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日本調剤 Research Memo(6):成長戦略にブレはなく、全般に順調に進捗。足元では人財投資に注力

注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略の進捗状況

2. 調剤薬局事業の中長期成長への取り組みと進捗状況
(1) 成長戦略の概要
調剤薬局事業の成長戦略については、これまで当レポートでも繰り返し紹介してきたが、その内容は一貫しており、ぶれはない。日本調剤<3341>の中長期成長戦略を要約すると以下のようになる(『』で括ったものは弊社が考える同社の成長戦略を理解するためのキーワード)。

a) 業界再編は不可避であり、その中で『勝ち残りによるシェア拡大』を目指す。
b) そのための具体的な方法論として、『店づくり』と『店舗網の拡大』を着実に進める。
c) 店づくりにあっては国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿った店づくりを推進する。
d) 店舗網の拡大に際しては、自社出店(オーガニック出店)とM&Aを活用していく。
e) KPI(重要経営評価指標)としては『1店舗当たり売上高』で、c)及びd)の項目と密接に関わる。
f) 中期成長戦略を実行に移すうえでは人材が不可欠なのは言うまでもなく、『人財投資』を先行して推進する。

以上のa)〜f)の要素はそれぞれ因果関係や相関関係でつながっている。これまでのところ同社の中長期の成長に向けた取り組みは全般に順調に進捗しているというのが弊社の評価だ。以下では主要な項目について進捗状況を紹介する。

(2) 人財投資の推進
同社の成長戦略で最も重要な位置を占めるのが人材だ。同社の目指す店づくり(それは国が求める薬局・薬剤師像に沿ったものである)においては、薬剤師は対人業務の比重が高まることになる。また、薬局に求められる機能を果たしていこうとすれば1薬局当たりに必要な薬剤師の数も増加基調となる。すなわち、同社の成長戦略にとっては、薬剤師の“質”と“数”がボトルネックとなる。前述の薬機法の一部改正の動きはそれに拍車をかけることが想定されるため、同社は人材への投資(採用と教育)を先行して実施している。

具体的な動きとして、まず採用面では2019年4月に398名の新卒薬剤師を採用した。この数は調剤薬局・ドラッグストア業界で最多とみられる。同社の店づくりと店舗展開を実現するためには、同社の調剤薬局事業における薬剤師の数は現状(約2,000人)から倍増でも足りない見込みだ。店舗網を自社出店で行うかM&Aで行うかによっても変わるが、仮に自社出店主体で展開する場合には、2019年春と同規模の新卒採用を今後も継続していく必要があると弊社では推測している(実際には年によって変動するが平均的には2019年並という意味)。

薬剤師の“質”と“数”がボトルネックになると述べたが、より重要なのは“質”だ。薬剤師としての資格だけでは不十分なことは言うまでもないが、一般的な実務経験のみならず、様々な専門知識や資格が求められることになるためだ。この点について同社は、ステージ制度を新設して社内認定資格の取得を促すほか、外部認定資格取得に向けたサポートも充実させて、高い専門性を有する薬剤師の育成に取り組んでいる。専門性の高い一例として「外来がん治療認定薬剤師」という資格があるが、その取得には医療機関との連携が不可欠だ。同社は全国15ヶ所以上の病院研修に50回近く薬剤師を送り込んだ実績を有している。また、医療機関との連携を図るうえで圧倒的に有利な“門内薬局”(病院の敷地内に立地する薬局)の開設にも注力している。こうした医療機関との連携は、学生の側から見た場合、同社を選択する動機付けの1つにもなっており、『質の高い人材確保⇒質の高い教育の実施⇒質の高いサービス提供⇒業容拡大⇒質の高い人材確保⇒・・』という好循環の実現につながっている。

(3) 店づくりと店舗展開の状況
店づくりと店舗展開についてはこれまでも同社の戦略や考え方を説明してきたが、同社のKPIである1店舗当たり売上高を起点に考えると、理解が一段と深まるかもしれない。

同社の2019年3月期の1店舗当たり売上高※は352百万円で、ここ数年、350百万円前後で推移している。この数値が将来的にどういった変化をするかについて同社では、700百万円を目指して上昇していくと考えている。そのロジックは調剤薬局事業の市場規模が現状(約7兆円)から横ばいで推移するという大前提の中で、薬局数は現状(約59,000店。併設店を含む)から半減すると想定されるため、おのずと売上高は倍増する、というものだ。

