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ワコム Research Memo(3):ブランド製品事業では改善すべき課題がいくつか顕在化したが、ポテンシャルは健在

注目トピックス 日本株
■業績の動向

2. ブランド製品事業の動向
ワコム<6727>の2019年3月期第2四半期のブランド製品事業は売上高20,661百万円(前年同期比7.9%減)、営業利益1,880百万円(同26.3%減)と減収減益で着地した。第2四半期期初予想は公表されていないが通期ベースの期初予想において増収増益が期待されていたことに照らすと2019年3月期第2四半期も増収増益が計画されていたと考えられ、計画を下回る着地だったとみられる。

ブランド製品事業の中核を成すクリエイティブビジネスの売上高は16,982百万円(前年同期比9.8%減)にとどまった。その詳細は以下のとおりだ。

(1) ペンタブレット
売上高は前年同期比10.6%減の9,288百万円となった。内容的にはプロ向けとコンシューマー向け中低価格帯製品で明暗が分かれた。2018年3月期に投入したプロ向けは前年同期比増収を確保したが、中低価格帯製品は競争関係の変化などの影響を受け、前年同期比、計画比のいずれも減収となった。中低価格帯の市場ではこれまで、同社製品がプロ向け同様に強みを持っていたが、ここにきて競合品の性能向上で価格差が際立つ結果となり、初めてペンタブレットを使うユーザーの取り込みで後塵を拝していることに加えて、同社製品からの買い替えなども目立つ状況になっている。

(2) ディスプレイ
売上高は前年同期比1.5%減の6,318百万円となった。ディスプレイはペンタブレット同様、入力デバイスであるが、“黒板”ではなく液晶画面に直接書き込めるため、高価格帯製品ではあるものの需要が伸びている。同社は2018年3月期中に新製品Wacom Cintiq Pro 13/16(数字はインチサイズ)を投入して好結果を得た後、年度末の2018年3月に24インチサイズを投入した。2019年3月期第2四半期はこの24インチの新製品をけん引役に前年同期比増収を目論んでいたが供給体制の問題から需要に対応できず、最終的に前年同期比減収で着地した。供給問題への対応のための一時的費用(航空貨物料金など)が発生し、利益面でも主要な減益要因となった。

(3) モバイル
売上高は前年同期比31.7%減の1,376百万円となった。モバイルの既存製品はライフサイクル後期に入っており、それが売上高の前年同期比減収の主な要因だ。減収自体は想定の範囲内だったと思われるが減収幅は想定以上だった模様だ。モバイルは入力装置のペンタブレットと記憶装置としてのタブレットPCが合体した構成で、使い勝手としてはデジタルペンを採用した一般的なタブレットPCと同じだ。タブレットPCが“PC”であるのに対して同社のモバイルは入力専用機である点が異なっている。入力性能にこだわるプロクリエイターには評価が高く、そこをターゲットとした高級機市場では同社製品の独壇場であるが、それ以下のユーザー向けでは通常のタブレットPCと直接の競合となり、2019年3月期第2四半期の大幅減収につながったとみられる。

(4) コンシューマビジネス
売上高は1,180百万円(前年同期比26.6%減)となった。コンシューマビジネスは2018年3月期に予想以上に拡大したため、2019年3月期については反動減から前期比20.2%減(通期ベース)の予想で臨んだ。しかしWindows Ink対応スタイラス製品が2018年6月に発表後1年を超えたため第2四半期(7月−9月期)に大きく減速し、結果的に2019年3月期第2四半期は計画を下回って着地した。

(5) ビジネスソリューション
売上高は2,499百万円(前年同期比24.0%増)で着地した。北米において金融機関向け液晶サインタブレットや、教育機関向け液晶ペンタブレットの販売が増加し、増収を確保した。計画対比ではほぼ計画線での推移だったとみられる。

