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クリレスHD Research Memo(3):業態展開力と豊富なM&A実績によるブランドポートフォリオに強み

注目トピックス 日本株
*13:03JST クリレスHD Research Memo(3):業態展開力と豊富なM&A実績によるブランドポートフォリオに強み
■企業特長

1. 「マルチブランド・マルチロケーション戦略」から「コアブランド戦略」へ
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の主力事業の特徴は、高い集客力を見込めるSC及び駅ビル等の商業施設への出店と、地域特性や顧客属性、競合状況などの様々な立地環境に合わせた多様な業態の展開にある。和食、洋食、中華のほか、エスニックやカフェ、ベーカリーなど多岐にわたる業態を運営しており、1つの商業施設内に複数の店舗の出店が可能であり、施設オーナーやデベロッパーなどの様々なニーズに対応することで、比較的出店のハードルが高い商業施設での店舗展開を有利に進めてきた。もちろん、数多くの業態を立地環境に合わせて作り上げることはコスト要因となるものの、好立地における集客力を最大限に生かした業態を展開する力は同社の真骨頂であり、業態開発及びオペレーションのノウハウの蓄積が同社の価値創造の源泉であると考えられる。

一方、2013年に買収したSFPダイニングによる海鮮居酒屋業態「磯丸水産」は、コンビニエンスストアやドラッグストアが店を構える駅前立地と24時間営業に特徴がある。競争の激しい路面店への挑戦としてあえてコストの高い駅前立地に展開する業態を選んだのは、これまで高い集客力を見込める立地にこだわってきたこれまでの同社の出店戦略との親和性が高いことが理由の1つである。また、2015年に買収したKRフードサービスによる和食レストランチェーン「かごの屋」はロードサイドを中心に展開しているほか、2019年に譲り受けたクリエイト・レストランツが展開するコントラクト事業ではゴルフ場内レストランの運営受託などをしており、積極的なM&Aを通じて、立地の多様性とブランドの専門性の拡充を続けてきた。今後は顧客の行動様式の変化等を踏まえ、ロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換を打ち出しており、コアブランドのコンセプトや専門性をさらに強化する方針である。

2. 「グループ連邦経営」による成長モデル
同社の成長モデルは、内部的オーガニック成長に加えて、成長性の高い業態をM&Aによりグループ内に取り込むとともに、様々なシナジーの創出、プラットフォーム及び資金面や管理面の支援などの提供を通じてさらなる成長をバックアップし、最終的に自社グループの成長に結び付けるものである。過去においては、商業施設内のレストラン及びフードコートの運営で事業基盤を拡大してきたが、商業施設側の都合に左右されやすい成長モデルであった。このため持株会社制への移行とともに、「グループ連邦経営」による自律的な成長を目指す戦略へと転換を図った。もっとも三菱商事の社内ベンチャーから立ち上がった同社にとっては、経営管理を得意とする人材も含み経営資源の面やカルチャーなどの面で馴染みやすい経営スタイルであり、資本提携先からも比較的抵抗なく関係構築が図れるパートナーとして認識されてきたことも成功要因と考えられる。これまでのM&Aの実績は、国内18社、海外2社に上り、新たな立地とブランドの獲得に加え、事業シナジーの創出やPMIにおけるノウハウも蓄積してきた。今後の成長戦略についても、M&Aを活用した海外事業の拡大を含むポートフォリオの見直しとグループシナジーの最大化は重要なテーマであり、国内市場の縮小や人財不足など厳しい業界環境が続くなかで、同社ならではの成長モデルには明らかにアドバンテージがあると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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