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ピクスタ Research Memo(11):Snapmart事業は、重要な経営判断が迫られるステージに

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

5. Snapmart事業の成長戦略
(1) Snapmart事業の現状
Snapmartはfotowaと並ぶ新規事業の柱であるが、こちらも順調な拡大が続いている。具体的な売上高数値は開示されていないが、新規事業全体の売上高の成長率(2019年12月期第2四半期累計で前年同期比81.1%増)と、fotowaの撮影件数の伸び(同85.5%増)から、Snapmartの売上高もまた80%前後の成長を遂げたものと弊社では推測している。

そうした推測を裏付けるように、“マーケットプレイス定額販売制契約数が前年同期比2.2倍”、“投稿クリエイター数が10万人突破”、といった数値がピクスタ<3416>から開示されている。

Snapmartはスマートフォン経由の写真を対象としたマーケットプレイスで、その点では収益モデルも含めてPIXTA事業と同じサービスだ。一方で、オンデマンドサービスというPIXTA事業にはない収益モデルも有している。これら2つの収益モデルはいずれも順調に成長しているが、なかでもオンデマンドサービスが高い成長を示していると弊社ではみている。

オンデマンドサービスは企業がSNSを通じたマーケティング活動を行う際に、それに適した写真素材を集めるために利用される。同社はSnapmartを通じて企業とクリエイターのマッチングを行い仲介手数料を受け取る仕組みだ(その意味ではfotowaと似たサービスとも言える)。企業からすればマーケットプレイスにはない写真や、特定の商品を題材にした写真を効率よく集められるメリットがある。

(2) Snapmart事業の成長戦略と今後の取り組み
Snapmartの成長戦略は、スマートフォン経由の写真のマーケットプレイスであるという事業の本質に照らし、まずはコンテンツの拡充が挙げられる。また、そのコンテンツ拡充を図るためにはクリエイターの育成も重要な課題だ。これらの構図はPIXTA事業と全く同じだ。オンデマンドサービスはクリエイターと顧客のマッチングサービスという意味ではfotowaと似た面があり、その観点ではクリエイターの育成・拡大は重要なテーマとなる。コンテンツやクリエイターといった事業基盤の充実を急ぐことでSnapmart事業の成長加速を目指すのが成長戦略の中核だ。

具体的な取り組みとしては、2019年5月にアンドロイドスマートフォン用アプリをリリースした。これまではiPhone用のアプリしかなく、アンドロイドスマートフォンの利用者はSnapmartの利用が極めて不自由であった。新アプリのリリースでクリエイターのすそ野が拡大したことになる。

2019年12月期第3四半期以降は、上記のスマートフォンアプリの改良やクリエイターコミュニティの強化に取り組む方針だ。前者は言うまでもなく使い勝手の向上などによって“アクティブ”クリエイターの増加、ひいてはコンテンツ数の増大を図るのが狙いだ。後者はPIXTA同様、クリエイター数の厚みを増す取り組みだ。

これらに加えて今後は、オンデマンドサービスをどのように拡大させるかも重要な検討課題になると思われる。マーケットプレイスは法人、個人、フリーランサー等幅広い顧客を対象に言わば“待ちの営業”で臨んでいるのに対し、オンデマンドサービスは一定規模以上の法人が対象で、絶対数はマーケットプレイスに及ばないものの1件当たりの取引額は大きくなるという違いがある。それゆえ、いわゆるプッシュ型営業による事業拡大が選択肢に入ってくる。現状はごく限られた人数の営業担当者がオンデマンドサービスの拡販に努めているが、今後営業体制を強化(すなわち人員の増強)するかどうかという判断が迫られるとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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