以上のように2019年3月期第2四半期のブランド製品事業は当初期待した成果を残すには至らなかったが、いくつかの点で今後につながる点も見えてきたと考えている。中低価格製品に関しては、ペンタブレットからディスプレイへの需要移行が中期的に予想されており、これらの製品分野で同社が完全に競り負けているわけではなく、代替需要の取り込みを狙うことで再浮上は可能だと考えている。今回の状況はペンタブレットを初めて買う層が、少しでもリスクを下げるためにまずはより低価格で評価の高い製品を選んだということだと推察される。良い方向に考えるならば、ライバル企業が一定の性能を持ちながら低価格品を投入した結果、ペンタブレット、ディスプレイの両製品分野におけるユーザーのすそ野が広がったということであり、この点をむしろポジティブに捉えるべきというのが弊社の考えだ。いずれ(早ければ半年後)出てくる代替需要の取り込みや、今後の形勢挽回の局面においてこそ同社の真価が問われると言えるだろう。

ディスプレイの供給問題については中期経営計画の進捗の項でも述べるが、既に対応に着手しており年末商戦を見据えて改善が図られている。より高価格の32インチモデルも計画どおり11月初旬にリリースされており、今後24/32両インチモデルをけん引役に売上げを伸ばす体制が整った状況にある。

モバイルについては、2019年3月期第2四半期の結果だけを見ると同社が手をこまねいているように見えなくもない。しかしながら弊社では、モバイルについては商品性や市場におけるポジショニングといった根本的な部分から見直しが進められているのではないかと推測している。同社はテクノロジーソリューション事業においてタブレット・ノートPC向けにデジタルペンをOEM供給している。すなわち同社の2つの事業セグメントが、前者はプロ向け、後者は一般ユーザー向けという違いはあるにせよ、クリエイティブユーザーの一部で競合している状況となっており、モバイルの問題は対症療法的な対策ではなく、曖昧な部分が見え隠れする商品戦略の基本的なポジショニングを見直す必要があるということだ。同社の新中期経営計画はまさにこうした状況でしっかりとした経営判断を行い、成功につなげることを目指している。今後の推移を見守りたい。


2019年3月期第2四半期はスマートフォン向けとタブレット・ノートPC向けの両分野で需要の早期化が発生し収益が急拡大
3. テクノロジーソリューション事業の動向
2019年3月期第2四半期のテクノロジーソリューション事業は売上高25,602百万円(前年同期比43.0%増)、営業利益4,958百万円(同40.4%増)と大幅増収・増益で着地した。期初予想に対する進捗率は、売上高で73.8%、営業利益で191.4%に達しており、想定を大きく上回った。この結果を受けて同社は通期見通しを上方修正している(詳細は後述)。

テクノロジーソリューション事業のうちスマートフォン向けは前年同期比80.1%増の11,758百万円となった。この事業では韓国サムスン電子のGalaxy Noteシリーズ向けにペン・センサーシステムを供給している。前年同期はGalaxy Note 7がリコールとなったことでGalaxy Note 8向けの供給だけにとどまった。それに対して2019年3月期第2四半期はGalaxy Note 8向けの継続供給に加えて新製品のGalaxy Note 9向けの供給がスタートしたことで前年同期比大幅増収となった。同社はGalaxy Note 9向けの供給は第3四半期からと想定していたため、計画対比でも上振れにつながった。

タブレット・ノートPC向けの売上高は前年同期比21.7%増の13,844百万円となった。この事業では同社はアクティブES(AES)方式の入力用デジタルペンをOEM供給している。タブレット・ノートPCの分野ではここ数年デジタルペンの搭載が加速しており、標準装備となりつつあると言える状況だ。こうした流れのなか、2018年3月期下期において需要の早期化が起こり収益の上振れ要因につながった。2019年3月期第2四半期もまた、想定していなかった需要の早期化が起こり、前年同期比大幅増収・計画比大幅上振れとなった。

テクノロジーソリューション事業の2019年3月期第2四半期の業績上振れは素直に評価できるが、今後の見通しについては見方が分かれる可能性がある。スマートフォン向けにしてもタブレット・ノートPC向けにしても需要の早期化が発生したためだ。このうちスマートフォン向けについては顧客がサムスン電子1社であるため同社の製品サイクルの影響を避けられず慎重に見るべきと考えている。一方、タブレット・ノートPC向けについては顧客が多岐にわたっていることや、デジタルペン搭載の大きな流れのなかでまだ緒についたばかりのメーカーもあるため、デジタルペンの成長余地は依然として大きいとみられる。したがって今後も需要の早期化が継続する可能性は十分にあると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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