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オンコリス Research Memo(8):「OBP-601」は米企業が2021年内にも臨床試験を開始する可能性あり

注目トピックス 日本株
■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向

5. その他パイプライン
(1) OBP-601(センサブジン)
核酸系逆転写酵素阻害剤「OBP-601」に関しては2020年6月に、トランスポゾン社との間で、主に神経変性疾患(ALS、アルツハイマー病等)の治療薬開発に関して、全世界における再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結したことを発表した。ライセンス契約の総額は3億米ドル以上となる。

「OBP-601」は、米ブラウン大学が実施した動物実験の結果により、神経変性疾患に有効であるとのデータが得られたことにより、トランスポゾン社との契約につながっている。具体的には、「OBP-601」がレトロトランスポゾン※の逆転写と複製を抑制する効果があることと、脳内への高い移行性を示すことが確認された。レトロトランスポゾンが複製されると、遺伝子の突然変異が起こりやすくなり、様々な反応により神経細胞を傷つけることで神経変性疾患が発症し、症状が悪化すると考えられている。「OBP-601」がこうした逆転写や複製を抑制することで、症状の悪化スピードを遅らせる効果が期待されている。

※レトロトランスポゾンとは、「可動遺伝因子」の一種であり、多くの真核生物組織のゲノム内に普遍的に存在する物質で、自身をRNAに複写した後、逆転写酵素によってDNAに複写されてから新たな場所に挿入することで転移する。DNA型トランスポゾン(狭義のトランスポゾン)が転移する場合と異なり、レトロトランスポゾンの転移では、DNA配列の複製が起こる。


「OBP-601」については今までの前臨床試験や臨床試験の結果から、安全性が確認されているため、追加の前臨床試験が不要となっている。トランスポゾン社では2020年秋に約45百万米ドルの資金調達に成功したことを受け、開発計画も具体化してきている。現状では、オーファンドラッグ対象となる神経変性疾患を対象とした臨床試験が2021年内に開始される可能性が高くなっているようだ。併用療法の場合は第1相臨床試験から、単剤療法の場合は第2相臨床試験からスタートすることとなる。対象疾患としては、ALSやアルツハイマーではない、希少疾患となるもようで、開発に成功すれば潜在市場の大きいALS等の開発に展開していく戦略と見られ、今後の開発動向が注目される。


主要パイプラインの物質特許を各国で取得済み
6. 特許取得状況
主要パイプラインであるテロメライシンの特許権は同社と関西ティー・エル・オー(株)が共同保有しており、海外では同社が単独で保有権を持ち、現在は日米欧を含む24ヶ国で特許を取得している。また、テロメスキャンは同社が特許権を保有しており日米含む10ヶ国で、テロメスキャンの派製品となるテロメスキャンF35については日米欧を含む13ヶ国で特許を取得しており、知財戦略についても重要な経営戦略の1つとして位置付けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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