※1店舗当たり売上高=調剤セグメント売上高÷期首・期末平均店舗数


もちろんこれは単純化した図式であって、生き残りが売上高倍増に直結するわけではない。生き残りによって商圏が拡大することが期待されるものの、その度合いは立地(人口動態や競合環境、医療機関の状況)条件で大きく異なる。また、商圏が拡大したとしても、増加した潜在的需要を着実に取り込むためには薬局としての機能やそれを実現するだけの人的キャパシティを備えることも不可欠な要件だ。

1店舗当たり売上高の倍増というシナリオは、現時点では現実的にイメージできないと感じる投資家も多いと推察されるが、同社自身は明確にそれをイメージできているようだ。それを示唆するのが2019年3月期の店舗異動だ。同社は32店舗を新規出店したが、一方で19店舗を閉店し、純増は13店舗にとどまった。この閉店数は例年に比べて多い。多くなった理由について同社は、一定期間における損益状況といった通常の退店基準に加えて、将来の成長性や拡張性の観点で検討した結果と説明している。この成長性や拡張性ということに込められた狙い・目標こそが、“1店舗当たり売上高の倍増=700百万円”ということであると弊社では考えている。同社は2020年3月期以降についても同様の視点から店舗存続の可否を判断していくとしている。

1店舗当たり売上高に関してもう1つ重要な視点は、それが経営“目的”であると同時に、“結果”という位置付けをしていることだ。同社は薬局に求められる機能・役割はどんどん広範囲化・高度化しており、それらの機能を果たしていけばおのずと売上高は付いてくる、という考えで臨んでいるということだ。現状の350百万円という数値自体も、これを目指して何かをしたというのではなく、あるべき薬局像の店づくりを推進した結果の値に過ぎないというのが同社の受け止め方と思われる。

このように考えてくると、店舗展開における同社が店舗網拡大のためにM&Aを活用することのハードルがどんどん上がってくるというのが弊社の印象だ。同社のM&Aの動きは同業他社のそれに比べて非常に少ない。この点について同社は、M&Aに否定的なわけではなく単に基準に合う物件に巡り合えないだけと説明している。

それは同社の正直な気持ちと思われるが、前述のような同社の店づくりの思想と共通した価値観で店づくりを行っているところは少ないのではないかという印象を受ける。1店舗当たり売上高の値も同社の350百万円というのは業界の平均な姿を大きく上回っており、この水準を超えた店舗を有する事業者は極めて少ないとみられる。また、薬剤師の質の問題でも同様なことが当てはまるだろう。同社としては、ないものねだりをしながらM&Aを待つようなことはせずに自社出店を着実に進める方が結局は近道という考えで様々な準備を進めているように弊社ではみている。

(4) 店舗タイプの状況
前述の薬機法の一部改正案との関連で、店舗のタイプについても重要性が一段と増してきている。この点、同社は門前薬局とハイブリッド型の2つのタイプの店舗展開で臨む方針を明確にしている。

門前薬局が大学病院や地域の中核的大規模病院の門前の立地で展開するのに対し、ハイブリッド型薬局は、同社が従来「面対応薬局」(人通りの多い場所に立地し、不特定多数の医療機関の処方箋を幅広く受け付ける薬局)と「MC(医療モール)型薬局」(医療モール内に立地し、特定の医療機関の処方箋対応を主とした薬局)の合体型のものを言う。

門前型とハイブリッド型とではその立地の関係もあって、付加的機能で差がある。門前型は大学病院などと連携した高度薬学管理機能を期待される立場にある。一方ハイブリッド型は、生活動線に近い立地である点を生かして日常的に健康増進に貢献する健康サポート機能を持たせている。両タイプに共通する基本機能として、かかりつけ薬剤師・薬局機能及び在宅医療機能を具備している。

同社は門前薬局の構成比(店舗数ベース)が65%(2018年9月末時点)と高い点を特長・強みとして店舗展開を進めてきたが、近年はハイブリッド型薬局の展開に注力している。1都3県におけるハイブリッド型薬局の構成比は2019年3月期中に過半数を占めるに至った。全店ベースのハイブリッド型の構成比は約3割とまだ低いが、今後、首都圏、大阪、名古屋等の都市部を中心に出店を加速し、中期的には門前薬局とハイブリッド型との構成比を50%ずつにする方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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