅調に推移し、前年同期比12.4%増の8,744百万円となり、第2四半期末の受注残高も同15.0%増の7,960百万円とそれぞれ過去最高を更新した。また、単体ベースで見たストック売上比率については38.8%と2018年3月期よりも0.2ポイント上昇した。ストック売上には保守サービスや運用・監視サービスが含まれるが、同社では40%程度が適正水準と見ている。2016年3月期以降、セキュリティシステムの構築需要が拡大したこともあって37%台に低下していたが、ストック売上高についても着実に増加していることがうかがえる。2019年3月期第2四半期累計の単体売上高は前年同期比16.3%増の6,140百万円、うち、ストック売上は同14.2%増の2,384百万円、非ストック売上は同17.8%増の3,756百万円といずれもバランスよく伸びている。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前年同期比2.7%増の3,766百万円、営業利益は同351.5%増の130百万円となった。

分野別の動向を見ると、医療分野では「NOBORI」の2019年3月期第2四半期末における契約施設数が前年同期末の約720施設から約850施設へ拡大したことにより増収となったものの、利益面では会社分割に伴うコスト増や新規事業への先行投資を実施していることもあり、前年同期比横ばい水準とやや計画を下回った。契約施設数の増加ペースについては期初計画から遅れ気味となっているが、既存顧客からのサービス契約更新は取りこぼすことなく受注できている。新規事業に関しては、BtoC向けのサービスとして患者が「NOBORI」に保存されている自身の画像データ等をスマートフォンで確認できるアプリの開発を行っており、2019年3月期中のサービス開始を目指している。また、AIを活用した画像診断等のサービスについても、AI技術を持つ複数の会社とそれぞれ共同開発を進めている状況にある。

「医知悟」については、遠隔読影の需要の高まりにより従来の病院向けサービス提供に加えて、健診施設等の顧客開拓や病理分野のサービス展開が拡大し、契約施設数が約650施設と増加したほか、月間の読影依頼検査数も前年同期の18万件から22万件に拡大、従量課金金額についても堅調に推移し売上増に貢献した。

CRM分野では、2018年5月にFAQナレッジ管理システム「FastAnswer2」の新バージョン、及びコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp」のWebチャットに対応する「FastChat」の販売を開始し、大型案件も含めて受注を伸ばしたほか、4月にはタイ(バンコク)に駐在員事務所を設立、日系企業だけでなく現地のドラッグストアやEC企業からの受注実績も出始めており、売上高は前年同期比1ケタ増収となった。利益面でも、前年同期に発生した不採算案件がなくなったことから増益となった。

ソフトウェア品質保証分野は、自動車のIT化に伴い車載ソフトウェア等の開発工程で利用されるソフトウェアテストツール等の引き合いが好調で売上高は前年同期比2ケタ増となった。インターネットサービス分野では、金融業界向け案件(リスク管理ソリューションサービス)が下期にずれ込んだことや、収益力強化を目的に受託開発から自社サービス開発に人員をシフトしていることもあり、売上高は一時的に伸び悩んだものの、前年同期に発生した不採算案件がなくなったことで損益面は改善した。また、連結子会社のカサレアルについては、ITエンジニア向け研修サービスが好調で会社計画を上回って推移した。

受注高は全分野で堅調に推移し、前年同期比13.1%増の4,135百万円となり、第2四半期末の受注残高についても同15.6%増の6,947百万円といずれも過去最高を更新した。単体ベース(NOBORIを含む)のストック売上比率は、医療分野を中心にクラウドサービスが好調に推移したことにより、2018年3月期の52.8%から57.6%と大きく上昇している。同社はストック売上比率について60%程度を目安に事業を拡大していく方針としており、収益性の向上と同時に安定性を高めていく戦略となっている。なお、2019年3月期第2四半期累計における単体売上高(NOBORI含む)は前年同期比1.2%増の3,357百万円にとどまったが、うちストック売上については同7.8%増の1,933百万円と順調に拡大している。非ストック売上は同6.5%減の1,424百万円と減少傾向が続いているが、これは受託開発などの受注活動を手控えているためで、計画どおりの進捗となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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