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アーバネット Research Memo(10):子会社を設立しグループ全体の収益力の底上げを図る

注目トピックス 日本株

■今後の経営施策とその進捗

アーバネットコーポレーション<3242>は、投資用マンションの根強い需要を背景として好調な業績が見込まれる一方、不動産価格の上昇や用地取得が困難になってきたことに伴う案件の小型化による採算性の悪化、建設資材の高騰、職人不足など、業界環境の変化が利益率の低下や成長の足かせを招く懸念を踏まえ、次なる成長ステージに向けた積極的な経営施策に着手した。具体的には、(1)海外投資家に対する直接販売の模索、(2)開発地域の拡大と強化、(3)分譲物件の平準化の3点を掲げており、一層の業績拡大と利益の確保、並びに安定した高配当の実現を目指している。

1.海外投資家に対する直接販売の模索
投資用ワンルームは、国内においては1棟での卸売を基本とするが、海外投資家に対しては利幅の厚い直接分譲を積極的に進めることで販売手法の多様化と利益率の確保を目指す。特に、投資意欲の顕著な台湾・シンガポール・香港・中国本土の投資家を対象とするようだ。なお、これまでの実績は、2015年6月期の1棟(アジールコート銀座イースト)に加えて、2016年6月期の1棟(アジールコート新宿)を、いずれも台湾法人に対して契約済となっている。2016年6月期以降については年2物件程度を計画しているようだ。

2.開発地域の拡大と強化
東京23区駅10分以内という基本方針を守りつつも、既に開発例のある「武蔵小杉」など、神奈川県東部(川崎・横浜)の人口増加・優良地域を開発地域に拡大する方針である。また、海外投資家に対する直接販売などの販売手法の多様化に伴い、これまで卸売を中核としてきた同社の主たる開発地域ではなかった都心5区の用地購入も模索する。なお、海外投資家に対する直接分譲は、卸売と比較して利幅が厚いため、用地取得の面でも選択の幅が広がり強気なスタンスが可能となる点で好循環が期待できる。

3.分譲物件の平準化
分譲マンション開発が決算期によってばらつきがある状況は、販売コストの効率化や売上高総利益率の変動要因の観点から同社の課題となっていることを踏まえ、今後は分譲物件の平準化を図り、毎年1件以上の分譲物件の開発を目指す方針としている。

また、2015年2月に決定した子会社設立(操業予定日は2015年7月1日)については、本格的な業績貢献はまだ先になりそうである。これまで社内にあった分譲用マンション(ファミリー及びコンパクトマンション)の営業部門を別会社化することにより専門性やモチベーションの向上を図るとともに、他社へ業務委託していた保有賃貸マンションの賃貸業務や、年間500戸以上を供給している投資用マンションの一部の管理業務を販売先との調整が可能なものに限って子会社にて取り込むことにより、グループ全体の収益力の底上げを図る方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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