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日空調 Research Memo(5):10年ビジョンは最終段階へ。完成工事高2,000億円を目指す(1)

注目トピックス 日本株
*11:45JST 日空調 Research Memo(5):10年ビジョンは最終段階へ。完成工事高2,000億円を目指す(1)
■新日本空調<1952>の中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase III」

1. 前中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase II」の結果
同社は2020年に、2030年を見据えた長期経営方針となる10年ビジョン「SNK Vision 2030」を発表し、その基本方針として「新日本空調グループは、持続可能な地球環境の実現と、顧客資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指す」を掲げている。さらに、この基本方針を実現するための5つの基本戦略として、「事業基盤増強戦略」「収益力向上戦略」「デジタル変革戦略」「企業統治戦略」「人的資本戦略」を発表している。

「SNK Vision 2030」は、2021年3月期にスタートして2023年3月期に第1ステップが終了した。それを引き継ぎ、2024年3月期には第2ステップとなる新たな中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase II」(2026年3月期が最終年度)を策定し実行してきたが、主要な目標値は1年前倒しで2025年3月期に達成された。

2. 新中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase III」の概要
(1) 基本方針
持続可能な地球環境の実現と、顧客資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指す。Phase I・Phase II(2021年3月期〜2026年3月期)では、社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、環境・社会への取り組みを深化させるとともに、技術力及び現場力の強化を着実に進めた。一方で、労働人口の減少、サプライチェーンの制約、脱炭素の加速、気候リスクの増大などにより、同社グループを取り巻く事業環境の不確実性は一段と高まっている。また、デジタル技術及びAIの急速な進展により、顧客ニーズ、業務プロセス、競争環境の変化も加速している。このような環境では、これまで培ってきた技術力と現場力に加え、データとナレッジを基盤に、変化する顧客ニーズや環境要請に応じて提供価値を継続的に高めることが求められる。Phase IIIは、「SNK Vision 2030」の実現に向けた総仕上げであると同時に、その先の成長ステージへつなぐ重要な期間と位置付けている。これまでの取り組みを踏まえ、継続すべきテーマと新たに顕在化した課題を整理したうえで、2030年に向けたありたい姿を再定義した。

(2) 2030年に向けたありたい姿
同社グループでは、快適な空間をつくることにとどまらず、健康、安全、省エネルギー、脱炭素及びレジリエンス※を統合した価値として「カイテキ」を創造し、人と社会と地球が調和する豊かな環境を実現することを目指す。

※ レジリエンス:自然災害、気候変動、社会情勢の変化、供給制約などの不確実性に対して、事業と顧客の快適性を維持・回復・進化していく力。

・空調工事を核に社会のニーズに応える技術力を磨き、地球環境への貢献を事業成長につなげ、持続的に成長する。
・「カイテキ」を統合価値と位置付け、企画・提案から施工、維持管理、改修まで一貫して提供し、顧客資産の価値向上に貢献する。
・省エネルギーと脱炭素を軸に、環境価値と収益性を両立する。
・高付加価値業務へ集中できる働き方が定着し、生産性とウェルビーイングを両立する。
・事業の実態が共通指標により可視化され、意思決定の精度と実行力を高める。
・ナレッジの蓄積・再利用により属人化を抑制し、学び続ける組織へ進化する。
・データと先端技術を活用した協働が定着し、意思決定と実行のスピードを高める。
・多様な顧客とサプライチェーンとともに価値を磨く共創パートナーとして選ばれる。
・独自性と強みが言語化・可視化され、社内外に認知される。
・人材の経験、スキル、実績が可視化され、育成、配置、評価に一貫して活用されている。
・透明性ある情報開示と対話を通じて信頼を獲得し、企業価値を高める体制を整える。

(3) マテリアリティ
同社は、ありたい姿の実現に向け、グループと社会・環境への影響を踏まえ、優先して取り組むテーマとして5つの重要課題を設定した。
1) デジタルによる価値創出
2) 脱炭素とレジリエンスの強化
3) 人的資本と組織基盤の進化
4) 持続可能型バリューチェーンの確立
5) 未来成長領域の創造

3. 基本戦略
対処すべき課題及び推進の方向性、ありたい姿の実現とマテリアリティへの対応に向けて5つの基本戦略を定めた。

(1) デジタルフロンティア戦略
データ、ナレッジ及びAIを経営の基盤として活用し、業務プロセスの全体最適を進め、意思決定と実行を高度化・迅速化する。
・データ連携を軸に、業務全体で一貫して活用できる基盤の整備
・事業の可視化と共通指標の整備による意思決定及び計画の精度向上
・ナレッジの蓄積・再利用を促進する仕組みの定着
・AI利活用の信頼性を高めるガバナンス及び運用体制の整備
・業務プロセスの再設計による経営資源の高付加価値領域への重点配分

(2)グリーンイノベーション戦略
省エネルギーと脱炭素を中核に「カイテキ」の提供価値を高め、資源循環とレジリエンスを一体で強化して、環境価値と収益性を両立させ、社会課題解決に資する事業モデルを進化させる。
・企画・提案から施工、維持管理、改修まで一貫した環境価値の提供力強化
・運用段階におけるエネルギー最適化と継続的改善の推進
・資源循環の全体最適に向けた標準化と仕組み化
・冷媒対応の高度化に向けた管理・品質体制の強化
・レジリエンスの強化を通じた平時と有事の両面で快適性と事業継続を支える提供力の強化

(3) 人的資本・エンゲージメント戦略
採用から育成、配置、定着までを一体で捉え、人材情報の可視化を通じた適材適所、働き方の高度化、挑戦を後押しする環境整備及び知の継承により、社員の成長とエンゲージメントを高め、組織の持続的な価値創出を実現する。
・人材確保と定着に向けた魅力発信及び採用・定着施策の強化
・人材情報の可視化と活用基盤の整備による適材適所の実現
・業務プロセスの標準化と役割分担による働き方の高度化
・挑戦を後押しする環境整備による挑戦と成長の循環の創出
・学びと伝承が循環する知の継承の仕組みの定着

(4) 価値共創・収益力戦略
安定成長を支える事業ポートフォリオと施工体制を強化して収益構造を高度化し、独自の強みを生かした価値提案を磨き、多様な顧客とサプライチェーンとともに選ばれ続ける事業基盤を構築する。
・注力分野と投資の方向性の明確化による事業構造の強化
・強みの明確化と発信を通じた提案力及びブランド力の強化
・建物のライフサイクル全体で価値を届ける一貫提供体制の整備
・受注判断とプロジェクト運営の精度向上による収益安定性の向上
・施工体制の持続性を支えるサプライチェーンとの協働の強化

(5) 未来事業創造戦略
「カイテキ」の提供価値の幅を広げ、未来の成長につながる事業とサービスを育て、事業化までを継続的に生み出す仕組みを整えて成長分野での存在感を高める。
・顧客連携を起点とする継続的なテーマ創出体制の整備
・「カイテキ」の提供価値の明確化と発信力の強化
・重点領域への集中、知見の蓄積及び新領域への展開を通じた継続的な挑戦の強化
・価値の検証と改善につながる評価・改善の枠組みの整備
・事業化の再現性を高める共通プロセスと推進体制の整備

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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